宝箱

私のたからばこ

私のたからばこ

中に入っていた小さな宝物たちはたくさん奪われて、あと箱に入っているのは私の命のみ

ボロボロになりながら最後の命だけでも、と

宝箱に必死にしがみついて守ってきた。

言葉の剣で刺されようと、暴力で血まみれになろうと

いつかヒーローがきて助けてくれると待っていた。

けれどもそんなヒーローは訪れない

この宝箱にとってのヒーローは私だから

ならばしっかり私が守らねばなるまい

奪う者から離れた

久しぶりに宝箱を開く余裕が出来た

そうしたら、私を治療してくれる人が現れた

傷が癒えてきたら、

宝箱にも優しい言葉、嬉しくて震えてしまう言葉

今まで欲しかったけど、言われることのなかった言葉

そんな輝く宝石達を入れてくれた。

嬉しいとしゃがみこんで泣くと

他の人が私も、俺もとたくさん入れてくれた。

ボロボロの宝箱はキラキラ輝く宝石でいっぱい。

私は自分の言葉も宝石になることを知った。

たくさんたくさん嬉しくて泣いたら、立ち上がる。

返すのだ、恩を。

色んな人に宝石を渡す旅に出よう。