第3話 気が乗らない

 社長に呼び出された数日後、マネージャーに連れられて『HANA-AKARI』がレッスンしているスタジオに来た。


「めんどくさ」


「そんなこと言わないの」


「げっ」


 心の中で言ったつもりが、思いっきり声に出てた。


 マネに注意されちゃったじゃん。


 日頃から「口が悪い」ってお小言頂戴してるから気をつけてたのに。


「あのねえ、気が乗らないのはわかるけど。私は、麗華れいかがアイドルになるのはいい挑戦だと思うわ」


「うーん」


 そう言われましても。


 マジでアイドルに興味ないんだから仕方ないじゃん。


 早く帰りてぇ。


 よし、これが終わったらすぐに社長に断りを入れよう。


「ほら、入るわよ」


「はいはい」


 マネがスタジオのドアをノックして、扉を開けた。


 一歩踏み入れた先にいたのは、4人の女性。


「初めまして、中村麗華れいかです」


 名乗って頭を下げる。


 昨日ちょろっとグループについて調べたら、4人中2人が同い年だった。


 なんで敬語を使うかって?


 私の方が芸歴短いからです。

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