221 意外と殺し慣れてるわね ―ババアのいる冒険者パーティside―
「うっわー!まったく気付かんかった…おれ、斥候なのに…情報にあったミラージュスネークの上位種か?」
「多分?」
「何か斬った、としか分からなかったって~」
「…おいおいおいおい!かなり上方修正する必要があるぞ。あの人、マジで強ぇ……」
「ソロでこのダンジョンにいるってこと自体、実力者なのは確実だけど、聞いたことないよなぁ?あの容姿でああも腕が立てばかなり目立つだろうに」
「答えなかったけど、やっぱり他国から来たのかも。……っていうか、キャロ!子供扱いはかなり失礼過ぎだろ!」
「別にいいじゃない。怒ってなかったんだから」
「それは結果的に、だ!おれたち六人程度、どうとでも出来るからこそ、おれたちと会ってもまったく身構えず、まったりとおやつを食ってたし、イレギュラーボスの宝箱を目の前で開け、その上、中身が何だったかも気軽に教えてくれたんだぞ。その意味、ちゃんと分かってるのか?」
いわば、試された、感じだ。
イレギュラーボスのドロップは、何だろうとレア物に決まっている。レア物はオークションにかけられ、かなりの高額になる。盗品は表のオークションにかけられないにしても、裏のオークションでも高額になる。即席強盗になる冒険者なんていくらでもいるだろう。
何かと面倒なので代理人を立てる人ばかりで、レアドロップを手に入れた戦闘力が高い冒険者本人が管理しているワケではないのだから。
「分かってるから、ババア呼ばわりされても攻撃しなかったんでしょ。あの人、意外と殺し慣れてるわね」
日常生活と同じように殺していれば、今更、身構えたり、
「何を今更。Dランクへの昇格試験はどこでも盗賊相手だろ。Cランクになるまで冒険者をやってりゃ、荒事の修羅場もかなり踏んでるって。しかも、ソロなら格段と」
「そうじゃなくても、あの容姿で舐められまくってるんだろうなぁ…。あの綺麗な緑の目はエルフの血が入ってるっぽいし」
「…ああ!だから、筋肉があまり付かない体質なのかもな。身体強化をかけてなくて、あの速い動きだぜ?」
「マジでっ?」
「おう。目を疑った。身体強化ってどうしても身体全体の魔力が『濃い』感じになるのに、全然なかったし。相当ステータスが高いぞ」
「だったら、やっぱり、とっくに有名になってそうなんだけど……?」
「こっちに来たのはまだ最近で、ギルドにもあまり来てないのかもな」
「まぁ、ともかく、キャロ。今度会ったら、改めてちゃんと謝るように!」
「そうやって、引きずる方が嫌がるんじゃないの?予想以上に強いと分かったから謝罪って、変な勘ぐりをされそうだし~」
メリットがあるからお近付きに、という輩と一緒にされたくない気持ちは分かるものの……。
「いい加減、しっかり反省しろ!」
「だいたい、見た目通りの年齢じゃない種族だって、割と多いんだからな!」
「変な偏見も捨てろ!」
そこに、パサッ…と風を切る音がした。
「…おい、上だ!ランボリングイーグル!備えろ!」
「了解」
「素早さアップのバフをかけるわ」
そんな風に探索を続けて二日。
フォボスダンジョンは予想していたよりかなり広く、2階へと繋がる転移魔法陣を見つけた所で【エスケープボール】を使い、ダンジョンの外に出ることになった。
思ったより食材ドロップが出ず、ポーション、薬類の消費が多くなり、武器の破損、
続きからやり直しは出来ず、また最初からになるが、地形と出現魔物がだいたい分かった。
それに、換金率のいいマジックアイテムのドロップを、そこそこ集められたのは中々運のいいパーティだった。
――――――――――――――――――――――――――――――
新作☆「番外編69 手をとりて 煌めく古都や ささめ雪」
https://kakuyomu.jp/works/16817330656939142104/episodes/16818093089938515440
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます