122 何百年か前にはあった月
エアたちがいるビーチの周辺は飛行ライトで明るくしてあるので気にならなかったが、もうとっくに日が落ちて空は満面の星空と……星の何百倍もある大きな球体があった。
星よりも輝いているが、眩しい程ではない。
よく見ると、まったくの球体じゃないらしく、デコボコしている。
暗くなるまでビーチにいなかったので、今まで気が付かなかった。
月だ。
何百年か前にはあったと聞く天体。
ここは『地下』。人工的なものなので、かつての再現なのだろう。
月は太陽が反射した柔らかい光なので、ぼーっと見てるのも中々いいかもしれない。
食後のデザートは従業員おすすめでさっぱりとシャーベットにした。
果実水を凍らせてあるのだが、凍らせる時に何度かかき混ぜて空気を含ませてるので、柔らかく舌触りもいい。
かき氷はかき氷でまた別の味わいがある。
ふわっふわに削れるかき氷器はシヴァに売ってもらい、食べられる氷を出せるエアはいつでもふわっふわのかき氷が食べられる。
シロップやトッピングを色々と工夫するのも楽しかった。
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片付け終わると、エアの影転移で従業員もにゃーこたちも一緒に本館ロビーに転移した。
転移魔法陣は決められた場所にしかないので、まずそこまで移動する手間がかかる。エアが影転移を使った方が速いのだ。
そこで、従業員とにゃーこたちと別れて、エアたちは歩いて大浴場まで行く。廊下や窓の装飾も見ごたえがあるし、色々飾ってあるので見ながら歩くのも中々面白いようにしてあるのだ。夜だとランプシェードが色々あってキレイだった。
砂時計で使ってあったような特殊な透明樹脂みたいなのに、色が付けてあってカラフルでもあった。
「で、お前たちはどこで寝るんだ?」
大浴場を楽しんで部屋まで戻って来ると、エアはソファーでゴロゴロしている猫型精霊獣たちにそう訊いた。ロビンはアイリスについてるので五体だ。
「にゃ?」
どうしよう?みたいに精霊獣たちは小首を傾げる。
「おれと一緒の部屋で寝たいんなら、もう一台、ベッドを出してもいいけど、寝室にもソファーあるし、どうする?…あ、部屋にも結界が張ってあったりするのかも?」
エアが確認してみた所、部屋には個別に結界は張ってなかった。2LDKで一部屋という区切りなので、よく知らない相手と同室にはならないという判断か。まぁ、確かに。
扉が閉めてあっても精霊獣は自由に行き来出来るので、好きな所で寝てくれ、と言った所、いつの間にかロビンも来ていて六体全員、エアと一緒のベッドで寝ていた……。
何故。
まぁ、ダブルベッドで広いし、室内は過ごし易い気温設定にしてあるので、寝苦しいといったことはないが、少し驚いた。召喚アイテムで呼び出せるのは相性のいい精霊獣だけのようなので、契約者の側にいる方が居心地がいいのだろうか。
ロビンやニキータも含めてまだ日が浅いこともあるのかもしれない。
そうなると、アイリスの護衛は交代制にした方がいいのだろう。
エアは過酷な環境フロアがあるダンジョンに行かない限り、全員引き連れていなくても全然いい。
かといって、一体もいないのも寂しいのだが。
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新作☆「番外編62 万物は相克(そうこく)し、相生(そうせい)する」
https://kakuyomu.jp/works/16817330656939142104/episodes/16818093083906353220
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