第2話 裁判関係者

俺は裁判官をしている。

司法試験に受かってたくさんの罪人をさばいてきた。

俺より偉い奴は数少ない。

法廷に連れてこられる奴は必ずこういう。

『冤罪だ。やっていない。無実だ』

事実だけが転がっている時もあれば、裏の力がはたくこともあった。

その時はうなずくだけだ。

長いものに巻かれろともいう。

弁護士は無能が多い。

しっかりとした論を立てないから、ほら、俺に論展開を崩される。

この仕事は頭がよくないと続かないし、口達者でないと足元をすくわれる。

今日も私は叫ぶ。

「憲法違反だ! あなたは法律を理解していない。このものは有罪だ!!」

声高に叫んだことを覚えている。

しかし、正義を貫くあまり、周りの関係者に反感を買った。

「ハメラレタ」

しかし、証拠もばっちりある。

裁く側の人間だったはずなのに、人望がなかったゆえに裁かれる側になった。

周りの人間を恨みながら、絞首刑になったと記憶している。

あの時の悔しさといったらなかった。

司法に裁かれる前に、自分で薬物を飲んで自害した。


それが俺の歴史。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る