第2話 なんで私が 2
「というかね、君を指名したのはメンバーたちなんだよ」
「はい!?」
もう、今日何度この言葉を発すればいいのかわからない。
「最近どうもグループが伸び悩んでいてね。詳細は省くけど、新しい風……つまり新メンバーを入れようって話になったんだ。そこで、名前が出たのが君だ」
「……」
なんでだよ。
グループに一人も知り合いなんていませんけど。
考えてもわからない。
「君は、今のグループには無い色を持っている」
「はあ」
そう言われても。
たしかに、こんなボーイッシュな見た目のアイドル、あんまり見たことありませんが。
「ここで即決してもらえるなんて思っていない。どうだろう、一度彼女たちのレッスンを見学してみないか?」
「……」
うーん。
どうする。
アイドルは1mmも興味ないんですが。
「頼む、
「社長……」
この事務所に所属してからずっと、私のことを気にかけてくれる優しい社長。
スカートを履きたくない。
パンツスタイルでいきたい。
ボーイッシュな雰囲気で活動していきたい。
髪は伸ばしたくない。
ショートヘアでいきたい。
そんな、わがままとも言える私の願いを受け入れてくれた恩人。
そんな人に頼まれたら、
「買い被り過ぎですよ」
頭を抱えながらも答えは決まってしまった。
「でも、わかりました。一度、レッスンを見学させてください」
社長の顔を立てるためだけの決断。
別に、アイドルに興味をもったわけじゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます