第15話:脱出後

~バイナリアーク領の森の中~

「はぁっ…はぁっ…」(この息の荒さは…精神的なもの…だと思いたいな……)

僕は今、バイナリアークの闘技場や街から結構離れた森の中で少しバテていた。

「それにしても…闘技場で起きてたアレなんだったんだろ……」

さっきの状態を思い出しながら左脇腹を見るがそこには何も無い…

「……もしかして、同じような事が起きたって事…かな?」

今はフィアンマブル家の魔剣が表に出ている。試してみる価値はあるだろう。

「………どうやったら変えられるんだろ…んー……確かこの場合は…鉄機抽出を試してみようかな」


━鉄の異形の力:鉄機抽出━

外部から鉄製やそれに関わらず武器や防具を取り込んで合一してしまった時に本物を身体から取り出す力である。確実な取り出し方は取り込んだ場所に手を突っ込む事である。

今更だが、この解説はガオウ本人には見えてない代物であり私が担当している【Byフィアンマブル家の初代クレア=フィアンマブル】


「……ふん!」

ズブリ!

(自分の身体の中を自分でまさぐるってすっごい変な感じする…)「あっ、見つけた」

ズズズズ…ニュポン

「これが、『魔剣ビェトラス』……」

刃部分を見てみると肉や皮を裂くようなイメージが出来なくもないが……

「闘技場で見た形状と全然違うんだけど……」

闘技場で当主が持っていたのは直剣の覚えがあるのだが…今持っている剣はまるで『刃の長い斧』のような形だった。

(…これ持って戦ってた初代バイナリアークの人…身体能力に物言わせて当ててそうだなー…しかも内側にも刃を付けてるし…)「あれ?なんだろこの部分……」

一部分固定していない箇所を発見した。

「これ、人によってはゴミ扱いしそうに癖強そうだな…!」

固定していない箇所を自分の方に向くようにして構えて…

「勢いよく振る!」

ブ「ガシャ」ン!

「……変形可能武器だったんだ…」(もしかして、この武器2振りで1つだったりしたのかな…そんな溝があるし…まぁ、合一したら複製出来るし問題無さそうかな)

再度魔剣を合一させる。

ブスリ…ズブズブズブズブ…

「…よし、再度の合一化も完了」(…次、向かう領は……)

腕のみを人に擬態していたのを全身にして地図を取り出して見る。この地図はテトラシア王国の地図であり中央に王都と大教会と王城が有り、その周りを8つの家に分けられた領地が存在しており地図外の部分は人が住まず魔物のみが住むエリアだ。現在地を示してくれる魔法が施されてるのが有難い。

(今の僕には用の無い場所だね…)

それぞれの家が持ってる領地の方角だがフィアンマブル領は真南に位置しており南東にバイナリアーク領、南西にメトラクナ領、東にハステレイル領、西にバスドラ領、北西にクレタゾール領、北東にオルトナ領、北にタイトラス領となっている。

「…近いのは、ハステレイル領か」

とにかく、異形がどれだけ居るかは分からないが故に脚で探していくしかない。

「………敵しかいない茨の道だけど、成さないと…」

それは過去の為か、姉の為か、異形の為なのかは今は僕自身でも分からない…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る