カメとウサギ
長島芳明
カメとウサギ
ウサギがカメに走り勝負を持ち出して、しばらく過ぎた。動物界ではカメたちは絶賛され、ウサギたちは嘲笑されていた。
ウサギたちは愚かな失敗を反省し、カメと走り勝負をする際は「絶対に昼寝をしないようにしよう」と誓い合った。
そして現在、カメとの走り勝負は連戦連勝していた。毎回毎回、勝利の快感を味わっていた。
動物界は地道なカメに同情はしていたが、本音では華麗なるウサギの跳躍に魅了されていた。
面白くないのはカメたちだ。以前はウサギの土俵に上がって勝って、
「生きる上では地道な努力が必要。油断大敵。うんたらかんたら」
と言われていたのに、今では、
「生きる上では持って生まれた才能が、うんたらかんたら」
と言われている。今日もウサギとの勝負の話しがやってきた。無論、今回も負けた。勝利したのは最初の一回だけだ。憂うつな気分になる。
そこでカメたちはウサギに、こちら側から競技を持ちかけた。
「特殊じゃないよ。オリンピックの競技だよ」
と。
そしたらカメは連戦連勝した。途中でカメが昼寝をしても勝っていた。ウサギは必ず負けていた。
しかし動物界からカメたちに、非難ごうごうの嵐が襲った。
「カメがやっている競技は危険だ。危険な競技だから今すぐ廃止せよ」
ウサギはその競技に負けるどころか、必ず死亡した。カメたちはウサギに勝てる競技で勝負をしたのに、こんな結末になるとは思っていなかったのでぼやいたしまった。
「オリンピックの競技として採用されているじゃないか……。水泳勝負のどこがいけないんだよっ!」
カメとウサギ 長島芳明 @gunmaNovelist
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