第11話
大会形式やルールは某ゲームの大会を参考にしつつ都合のいいように僕が決めました()
ps.詳しい試合描写は有名所との戦いで書きます。
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ViXの大会は大きく分けて3つの段階を経てその年のチャンピオンを決める。
1つ目が国内予選。日本国内からアジア大会へ参加するチームを決めるための大会だ。
最初はブロックごとにトーナメント形式で別れて戦い、そこから勝ち上がった上位8チームが敗者復活有りのトーナメントで戦うことで国内王者を決めるのだ。
去年の王者Teabreak率いるDualDartsはこの国内予選で一位になったため国内王者と呼ばれている。
そして2つ目、国内戦の次に当たるのが地域予選。アジアの中で王者を決める戦いで、総当たりの上位4チームは世界大会に進むことができる。
未だ日本勢がアジア大会を優勝したことはない。それほどに同地域の中国や韓国が強く、日本勢はあと一歩を超えられずにいる。
最後が世界大会。その年の最強チームを決める大会で、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジアの4地域が鎬を削る屈指の実力者しかいない魔境だ。アジアという枠で見ても世界で優勝したことはない。
つまり、世界で勝つためには前提としてまず国内予選で勝ち残り、アジア地域予選の高い壁を突破しなくてはならないのだ。
♢♢♢
「確認するよ。今日の初戦の相手は
Tasさんの言葉にみんなが頷く。
俺達は予選トーナメント当日、ブートキャンプを行っていたCWのオフィスに集合して試合前最後の確認を行っていた。
国内大会の予選トーナメントは計3日間で行われる。試合はストレートで勝てば5戦。同ブロックに振り分けられた8チームが戦い、勝ったチームだけがメインイベントと呼ばれる本戦トーナメントに出場できるようになるのだが───
「………で、問題はその後だ。まぁ運が悪いといえばそこまでなんだけど、おそらく決勝でぶつかるのは
そう、俺達のブロックには何故か去年の6位、つまり去年のメインイベントで戦ったチームROGがいるのだ。
去年までは優秀な成績を残した上位チームがシードとして別々のブロックに分けられ、予選で潰し合わないようにされていたのだが今年はこの制度が撤廃。より平等な条件でトーナメントが決められるようになった。
そのせいで今回は予選トーナメントで上位6チームのうち1つが消えるのか、と掲示板やツブヤキッターで戦々恐々としている人が多数目撃されているらしい。実際俺もそう思う。
「しかも問題なのが、ROGは今年引退を決めたEightの代わりに去年
俺はその言葉に去年の大会を思い出す。
MR Ghost─────
生き残ることが重要なホールダーというロールで珍しく、とても攻撃的な選手として有名で、スモークを活かした立ち回りを重視するのではなく積極的に撃ち合ってくる様はさながらブレイバーを使っているかのよう。
しかも質が悪いのが、読みを外してくる動きだけでなく撃ち合いの強さが国内トップクラスなのだ。決して前任のEightが弱かった訳ではないが、新しい色を加えて進化したROGは以前よりも強くなっているだろう。
俺達は真剣に意見を出し合う。
チームの戦略がぶつかり合うこのゲームでは、対策は時にチームの練度を高める練習よりも優先される。ここで油断したらいかに去年の順位が上だとはいえ足元をすくわれるに違いなかった。
「……それもいいね。でも本当にいいのかい?──────あぁ、わかった。じゃあこの案で行こう。反対意見は…………ないみたいだね。こっちでも新しく分析は進めておくから、取り敢えずは今日!勝ち残るよ!」
「「「「「「おう(…)!」」」」」」
そうして始まった1回戦目。
俺はTasさんとともに試合を見ていた。
コーチではないため、タイムアウトを取っても試合中は会話に参加することができないが、チームメイトの視点やミニマップをゲーム中ではできない広い視点で見ていく。
ViXにおける攻守の開始ラウンドはピストルと限られたスキルのみを使って戦う。そのため運が介在しづらく、カバー意識や撃ち合いの強いチームが勝つことが多い。
CWもそれに漏れず圧倒的な力を見せていく。
Mythsの操るキャラがサイト内に
もちろんサイト内で守っていた敵も奥深くまで侵入してきた
だがそのタイミングで後から入ってきたRyukaさんが敵の頭を捉える。
ヘッドショットで沈んだ相手は一撃で倒れ、サイト内はクリア。CWのメンバーは別のサイトで守っていた相手を迎え撃つため配置につきつつ、爆弾を設置した。
ピピッと言う音とともに爆弾のカウントダウンが始まり、焦った敵が散発的にエリアを取り返しに来るが、撃ち合いの強さを活かしつつMythsが三人、カバーしたSigM4さんが一人を倒す。あれよあれよと瞬く間にラウンドが終わった。
やはり国内上位層のチームとは連携面もゲーム理解度も大きな差があるように感じる。スキルも最小限の消費で、アーマーも削られていない。なんとも順調的な滑り出しだった。
CWは勢いをそのままにどんどんとラウンドを重ねていく。
『カイン右の箱裏!システマはノーインフォだけど多分ラーク!遅いから先にカインやろう!』
『せーの!…………オッケーやった!』
『………システマ視認。爆弾解除していいよ』
『一応システマ120カットしてんで』
『了解。Faice、フラッシュ入れるから出るかい?』
『……出る』
『了解。せーのっ』
銃声がマップに響き、〈アタッカーの勝利〉という表示とともに流れた勝利BGMが試合終了を告げた。
試合スコアだけで見るなら13:2という圧倒手な勝利だった。
「よーし!お疲れぃ!」
「初戦はいい感じでしたね」
「俺はなんかしょうもない死に方ばっかやったけどな!」
「…ナイスベイト」
「狙っとらんわ、やかましい!」
「あはは、まだ今日もう一戦あるし気を抜かないようにね」
「「「あーい」」」「…(コクッ)」
「試合結果は運営の方に俺から出しとくから、選手のみんなは休憩。Riv4lからフィードバックもらっといて」
そんな感じで気になったところのフィードバックをしつつ2回戦、日を跨いで3回戦、4回戦と順当に勝利。俺達はトーナメントを駆け上がった。
そしてブロック決勝、ROGとの戦い。
負けたら終わりのこの場面で、他チームやWebサイトで勝敗を確認しているファンの誰しもが、そしてなんなら
スターティングメンバー
CW Ryuka
CW Myths
CW Valk
CW Faice
CW Riv4l
スタメンの欄には確かに俺の名前が載っていた。
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駆け足駆け足駆け足ィ!!!
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