第23話
やっばい、MRとの試合があまりにも長くなってまいりました……!飽きてしまわないように精々面白いのを書いていきたいですね
追記:ウルトやスキルの概要を軽く13話に後書きで入れました。興味がある方はご覧ください。
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そこからは怒涛のラウンドの取り合いが始まった。
Lexは俺に対抗しようとそのセンスを爆発させ、Asterもそれに引っ張られるように立ち回りが変化していく。他の選手もそれに合わせるようにサポートの動きが的確化されていく。
これまでとは違うMRの動き。
しかし変わったのは彼らだけではない。
CWのメンバーもラウンドを取ったことにより勢いが増す。
それは後半が始まり攻守が交代してからも衰えることがなく、俺を筆頭にCWは動きが良くなっていくMRを相手に対応を重ねていく。
MythsはPLN戦と同様に調子の極大値にたどり着き、アグレッシブにキルを産む。RyukaさんやSigM4さんはそのMythsを上手くサポートし、スコアに記載されているアシスト数が20を超えるまでになった。
そして俺はFaiceさんの力を借りつつもLexと鎬を削り合う。Lex側も一人ではなく数人で来るようになったため、激しいキルトレードになることもあった。時に俺が勝ち、時にLexが勝つ。お互い一歩も譲らない。
まさしく一進一退の拮抗した試合。
永遠に続くかと思うほどの濃い攻防を繰り返す俺達だったが、当然試合には終わりがある。
来たる
とても大事なラウンドである。
序盤の動きははそれまでと変わらない。Myths、SigM4さん、RyukaさんがミッドからBにかけて展開し、俺とFaiceさんがAを守るという形だ。
索敵スキルどころか敵影すら見当たらない。実に静かな幕開けだった。
『少し出ますね。カバーお願いします』
30秒を過ぎ、あまりにも敵のアクションが無いため、情報を取ろうとMythsがゆっくりとミッドを進行していく。
Aショートにいた俺とミッドにいたSigM4さんはMythsのクリアリングを手伝うようにスキルを使いながら、すぐにカバーに出られるように位置を調整する。
SigM4さんがMythsに追いつき、ミッドの広場を完全に確保した、その瞬間だった。突然ミッドへ飛び出してきた
『Bリンク!!』
SigM4さんのいつもより張り上げた声。反応してカバーに出たMythsは体力を削られながらもコルトを倒す。なんとか人数差はイーブンに戻った。
相手はAster──ホールダーが居なくなり、こちらはSigM4さん──サーチャーが居なくなった。
サーチャーがいなくなったことで相手の情報がスキルで取れなくなり、Mythsも残り体力は半分ほどになってしまった。だが守りのCWと比べて攻めのMRはホールダーが居ないことにより射線をうまく切ることができない。ギリギリ痛み分けだ。
『ブリンクで引きます!』
「Mythsスモーク出した。Aショートにナイフきました」
Mythsが無事に帰れるようにスモークで射線を塞ぎ、ショートに飛んできたナイフを壊す。
『Bにもリコン来てる。本命まだ分からない!』
『…アラーム壊れた…
さっきのトレードがはじまりの合図だったかのように、AにもBにも敵からのアクションが来る。どっちのサイトに敵が攻めてくるのかは分からないが、その時はおそらく近い。
『スモーク無いから相手進行できないぞ!Faice、タレットでサイトの入り口見てヘブンまで下がっていい!Riv4lもリテイク想定で動け!Mythsは俺とB中守り!』
『『「了解」』』
Ryukaさんもそう感じていたようで、Bを中で守ってAをリテイクすることに決めた。幸い相手はスモークが無い。リテイクもしやすいはずと俺達もそれに従う。そんな時だった。
『………タレット反応』
「Aショートに二人!
Aのショートとメインに二人ずつ敵を確認。MRが選んだのはA挟みだった。
俺の銃声に反応してメインにはエスカトルのフラッシュが、そしてショートにはテムトレアのフラッシュがそれぞれ入れられる。
フラッシュから素早く目を背けることで、こっちは最低限の
そう思った俺はカーテンスモークを軌道を描くように引いてサイト内への進行を遅らせつつ、ステップで別の遮蔽の裏を中継してFaiceさんの下へ向かおうと────────
(スキルが使えない───っ!)
俺のスキルが封印されていた。それとほぼ同じタイミングでショートから何かが置かれた音がする。
〈良い子は眠る時間デス────♪〉
使われたのはタイムの
古びた針がタイマーの代わりに時を刻む。スキルは効果範囲外に出れば使えるようにはなるが、そもそもスキルが使えなくなった俺はもうその身一つで遮蔽から飛び出すしかない。
幸い置き時計は壊せるし、それを守っているのは一人だろう。多くはサイト内の掌握を優先しているようだから、今飛び出したらおそらく一対一の撃ち合いで済む。Bから寄ってくるMythsたちを待てば勿論人数は有利になるが…。
(そりゃお前はそんな余裕を与えてくれないよな、Lex……!)
腰にぶら下げた実験器具がぶつかる音と地面を擦るような特徴的な足音。
聞き間違えることはない。
「ショートにエスカトル!逃げれないので多分撃ち合いになります!」
先程Lexがボン=ドルを持っていたところをFaiceさんが確認している。もし武器を変えてないなら、交戦距離がとても短いこの道では絶対に負ける。
足音がゆっくりと近づいてくる。他に確認するべき遮蔽がまだあるからすぐには見つからないだろうが、それでも味方のところまで引ききれるほどの距離はない。
(どうする………!戦って勝てるか?距離を開ければ…けどそこまで開けれるか?いや間に合わない……!どうすれば───)
逡巡する俺の耳に優しい声が入り込む。
〈故郷の桜よ、私と一緒に舞いなさい〉
俺の目の前に桜の花が舞い落ちた。
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