魔法使いクラスの担任
第1話:担任、小嵐心太!
「はじめまして。今日からこのクラスの担任になる
その瞳に希望を宿した青年が、教壇に立って大きく声を上げた。
彼の名は小嵐心太。
本作の主人公である。
これまでに2度教員採用試験に落ちた彼は、この
そんな彼の後ろには、一切表情筋が動いていないにも関わらず、不機嫌であることが何故かわかってしまう美女が佇んでいた。
「えーっと・・・」
開口一番の挨拶が教室にいる生徒達に少しも聞き入れてもらえていないことに戸惑いの色を浮かべた心太が美女に目を向けるも、心太からの視線を受けた当の本人は何事もなかったかのように平然とそれを無視していた。
(はぁ、相変わらず無視、ですか)
それに諦めのため息をつきながら、心太は教室を見回した。
心太の挨拶など聞いてもいないかのように各々が好き勝手にしている生徒達。
心太の目に入ったのはそんな光景だった。
それだけを聞くと、
しかしこのクラス、普通ではなかった。
「おい犬飼。これお前にぶつけたら、やっぱ熱いのかなぁ?」
そう言ってヘラヘラと笑いながら、消しゴム、ではなく、何故か宙にいくつもある小さな火の玉をその指先で操っているように見えるガタイのいい真っ赤な髪の男子生徒。
そして、背後の赤い髪の生徒が操っているかのような火の玉を目の前に、涙をこらえるように俯いて押し黙っている犬飼と呼ばれた男子生徒。
「
今日という今日は許しませんわぁーーーーーっ!!!!
ミク、やってお仕舞いなさい!」
教室の後ろでは、そう叫んでいるいかにもお嬢様な銀髪巻き髪の外国人であろう女子生徒。
「いやっ、違っ、違うのですよウィルソン女史!私はそのようなハレンチなこと、決して―――痛いっ!痛いぃっ!!ダメですって!!召喚は本当に洒落になりませんってウィルソン女史っ!」
そしてウィルソンと呼ばれた生徒から、『思春期女子が父親に向けるかのような視線』を向けられながらなじられている、これまたいかにも真面目そうに見える七三分けに眼鏡という出で立ちの男子生徒。
ちなみに彼は、教室の後ろに備え付けられた黒板に、見えない何かによって張り付けられていた。
そしてその周りには、どう見ても絵本など見る妖精にしか見えない小さな生物が、その小さな拳で七三眼鏡少年の頬を殴っていた。
「今日の髪色どうしよっかなぁ〜。青、は一昨日やったしなぁ」
そう呟きながら、何故かどんどんと髪色が変化している女子生徒。
「うん、うん。えへへ、そうだね、クーちゃん」
どう見ても完全に自立して動いているクマのヌイグルミと楽しそうに小声で話している女子生徒。
そしてそれを、一切無関係かのように無表情で見つめている心太の背後の美女。
(はぁ。普通の教師を目指していたのに、どうしてこうなったんでしょうか・・・・)
現実離れしたこの光景に、心太は少しも驚くことなくため息をついた。
彼がこの普通でないクラスの教壇に立つことになった原因は、この数日前に遡る。
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