第2話 二回目の交換日記と変化
ノートが届いた。二回目になる。
まずは、ゆかりの日記から読もう。
四月十五日 晴れだったよ。
入学式。みんな、どうだった?
あたしは、特別なことはなかったなあ。
あ、でも、生徒会長! 女子なんだよね。美人でかっこよくて、文武両道なんだって。あたしも、そうならなきゃ。あんなふうになりたい! って思ったよ。
知らない子ばかりの中学だけど、あたしは無敵だからね。すぐ友達できた。
部活誘われたけど、ボイトレとダンスのレッスンと塾もあるから、入れなかった。ダンス部あるみたいだから、入りたいけどレベル高いらしいの。
基礎をしっかり練習したら、入部したいかなあ。足手まといになりたくないからね。どうせなら、入ってくれて良かった! って思ってもらいたい。
千紗の絵、嬉しかったよ。
これからも、いろいろ描いてほしいかも。風景もいいな。
祠の絵とか。難しい?
写真でもいいよ。いま、発掘作業、どれくらい進んでるんだろう。
千紗は、中学はどうかなあ? 同じクラスに、知ってる子たくさんいたかな。クラスの子に話しにくいことがあったら、このノートに書いてね。
絵美が、まさか占いに興味持つとは思わなかったよ。
誰か好きな人ができた? だから相性を自分で占いたいのかな。それだと絵美らしいかも。
絵美は、学校どうだったかな? 付属中学なら真面目そうで勉強できる子がたくさんいるイメージあるよ。
ハル、引越し先の町、良さそうだね。海が近いのがうらやましい。
地下の商店街? こっちにはないブランドがあるんだろうなあ。
夏休みに遊びに行けたらいいな。一人だけ抜けがけみたいなのはダメだよね。行くならみんなで、だよ。
写真、ありがとう。雰囲気わかったよ。泊まりに行きたいな。
ハルは少しだけ人見知りするよね。大丈夫だった?
もしなかなかなじめなくて落ち込むことがあったら、手紙書いて。
今すぐ話したくなったら、メールしてね。あたしのスマホのアドレス書いておくね。
ゆかりの気遣いが、文章から感じ取れた。ゆかりみたいにできなくていいから、積極的になれたらいい。
でも、あと数日でGWになる。連休までに友達作らないと。
次は、千紗のページを見てみようかな。
四月十八日 曇
びっくりしたよ。昨日の放課後、正門にかわいい子がいるんだけど! って遠巻きに人がその子を見てるなあって思ったら。ゆかりがいるから。
ノートを持ってきてくれるなんて思ってなかったよ。制服かわいかったなあ。ゆかりにすごく似合ってた。
次の日、いろんな人にゆかりのことを聞かれたよ。同じ小学校の友達なんだよって、自慢しちゃいました。
それがきっかけになるかもしれない。クラスの女子といろんな話をするようになった。
もしかして、そうなるとわかってたのかな。だったらすごく、嬉しい。
話すきっかけを作れなかったから。
絵を描くのが好きなんだよって話してたら、美術部に誘われたのね。
でも、お母さんのことがあるから、あまり放課後残れない話をしたんだ。
前まで、その話はしたくなかったのに、すらすら話せたよ。
出られるときだけでもいいんじゃないかなって言ってもらえたから、入部してみる。
今日は、ゆかりの学校の制服を思い出して描いてみたよ。ゆかりの似顔絵は恥ずかしくて消しちゃった。もっとうまくなったらね。
千紗が生き生きとしている。嬉しかったのが伝わる。良かった。
おばさんの話を避けずにできた、心境の変化。私も、頑張らなきゃ。
絵美のページ、今回はなかった。
メモが挟まれてある。
『絵美の家に持っていったけど、会えなかった。ゆかりでも、無理だったみたい。どうしたのかわからないけど、先にハルに送ることにしたよ』
千紗の字だった。
塾が忙しいのか、勉強が大変なのか。私はまだ、この頃は深く考えていなかった。
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