第3話また会おうね、愛しいひと
また別の記憶の話。
不通に結婚して普通に旦那様を支える主婦だった。
初めは違和感だった。体が動かない。
夫に迷惑をかけたくないから病院に行くのはためらったが、痛みがある。
心配になって通院することにした。
「末期がんですか」
「ええ」
「ほかに手はないのですか」
「ええ。残りの時間を大切にしてくださいとしか」
「そうですか」
医師から自分の体のこと聞かされた。さて、旦那様になんて言おう。
もうすぐ結婚記念日なのに。今日もあなたの帰りを待って夕食を作って待っているのに。
申し訳なさが大半で、この話を打ち明けるのさえ罪悪感。
しかし入院まで打診されているのだし、言い訳したって無駄だろう。
最期くらい一緒にいたかったのにな。
「大丈夫か?」
「ええ」
旦那様は来てくれた。でも呼吸がつらい。
「ありがとう」
感謝の言葉を伝えるのが精一杯だった。息を吸いこむのがのがつらい。
あっけなく、心臓が止まってしまった。指先が冷たくなっていく。
ああ、私は亡くなったのね。
だからあの人もこんなに泣いてくれているのね。
私、あなたの守護霊に入りたいわ。
あなたがなくなるまで私はあなたのそばでいたい。
そのあとは、また、平和な世界で会いましょう。
素敵で濃厚で穏やかな時間を過ごしましょう。
そうして、彼の最期をみとることができた。守護霊としてね。
神様に願って、生まれ変わった。
今世、念願かなってカップルになった。
私が女。彼に守られるのはとてつもなく安心した。
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