197 何やらすごい発見をしてしまったらしい
ビアラークダンジョン21階のイレギュラーボス…
そして、見本にポケット型マジック収納を出して見せると、約十五分後、まったく同じ物が300個も詰まった箱がドロップしたのだ!
しみじみ改めて、なんてぶっ壊れ設定だろうか!
エラードロップ二つ分とはいえ、どのぐらいの価値の物という規定のようなものがあるらしい。
では、容量は同じで時間停止バージョンもたくさんドロップするのでは?300個までは行かなくても。
興味深かったので、リポップを待ってエアがチャレンジしてみた所……。
「…おれの苦労は一体……」
50個も!出た。
いくら容量は少ないとはいえ、時間停止収納の価値は六倍程度ではないハズなのだが……。
1つ分解して分析してみた所、使ってある魔法陣も素材も違っており、より安価、より作りが簡単になっていた。
では、同じに見えて違うのかも、と最初に300個もドロップしたポケット型収納も分解して解析してみた所、素材が微妙に違うし、魔法陣にも知らない文字が刻んであった。
これはシヴァに報告案件だろう、と報告してみた所、
「…こんな方法があるのか。見たことのない文字は古代魔法っぽいな」
と時間停止と時間停止じゃないポケット型マジック収納の1つずつと、あるマジックアイテムとを交換して行った。
「ケーキメーカーってさ…」
手のひらサイズの長方形の板のようなものは、タブレットと似たような感じのモニターでリストが表示され、選択すると材料から作ってケーキが出て来る【ケーキメーカー】。
最初はたっぷり材料が入っているので、選ぶだけでいいが、不足分は補充し、材料が足りない物は作れなくなるらしい。当然ながら、時間停止機能が付いており、すぐ食べなくても保存してくれるが、食材限定になっていた。
食材を入れてから出て来るまでのタイムラグはほとんどない。
もはや、調理器具ですらない。錬金術をマジックアイテムで再現したのか。レベルが違い過ぎるし、発想もすごい!
ちなみに、エアの錬金術だと段階をいくつか飛ばせる程度で、ここまで速くは作れない。
精霊獣たちと楽しく選んで色んなケーキを食べてみた。
一人と六体で少しずつ分ければ、種類を食べれるのだ。
バターケーキから生クリームやチョコクリームのデコレーションケーキ、ムースケーキやアイスケーキまであった。ケーキと付くお菓子は片っ端から、という感じで、レシピも表示されるので手作りで作ることも可能になっていた。
「って、シヴァ基準でこれ程の価値があるってことだよな?それを安く貸し出すのは…うーん…」
ケーキを色々楽しんだ後、エアはこのことに気付く。
そもそも、マジック収納をこんなにたくさん持っているのは、不審極まりない。ダンジョンでドロップするマジックバッグは、長期で潜っていて一つでも出ればかなり運がいい!と言われるぐらいドロップ確率が低いのだ。
貸し出すマジック収納は作り貯めていたのを買い上げた、で通るだろうが、短期でまた、となると……。
とりあえず、ドロップしたポケット型収納の作り方で、エアが作れるかどうか確認してみると、作れた。時間停止も難なく。
ええっ?と10個作り、大きさを(2)(3)の大きさで今までの素材で作ったが、全部成功。
時間停止なのに!
簡単な作りになったな、とは思ったが、成功率がこれ程、上がるとは。
この魔法陣に使ってある古代魔法?の指南書か、魔導書がないだろうか、とまたしても
ダンジョンにとっての価値は、普通の本と変わらないようだ……。
エアがその本をパラパラめくってみると、今使っている言葉で書いてある本が二割、八割は見たことのない文字で書いてあった。今の言葉になるまで古代魔法は使われていた、近代に研究者がいた、と考えるより、ダンジョンコアが訳してくれた確率の方が高いだろう。
古代の文字じゃないと表現出来ない、発音出来ない、現代では名前が違っていて、何を示すのか分からないものもあるだろうから、全部は訳していないのかもしれない。
シヴァに再び連絡を取ると、全部複製し、複製した方をシヴァが持って行った。対価は保留で。
欲しい物も、知らなかった珍しい物も、便利な物も、とっくに山ほどあるので、エアにも対価は思い付かなかったのである。
エアたちはビアラークダンジョンで食材をたくさん集めてから、【影転移】を繰り返して『ホテルにゃーこや』へ行った。
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新作☆「番外編67 色葉散る村、森の主」
https://kakuyomu.jp/works/16817330656939142104/episodes/16818093088696513502
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