第18話:山賊の遭遇と王国聖騎士団
~ハステレイル領・山賊の縄張り内にて~
「…………」(まさかこんな事になるなんて思わなかった…)
現在、僕は山賊に囲まれているのである。
遡ること5分前…
◆
ハステレイル領・森
「よっと…」シュタッ…
木をジャンプで渡ったりすることをほどほどにして異形から人間に擬態して地面に着地すると…
「誰だ!」
突然、見えない誰かに見つかった。
(ヤバっ…向こう気配遮断してる!)
ここは誤魔化した方がいいと判断し
「た、ただの旅人ですよー…」
と言って誤魔化したら…
「何だ、旅人か…」
通じてくれたみたいだ、と思ったら…
「な訳あるかー!侵入者だー!」
「そうですよねー!」
◆
と、いった感じのやり取りをして今の状況に至る。
(………数多くない?退路塞がれてるし1人で十人倒してもその約5倍居るのはなぁ…異形だってバレたく無いし……)
剣を虚空から出現させるように魔剣フィストラテインを出し構える。
「あ、あいつ何も無い所から剣出しやがった!」
「何ビビってやがる!向こうは多勢に無勢なんだ、一斉にかかれ!」
それはその通りだ、人間1人で約50人とかたまたま全員が腹痛に倒れる事が起きなきゃどうあっても多勢に無勢でしかない…
(……それでも、生きる為に………あれ?風を切るような音がする…?)
少し地面に近づくように身を屈めると…
ヒュゴォォォォ!と音をしながら飛んでくる矢の気配を感じたが……
(…矢がする音じゃない……!!)
そして射線上に居た山賊約10人程に風穴を空けて木を1本突き抜け2本目で刺さって止まった…
◆
「旅人が居るから当たらないようにしたが……まぁ、十分だろうな。俺は後は軽い援護をしていく、旅人の救助はお前たちに任せる」
「はっ!」
「突撃ー!」
◆
「親分!王国聖騎士団です!」
「なっ…何で聖騎士団が来るんだ!領内の騎士団じゃねぇのか!」
「わ、分かんねぇ!」
山賊たちは聖騎士団と呼ばれる集団が現れたことに見るからに慌てふためいている。
「十人くらい消し飛んでたから親分以外は切っちゃって良いよね?」
ブン!……ドスリ
山賊の1人に切りつけと突きで確実に殺しにかかる。
「がはっ…」ブシュ……バタッ…
「大丈夫ですか!?」
1人だけで山賊5人を吹き飛ばしながら僕の方に聖騎士団の人が来た。
「あ、はい。大丈夫です」(……極力敵に回したくないなぁ)
「では、隊長の方に撤退してください!背中はお任せください!」ブンッ!
ザシュッ!「ぐはっ…」バタッ
「分かりました」タッタッタッ
撤退している途中も剣を振る音と山賊が斬り伏せられる声が後ろから聞こえた。
………
…………
「取り逃しは居ないな?」
「全員確保しました!」
あれから数十分、山賊たちは王国聖騎士団の隊長除く6人の手で片付けられた。
「旅人は災難だったが運が良かったな。女神ラステアが微笑んだのだろうな、最も私はそんな教会の戯言は信じぬがな」
「隊長、旅人に愚痴っても意味無いですよ…」
(……女神ラステアか…存在するかは分からないけど今、現れたら間違いなく負けそうだ)
「さて、旅人よ。時間はかかるが我々と共に街に向かうか?周辺には山賊の住処は無いだろうが、どうする?」
「いえ、大丈夫です。」
「そうか。十分に気をつけて行くと良い」
「はい、ありがとうございました」
王国聖騎士団と別れを告げ、街に向けて歩いていく。
◆
旅人の背中が見えなくなった頃…
「あれが異形とは思えんな…」メガネスチャ
「隊長の見間違いじゃ無いんですか?」
「間違いなくさっきの旅人が異形だ。」
「けど、俺たちに敵意がある感じは無かったですよ?」
「成すべき事とその障害を必要以上に作らない在り方、善悪の分別が出来ている育てた者の心が良かったのだろうな」メガネクイ
「なら、一般人を傷つけなければ俺は特に気にしない方向でいきますか」
「そうか…まぁ、ここの領主が異形と知った時奴がどうするかは気になるがな」
隊長である男の名はアンドレイ、『無尽聖弓』こと聖弓イチイバルを扱いし者であり広さを問わず領地とその隣接した領地内を未来過去現在を問わず視る事が出来る眼を持っているがON/OFFが出来ず頭が痛くなる為、平時は眼鏡を着けている。
◆
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