第31話:忍者の説明を続けます!

「剛力君、残念ながら不正解です。今回私は、オリバー先生にお約束した通り忍術は使用していません」

「うんうん、約束を守るのは友達の間でも大事なことだからね。

流石は僕の初めての同年代の友達だ。大火たいが、少しは僕の友達を信じてくれよ〜」


「・・・・・・・」

ちなみに、大火たいがっていうのは剛力君の名前ね。

オリバー先生から諌められた剛力君、黙って俯いちゃった。


(っていうか、もう完全に僕はオリバー先生の友達になったんだ)

かたや心太は心太で、どうでもいいところにツッコんでいるし。


(いや、勝手に友達認定されてる僕の気持も考えてもらっていいかな!?)

まったく、うるさいわね。


(いやいやいや、それ僕のセリフ――――)


「それで心太。今回キミは、どうやって僕の作り出した武器を操ったんだい?」

ほら、オリバー先生が続きを催促してるわよ。


(わかってるよ!)


「失礼しました。外野クーがうるさくて。それで、話の続きですが、ここで再び、忍力が出てきます。忍力には先程説明した具現化の他にも使い方があります。それが、心技体の力の強化です。

忍力を心技体の力に上乗せすることで、それぞれを強化することができるんです」

「なるほど。じゃぁ今回心太は、忍力で技の力を強化したってわけだね」


「はい。ただし、普通の強化ではありませんでした。私の忍力のほとんどを技の力の強化に注ぎ込みました。それでも、オリバー先生の武器の動きを止めるので精一杯でした。

結果として私は忍力のほとんどを失い、倒れたというわけで」

「なるほどねぇ。そういえばさ、心太はさっきの手合わせで僕のナイフを殴っても傷つかなかったじゃん?あれは、体の力の影響なのかい?」


「あ、いいえ。それはまた、忍力の別の能力によるものなんです」

「忍力、使い勝手良すぎですな」


「ははっ!兵助へいすけの言うとおりだね!それで心太、続きは?」

兵助というのは、吉良くんのことね。

吉良くんの言葉に、オリバー先生が笑いながら同意して、心太へと視線を戻したわ。


「忍力はさらに、5つの属性に別れます。

金、水、木、火、土の5つです。正確には、ここにもう1つ、無属性の忍力も加わります。その中で金の忍力には金属の力があるため、私はオリバー先生のナイフを受ける際に、金の忍力で体の表面に金属の膜を張っていたんです」

「なるほど。ということは、あの水砲の術ってやつは、水の属性の忍力なのかい?」


「いいえ、それは少し違います。水砲の術を含めた忍術は、忍力と心技体の力を組み合わせて発動させるものなんです」

「っていうことは忍者は、その金、水、木、火、土の5つの属性に応じた術を使いこなせるってことなんですね!忍者って凄いですね!」

尊敬するようなまなざしを向けてそう言うのは、犬飼君。

そしてそんな彼に、剛力君は小さく舌打ちをしているわね。


「犬飼君、残念ながらそうでもないんですよ」

心太はそう言って犬飼君へと笑みを向け、言葉を続ける。


「確かに忍者は、5つの属性を使うことが出来る可能性は持っています。しかし多くの場合、5つ全ての属性を扱うことはできないんです。

基本的に忍者は、忍者となったときから1つの属性は使えるようになっています。

しかし、そこから別の属性を使えるようになるにはそれなりに訓練しないといけません」


「ちなみに、心太はいくつの属性が扱えるんだい?」

「オリバー先生、申し訳ありませんがそれにはお答えしかねます。

忍者同士でも、手の内を明かすことはあまりしていませんので」


「そうか、それは残念だ。ちなみに、一般的にはどのくらい使えるものなのかは聞いてもいいかな?」

心太から答えをもらえなかったオリバー先生は、それでも食らいついてきた。


「そうですね。通常、大人の忍者で年齢である程度しっかりと修行をしていれば、3つ使えるのが一般的ですね。

あくまでも、属性のない忍力を除いての数ですけどね。

というより、4つ使えるのは一部の天才と呼ばれる忍者であり、現在5つ使える忍者はいないと言われています」


というか、これまで5つの属性を扱える忍者って1人しか伝わっていないのよ。

忍者の中では伝説とまで言われる凄い忍者だったんだから。


何故過去形かって?

その人、少し前に亡くなったの。

でも、本当に凄い人だったんだから。


ちなみに、いつかこれを読むみんなにだけ教えてあげるけど、心太が扱えるのは3つ。

つまり、天才と呼ばれる部類ではないということかしらね。

でも、心太だってそれなりに凄い忍者なのよ?


(クー、余計なことを言わないでいいの!しかも読者とかいるわけないからね!?)

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