第10話
間違えて前話の予約投稿同日にしちゃったテヘッ
明日更新なしです。すいません。
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「ウーベル裏詰めてる!誰か裏見て!」
「……俺が見てる」
「1枚、2枚やった!A入れるよ。僕はそのままCTまで広げる!」
「…ウーベルやった。多分あとは正面」
「
「………!セシリア120カット!CT側!」
「スキル返すから引いていいよ。Ryuka、映ったら
「了解」
「やっぱ丁寧だな……相手視点はだいぶ厄介そうだけど……………」
残った一人をRyukaさんとSigM4さんのダブルピークで倒して試合が終わる。
今日は大会が近づいてきたこともあり、よく大会で戦うチームと
大会で戦うことになるチームとのスクリムは有益な物が多い。本来は下位チームや別地域のチームと戦うことが多いのだが、実際に戦う可能性のあるチームと本番と近い状況で戦うことで、大会前にキャラ構成や戦術を試すことができるし、相手の情報を収集することもできる。
まぁ、どちらのチームも全部の情報を出し切るわけではなく、有利に事を進めるために隠す情報は隠して相手チームの
閑話休題。
試合を終えてコーチを含めたチームメイトが集合する。今回は全員がCWのオフィスに来ていて所謂ブートキャンプと呼ばれることをしている。
そのため、普段は遠くに住んでいるヴァルクさんやシグさんも面と向かって話し合うことができた。同じ雰囲気を分かち合えるのは連携やコミュニケーションの面でも向上を見込めて良いことだ。
「全体的には問題なかったけど、Mythsが負けたらそのままズルズルと負けることが多くなるんじゃないかな」
コーチであるTasさんが口を開く。その目は真剣で厳しいことを言ってはいるが、実際うちのチームの弱点と呼べるものを挙げていた。
今回の戦いではMythsがブレイバーなのは変わらないが、サーチャーを選ぶSigM4さんがキャラを変えることになった。
以前はSigM4さんはリコンとドローン、フラッシュを持つ汎用性の高いキャラのテムトレアを多く使っていたのだが、一度違う構成も試したいということでフラッシュを一つも持たないトレインというキャラを試してみたのだ。
トレインはいわば索敵特化。遠くに飛ばせるリコンに加え、キャラを中心に同心円状を索敵するエコーのようなスキル、そして移動速度は遅いが動かしながら索敵ができるドローンスキルを持っている。
そのため後ろからのカバーには長けている訳ではなく、敵がどのような配置かを把握して、コントロールすることが大前提となっていたのだが……。
「一番気になったのはSigM4。カバーの位置がフラッシュ持ち前提の位置になってる。もっと前に出ないとMythsのカバーが間に合わないよ。それにトレインは索敵判定が遅いからもっと早くスキルを出さないと」
「そうだね、ごめん。ちょっと手間取ってたよ。……………よし、多分もう大丈夫」
正直盤面のコントロールは上手く行っていなかった。俺もサーチャーをよく使うから分かるけど、スキルの効果から見ても使う場面の判断力が一番必要になってくるロールだと思う。
だからこそいつもと違うキャラを使うときはいつもより冷静さや盤面の俯瞰が必要になってくるのだが、今回はそれが上手くできていなかった印象がある。
まぁ相手にTeabreakさんほどではないけど使い手のフェイカーがいたというのも理由にあるだろうけど。フェイカーが敵にいるとサーチャーをしているプレイヤーはそれを判別するために索敵を行う必要があるからな。
「あとは………まぁ基本的な連携はできてたと思うよ。もう一度言うけど全体的には問題なかったから。きついのはロール問題だけだね。じゃあRiv4l、なんか見てて感じたことがあれば」
頭の中で自分だったらどう立ち回ってたかを考えていたら、Tasさんから急に水を向けられる。みんなもこっちを見ていた。
まさか本当に俺が意見を伝える場面が来るとは思っていなかったから正直ビックリしたけど、いい機会だと思って口を開く。
「じゃあ質問って感じにはなるんですけど、なんかFaiceさんの仕事多すぎないですか?今回も
「あぁ。その辺は俺も言ってるんだけどね。どうしてもFaiceがしないんだ。正直あまり良くないとは思うんだけど……まぁ今まではそれで勝ててたから後回しにしてる本人の癖、みたいなものだね」
「…………(コクッ)」
Faiceさんも頷いているし、ホントにそういう性分なんだろう。他のみんなも癖はあってそこに強みがある分弱みも隠れている。
例えばMythsの強気な姿勢やValkさんの心理戦スモーク。強気な姿勢は流れをこちらに引き寄せやすくなるが、代わりに負けたとき人数の不利を背負うし、心理戦前提のスモークはValkならこうするっていう人読みが介入した途端それを逆に利用されて利敵スモークにもなりうる。
その辺も気になって伝えると、Tasさんが何かを思いつく。
「あーならRiv4lを入れて全部色を変えよう」
「え?」
「Riv4l、君は強気なプレイや心理戦、裏見警戒とかは出来るよね?」
「まぁみんなには及ばない程度ですが…」
「それに指摘したってことは、強気じゃないプレイ、心理戦が介在する余地のないスモーク、ラークも出来るよね?」
「まぁ人並みには」
「じゃあ全部やろう」
いきなりとんでもないことを言われた。今のはスタメンが変わることを示唆するもの。聞いてたみんなの顔に緊張が走る。まぁ俺は
「まぁいきなりRiv4lを入れるのは大会も近いし連携的な面でまだ場数を踏んでないから可能性は薄いけど、対策されだしたら変えることにするから。みんな気を引き締めるように。ついでにRiv4l、軽くでいいからみんなの癖が良くない方向に働いたら指摘してあげて」
「はい、了解です」
「じゃあ今度はもっと詳しい戦術面やセットについて話していこうか」
そうして俺たちはいい緊張感でのスクリムと反省会を繰り返し、ついに大会が始まる。
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Tips.セット
事前に用意した攻め方や守り方のこと。存分に時間をかけて作ったものであるため、即興でやるよりも効果は高いが一度でもセットの内容がバレると対策もされやすい。
スクリム前
「Riv4l!このあとのスクリムの話なんだけど、みんなの癖について詳しく見ててほしいんだ。できれば指摘もしてほしい。そこまでやればあとは俺がまとめるから」
「いいですよ」
スクリム後
「Riv4lありがとね。これで空気も引き締まるし、強みに付随する弱みをみんな自覚してくれると思うよ。…………ちなみに多分大会は今のメンツで行くけど、今後あるスクリムでは本当に君も使っていくから頑張ってね」
「?!」
ということもあり、大会前のスクリムでは何回かRiv4lも出てました。
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