第10話:忍者の説明を少しだけ!

まえがき


すみません、第4話を少しだけ修正しました。

読み返すと理事長名乗っていなかった!

理事長の名は『ミエ エバンズ』です。


以下、本編

ーーーーーーーー


「まぁとにかく、これでひと通りの自己紹介は終わりましたね。

魔法使いのことは追々お聞きするとして、今日のところは忍者について、簡単にお話させていただきましょうか」

心太はそう言うと、教卓に備え付けられた椅子へと腰をおろした。


やっと、忍者の説明が始まるみたい。


ちなみにだけど、本当は忍者のことをそうでない人に話すのは禁じられているの。

忍者は『忍者協会』ってところが統括しているのだけれど、一応事前に今回のことを報告しているの。

その際に忍者の話をしてよいか、心太は確認してみたわ。


私も心太も、絶対に駄目だと言われると思っていた。

けれど、蓋を開けてみれば簡単に許可が降りた。

しかも、協会のトップ直々にね。


流石にそれは予想外。

私も心太も、その理由を探ろうとしたけれどそこは相手も忍者。

簡単に尻尾を掴ませてはくれないみたい。

結局理由は分からなかったわ。


心太は、祖母が絡んでいると予想しているみたいだけど。


っと、そんなことよりも、心太の忍者解説が始まるわ。


「まずは先程少しお見せした『忍力にんりょく』についてです。皆さん魔法使いには『魔力』という力があると聞いています。忍力は、魔力の忍者版と捉えていただいて構わないかと思います。おそらく、その2つは同じようなものだと思いますから」

「ちょっとよろしいかしら?」

あら、ユリアちゃんが質問あるみたい。


「先程あなたは、魔法使いについての知識が無いと言っていましたわ。それなのにどうして、魔力とその忍力とやらが同じような力だと言えるのかしら?」

「ウィルソンさん、質問ありがとうございます。確かに私は、魔法使いについてはまだまだ知識がありません。

それでも、魔力を感知することはなんとなくですが出来るんです。

私が感じた限りだと、この2つは似たところがあるように思いました」

「でもそれだけで、同じものと考えるのは強引ではありません?」

ユリアちゃん、食い下がるわね。


「一応、他にもそう考えた理由はあります・・・」

心太はそこで言葉を止めた。


その理由が分かるのは、きっと私だけね。


「ある忍者は言っていました。我々忍者の使うこの忍力、元は人ならば誰もが持つ力なのではないかと。

そしてその忍者はこうも言いました。忍者がその力を忍力として扱うように、世界には我々忍者と同じように、その力を別の形にして使っている存在がいるかもしれない、と。

私自身、その言葉には半信半疑でした。

しかしこうして、あなた方魔法使いに出会った。しかもその魔法使いが使う魔力は、私が感じた限りでは確かに似ていると思えました。

確かにウィルソンさんのおっしゃるとおり、『同じもの』と断定するのはまだまだ早計だったと思います。しかし、その可能性も十分に考えられると、私は思っています」


心太、立派になったわね。

私、少しだけ感動しちゃった。

なんで私が感動しているかって?

それは、まだ秘密、かしらね。


「はっ!ってことは、誰だって魔法使いになれるってことかよ?」

赤髪の少年、剛力君が小馬鹿にするように吐き捨てた。

彼、まださっきのことを根に持っているみたいね。


まぁ、多感な時期にクラスメイトの前で水浸しにされたら仕方ないのでしょうけど。


「ご意見をありがとうございます、剛力君。可能性の話でしか無いですが、魔法使いも、そして忍者も、誰でもなることは可能なのではないかと、私は思い始めています」


「だったら、俺を今から忍者にしてみろよ!」

「あら、それはわたくしも興味がありますわ。そもそも、至高の存在である私達魔法使いに、誰でもなれるなどとは信じてはいませんが」

あら、ユリアちゃんも剛力君の話に乗ってきちゃったわね。


「それについては、私から説明します」

ここで突然、これまで沈黙を貫いていた斎藤ちゃんが言葉を発した。


彼女、この教室に入ってから話すの初めてなんじゃないかしら?


「小嵐先生のおっしゃることは、確かに信じがたいかと思います。私も、信じてはいませんから」

そう言って斎藤ちゃんは、冷たい目線を心太に投げかける。


彼女、相変わらず心太にキツイわねぇ。


「しかし理事長は、一定の信憑性があるとお認めです」

「ミエ様がおっしゃるなら・・・」

斎藤ちゃんの言葉に、ユリアちゃんは小さくそんな事を呟いているわね。


彼女、理事長に何か思うところがあるのかしら?


「そのうえで理事長は、あなた方を忍者にすること、そして小嵐先生を魔法使いにすることを固く禁じております。

このことは、小嵐先生にもご理解いただいております」

(はいはい、理事長からそこだけはキツく言われたからね!)

心太も、斎藤ちゃんにだけはツッコみが厳しいんだから。

思春期かしら?


(うるさいよっ!)

あら、心太から怒られちゃったわ。


「ま、まぁそういうわけで、剛力君を忍者にすることはできないんです。すみません」

心太はそう言って剛力君に頭を下げて、言葉を続けた。


「とりあえず、今の段階ではあくまでも私見でしかないので、魔法使いと忍者の関係についてはそれほど気にしないでください。

授業まで時間がないので、忍者の細かい話についてはこれから必要に応じて話していければと思います。

とりあえず、今日のところはこれまでということで。

このあとは通常授業ですので、各自授業の準備をしてください。

では、失礼します」

心太はそう言って一礼すると、斎藤ちゃんに目礼して教室をあとにした。


さぁ、これから心太はどうなるのかしらね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る