雨模様(あまもよう)

夜桜くらは

雨模様(あまもよう)

 あたたかな雨にの芽のうるむかな


 春驟雨はるしゅうう 手を引くきみの笑ひ声


 春雨の水毬みずまり仔猫の転げたる


 花の雨 拍手を受けし桜かな


 雨催あまもよひ 風あやしげに頬撫でる


 アスファルト香る 夕立後の帰路かへりみち


 手洗ひて拭かず散らすやうな白雨はくう


 勉強会らずの雨や 夏の夕


 ぐずる空 網戸にてあやす坊主かな


 傘の下 るランドセルに露の玉


 霧雨のけぶりや 枯れし喉に染む


 雨粒に くつたりとなるすすきかな


 小夜嵐さよあらし 泊めよと叩く秋の宿


 野分のわきちこうて頭痛の種となりにけり


 雨障あまつつみ むろ満たす焼林檎の香


 泣き止みし空は茜に恥づかしげに


 雨音に風邪の寝息の響きをり


 片時雨かたしぐれ 干したる布団しぼみにけり


 白菜の丸みに寄りし雨雫あましづく


 やはらかに雨氷うひょうほどけし春隣はるとなり

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