第32話:忍者の説明を終わります!

「いや〜、忍者ってのもなかなか面白いね」

心太の話を聞いていたオリバー先生は、目を輝かせてそう言った。


「さっきの手合わせは、まだまだ心太の本気ではないことがよくわかったよ。

忍術ってのを使えば、心太はさらに強くなるし、具現獣もまた忍者の力であれば、その子が参戦することで戦力はさらに上がる。そのクーって子が、心太の具現獣なんだろう?」

「まぁ、そんなところですかね」


オリバー先生の問いに、心太は答える。

あら、せっかく出来た友達に、嘘ついていいのかしら?


(うるさいな。僕のはオリバー先生を同僚としか思ってないし、手の内全てを教える気はサラサラ無いよ)


ふふふ。まぁ、忍者としては当然かしらね。


「でも今さらなんだけどさぁ」

あら、オリバー先生、何か言いたげね。


「僕から聞いておいてなんだけど、こんなに忍者の話、してもよかったのかい?」


(いやほんと今さらだからね!?まぁ、大丈夫だから話したんだけどもっ!)


「まぁ、そのへんは、先に確認したので問題はありません」

「確認、ねぇ。ってことは、忍者にも、それを束ねる組織なんかがあったりするのかい?」


「えぇ、そうですね。忍者は、忍者協会というところに管理されていて、今回はこちらで採用されるにあたって話を通しました」


(まぁ、正確には通すもなにも、めちゃくちゃ簡単に許可降りたんだけどね)


「というか、忍者にも、ということは、魔法使いにも同じような組織が?」

「まぁねぇ。っていうかそれよりさ、いくら許可されたからって、簡単に話しすぎじゃない?僕らが、それを洩らす可能性だってあるわけでしょ?」


(あ、僕の質問、さらっと流された)


「まぁ、そのへんは私も考えてはいたのですが・・・」

心太は質問を軽く流されたことに心の中でツッコみつつも、そう言い淀みながら斎藤ちゃんへと視線を向ける。


「はぁ。それについては、私から説明します」

(ため息ついた!斎藤先生、思いっきりため息ついたよクー!!)


うるさいわね、分かってるわよ。


「ミエ様・・・もとい、理事長から生徒の皆さんへご伝言です。今回、小嵐先生から聞いた忍者についての内容を他言した場合、『輪を切る』とのことです」


斎藤ちゃんの言葉と同時に、生徒達に動揺が広がった。


あら、やっぱりこういう反応なのね。


実はこの話、事前に理事長と話をしたのよ。

その場にいたのは心太と斎藤ちゃん、そして整校長ね。

理事長が今斎藤ちゃんが言ったことと同じ言葉を口にしたとき、斎藤ちゃんと整校長も同じような反応だったの。


「へ、へぇ。理事長も本気で忍者の存在を隠そうとしてるわけだ。でもそれ、僕には関係ないんじゃないのかい?」

斎藤ちゃんの言葉に狼狽えながらも、オリバー先生は挑発的な視線を返している。


「えぇ、確かにスミス先生のおっしゃるとおりです。しかし理事長は、もしもスミス先生が忍者について他言しようとした場合、あなたの『親』に、厳重に抗議すると仰っていました」

確かに、理事長はそう言っていたわね。


(抗議で人の噂を止められるわけ無いのにね)


「おっとっと。それは、魔法使い同士での抗争の引き金になるじゃん。わかったわかった。理事長の本気度がよ〜くわかったよ」

あら、オリバー先生ったら、両手を上げてる。

降参ってことね。

つまり、理事長からの抗議は是が非でも避けたい、と。

心太、どう思う?


(理事長って、何者?)

ほんとね。だけど、抗議する相手、斎藤ちゃんの言うオリバー先生の『親』という人も、ただの魔法使いというわけではなさそうね。

そうでないと、『抗争』だなんて物騒なことにはならないはずだから。


(まぁ確かに。っていうか、『輪を切る』とか『親』とか、知らないワードが続々出て来てるんだけど。せっかくならこのまま、魔法使いについて聞いてみるか)


それはいいわね。


そうだわ。心太が魔法使いについて聞く前に、これを読んでいるみんなにだけ、内緒のお話をしてあげる。

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