第24話
お待たせしました!ここからまだ少し多忙が続く予定ですが、以前ほどではないので徐々に更新を再開していきます!
ちなみに今までの話を内容は変わらないですが少し編集しました。
ではお楽しみください。
ぜひコメントやいいねをお願いします!
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空から降り注ぐ桜の花弁が次第にその数と勢いを増し、目の前を吹き荒れる。
『これで引けRiv4l!』
発動可能範囲はマップの全域で、そこから自由に一カ所指定して発動することができる指定型
故郷に咲き誇る魔桜の花びらが彼女の力で異界から呼び出され、味方には微小の速度上昇と回復を、敵には微小の速度低下とダメージを与えつつ全てのキャラクターの視界を奪い去って行く。
その結果、俺はショート通路の遮蔽から脱出することに成功。足音はウルトが吹き荒れる音で聞こえないが、それは向こうも同じ。向こうもこっちも仕切り直しの形を作ることになる。
「助かりました!」
『まだ終わりじゃねぇんだ気を抜くなよ!』
「了解!」
ショートから引いて
Faiceさんは俺を助けるためにヘブンからミッドを経由してショートに来ようとしてくれていたからここには居ない。
だがそれによりヘブンとミッドを確保したことで相手はAサイト内かメイン通路、ショート通路のどこかにいることが確定した。裏を取られることはない。足並みが少しズレるというデメリットこそあれど、結果的に俺達は相手のエリアを限定できていた。
『リテイクはMythsのフラッシュで始める。俺がスモークを焚くからRiv4lはステップでコンテナ上を取ってくれ。Faiceは俺達に少し遅れてショートを詰めろ。まだ床に花弁が残ってるからウルト効果も残ってるはずだ』
『『「了解」』』
そしてリテイクの準備が始まる。タイマーは残り40秒。解除に10秒かかることから見てもそこまで時間に余裕はない。
『いきます!』
Mythsの合図でヘブンの出口、壁がなくなるところにスモークが焚かれる。サイト内に降りたタイミングを掴ませづらくするためのものだ。
そこに合わせるようにMythsがフラッシュをスモークの外に投げる。俺達はスモーク中に居たことでフラッシュを浴びていないが、相手は一人フラッシュを食らってしまっていたようで、ピークしたRyukaさんによって倒される。
───4対3
人数差はできた。丁寧に行けば勝てる。俺はそのピークに少し遅れてサイト内にあるコンテナの上に跳ぶ。これによってコンテナの裏を含む死角をいくつか潰せた。
敵は居ない。残る3人はショートとメイン、そしてヘブン下のうちのいずれかに居るようだ。
その間にMythsはスモークに隠れるようにサイト内に降り、ヘブンの下にある空間をクリアリングする。ヘブン下には
───4対2
だがMRもやられるだけではなかった。
Mythsがキルした直後メインに焚いたスモークを超えるようにフラッシュが投げられる。俺は咄嗟のことで回避できず
しかもどうやらフラッシュに合わせてピークしていたようで体力の無かったMythsがやられ、Ryukaさんもダメージを負ったらしい。立地の有利は覆され、人数差も詰められた。
───3対2
『……………そろそろショート覗く』
『分かった。俺がサイト側からピークする』
「メインはロックしときます」
そのタイミングでミッドを回っていたFaiceさんが到着する。タイミングは完璧。合わせたRyukaさんがサイト内からショート通路を覗く。
メイン通路からの射線は通っていないが、念の為俺がメイン通路をロックしておく。これでRyukaさんもショートに集中できるだろう。
メインにいたのはフラッシュの形状からして
やられたテムトレアも最低限の仕事を果たしたようでFaiceさんがやられ、Ryukaさんがそれをカバーする形でキルを取ったため1-1の交換になった。
───2対1
『Riv4l!爆弾にスモーク焚いて解除しろ!俺がメインをロックしておく!』
Ryukaさんの言葉を聞いて俺はすぐさま爆弾にスモークを焚いた。これでもし射線を通されてもスモークが邪魔で解除を見られることはないだろう。
──ピピッ
爆弾の解除を始めた音が鳴る。爆弾に近かった俺が解除をすることになったが、体力的にRyukaさんも余裕があるわけではない。
もしRyukaさんがやられたらどうするか。
解除中は動くことができないため、俺はフリーになった脳内CPUでLexの動きとその対策を考える。
エスカトルの残りスキルはバネブリンク1個、フラッシュ1個、自己回復だ。自己回復は良いとしても、フラッシュとバネをどこで使ってくるかが問題になる。
シンプルに考えるならフラッシュを先ほどと同じようにメインから投げてバネでエントリーからのワンピック。そこからこのスモークの中に入ってくるだろう。
現状残り時間は12秒でMRからしたら解除を1回でもリセットできれば勝ちなのだから、自分の身を顧みずスモークに突撃してくることは間違いない。
だったら警戒すべきはやはりメインからのフラ───
『ショートだ!』
張り上げられたRyukaさんの声と流れるキルログ。キルしたのはLexだった。
───1対1
なぜメインにいたLexがショートに居る…?まさか、回ってきたのか………!人数差があった状況で、時間も少ないのに……!
もしあいつがショートにたどり着く前にテムトレアが倒せていたら。もし俺達がサイト内を確保した時点で爆弾の解除を始めていたら。
いくつもの可能性が浮かび上がり、溶け消えていく。いや後悔はあとだ。今はこの状況をなんとかしないと。
ガチャガチャと走る音が聞こえる。音の大きさから多分あいつはもうすぐそこまで来ている。
爆弾解除は半分の地点で一度セーブされる。今爆弾解除をやめても5秒弱でLexを倒せば解除が間に合う。解除をやめるか?いや、でもそれであいつが倒せなかったら………
『Riv4l!──────頼む!』
VCから声が聞こえる。その声を聞いて俺は迷いを捨てた。
選んだのは
イーブンの人数差。近い足音。スモークで覆われている俺からは外の状況は何も見えない。だが、Lexなら。俺の知ってるあいつなら。
その足音、わざと聞かせたフェイクだろ?
────カシャン
〈クラッチ〉
爆弾が解除された音とラウンド終了の合図。それが聞こえた瞬間スモークが晴れる。やはりそこにエスカトルは居ない。
顔も見えない友人が、たしかに画面の向こう側で笑っているような気がした。
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