223 イエロードラゴン肉と温泉を楽しむ!

 適当な所でエアが影の中の別荘に入ると、精霊獣たちも心得たように合流して来た。

 せっかくゲットしたので、イエロードラゴン肉のステーキにしよう!

 色んなタレで味変を楽しむのもいいが、最初はシンプルに塩胡椒で。塩は旨味の強い岩塩を削り、胡椒も粒胡椒を挽きたてで香り高くしてから使う!

 付け合せは焼き野菜、ポテトサラダ、カブのポタージュスープ、ご飯、ロールパン。どちらも食べたかったので。

 焼き野菜はステーキの隣のコンロで一緒に焼き、他は【食品メーカー】で作ったのではなく前からの作り置きである。


 ステーキは強火で焼き、食品でよく使う大きな葉に包み、余熱で適度に火を通す。

 イエロードラゴン肉は脂身が少ないが、絶妙に柔らかく、かつ弾力もあり、旨味もすごかった!希望通り、美味しいドラゴン肉でエアも精霊獣たちもお替りをしたぐらいだった。

 定番グレービーソース、オニオンソース、ニンニク醤油、バターレモン塩、ポン酢……と何のソースでもタレでも合い過ぎた。

 本当にドラゴン肉はどれもこれも美味い!


 心ゆくまでもっと食べたい、とついドラゴン狩りに行きたくなるが、自然界のバランスを崩してしまうとしっぺ返しを食らうので、自重しないとならない。ダンジョンエラードロップでドラゴン肉は手に入るのだから。


 ドラゴンの群れの相手はエアだけならさすがにキツイだろうが、精霊獣たちも一緒なら余裕で狩れる。

 この最高戦力でどこかの国に戦争を仕掛けるつもりはまったくないが、そういった風に利用したい人たちは腐る程いるのを忘れないようにしよう。



 さて、夜まで我慢するつもりだったが、食休みは必要だし、使いたくてうずうずしているので【温泉作成バングル】を使ってみよう!

 …と言っても、別荘の増築したバスルームの湯船に温泉を注ぐ…いや、入れるだけだ。温泉作成バングル内にたっぷり蓄えられているので一瞬である。


 この温泉は硫黄の匂いはしないが、少し白濁した温泉で、特有のぬめりもあった。効能は頭痛、腰痛、肩こり、湿疹、肌荒れ、疲労や古傷や骨折、内臓疾病の緩和、血行促進、体質改善…等々とほとんどすべてに効く。


 早速、湯船に入ってみると、ほんの少しピリッとした炭酸温泉だった。飲んでも効能があるらしい。ポーションに使えば、効果が更によくなりそうだ。


「あ~溶ける…気持ちよ過ぎて…」


 温泉はどれも好きだが、この温泉が今までで一番好きかもしれない。

 精霊獣たちも「のへ~(腹ばい)」「のび~(仰向けで手足を伸ばした状態)」「ぷかぷか(ゆっくり猫かき)」と浮かび、かなり気に入ったようだ。

 こんなに気持ちいい温泉は、是非とも景色のいい所に露天風呂で設置したいものだ。湯船には岩風呂もちゃんとあるのである。


 それにしても、フォボスダンジョンは思ったより難易度が高くない。

 ……いや、エアがハードなダンジョンばかり行っていたせいかもしれないが、ソロならもっと苦労するのかと思っていたのだ。

 ちょっと拍子抜けしたので、2階を踏破した時点で今日は終了にしよう。3階は砂漠フロアなので、気が抜けてる状態ではよくない。


 やっぱり、ザイル国の食材豊富なクラヴィスダンジョンに行くべきだったか。

 全130階とかなり歯ごたえのあるダンジョンだが、大半は10階ごとにある外に出られる転移魔法陣はない。

 変わったシステムを導入しており、転移石がドロップして一週間以内なら、到達したフロアのうち好きなフロアから再スタート出来るのだ!

 その辺りも冒険者に人気になっている。

 ドロップを売ったり補給したりと気軽にダンジョンを出られるので。


 いや、でも、砂漠トカゲや砂漠羊も食べたいので小国群の市場にも行きたい。

 シヴァに連れて行ってもらったアイリスも楽しかったそうだし、エアも連れて行ってもらう予定だったが、何かと立て込んでいてまだ行ってなかった。


 ふとマルチツールの【タブレット】で確認してみると、【ゲートリング】の転移可能な場所に、砂漠のオアシスの街もちゃんと入っていた!

 他のダンジョンの砂漠フロアでは出ないが、ここフォボスダンジョンの砂漠フロアでも砂漠トカゲや砂漠羊も出るそうだ。

 食べたことがないエアは向いてる料理を知らないので、予習がてら砂漠の国の現地に食べに行くのもいいだろう!


「よし、夕食は各種砂漠料理だ!」


 エアが精霊獣たちに話すと、一緒に右手(右足)を天に突き上げた。


「にゃーっ!」


 その後、何かと立て込んだので、エアがフォボスダンジョン探索を再開するのは、大分経ってからになった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る