第14話:当主との戦い
◆
~闘技場の控え室への廊下~
「………」トボトボ…
「アリステラ」
「は、はい!」
「こんな時間の闘技場に参加するとはな…」
「レドガーさん……」
「生命があったから良かったがそうじゃなかったら損失がデカすぎるんだよ…勇者の素質があるって言う自覚を持ってくれ……」
「すみませんでした…」
「それで異形と戦ってみてどうだった?」
「歯が立ちませんでした…」
「それは見てれば分かる。俺も聖剣を全力解放しなきゃ奴には重傷を負わせらんし逆に半殺しにされるだろうな」
「レドガーさんでもそうなってしまうんですね…」
「ああ、そうだろうな。だが、お前と戦ってた奴には殺意が無い今なら勝ちやすいな。」
「結局、時の運ですか…」
「さぁ、帰るぞ。罰としてフィアンマブル領への関所まで走るぞ」
「い、今からですか!?」
「そうだぞ。お前が何もかも足りないって思ってるなら結局は、鍛えるしかないからな」
「……分かりました!」
「俺は部下に伝えてくるから先に行ってろ。後から水持って来てやるからな」
◆場面は戻り…
「………」(奴が私の屋敷に喧嘩を売りに扉を破壊した異形か…!)
「………」(…バイナリアーク領の領主…アクレス=バイナリアーク……)
「すっごくバチバチしてますねー…両者、準備はよろしいでしょうかー?」
「何時でも構わない」
「………」
こちらも大丈夫と言う風に右腕を上げる。
「…では、勝負開始ー!」
「………」(向こうは片手剣と盾…ジリ貧にさせて終わらせる!)
今回はさっきまでの3戦と変えて、最初から攻勢に出る。
ブン!ガキィン!ギギッ…
「やはり、異形は考え無しに突っ込んでくるのだな…!」
ガキュィン!
ちょっとイラッと来たのと向こうが斜めに斬ってきたのでそのまま受けるが痛くはない…あの娘が受けた
「なっ…我が家に代々伝わる異形を殺せる『魔剣ビェトラス』が効いていないだと!?」
ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!
魔剣が効いていないのもそのはず、大教会曰くこの世界にある聖剣などの『聖』と名のつく武器はその武器が適正のある者を選ぶ。対して、魔剣や魔槍などの『魔』と名のつく武器は…
「…あなたは妹と語り合うべきだった」
「異形如きが家族を語るな!」
ガキュィン!ガキュィン!ガキュィン!ギギッ……
「……その剣はあなたには扱えない、あなたの妹なら扱えた…」(さっきの娘の方が見どころあったし…)
「黙れ!」
「……終わりにしようあなたやあなたの子供が
鉄の触手を最大数の20本、腰から出現させる。
「なっ……」
ドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドスドス…
「がっ……や、やめろ…!」
『異形を喰らう異形として汝の力を我が元に、汝が
これは親族ではなく血の繋がらない他人に行う場合に必要な
ドッドッ…ドクンドクン…!
(……███を全部回収した…!)
当主の身体を触手から解放して雑に地面に投げる。
ポイッ…「ぐへっ…」
「……すぅー…ふぅー…」(魔剣を回収して…領から逃げよう…!)
と思った時……
ヒュン!ドスリ…
「えっ……?」
左脇腹に何かが刺さったような感覚があり見ると……目に飛び込んできたのは…
ズブズブ…
『魔剣ビウェトラス』が僕の身体に沈み込んでいく光景だった。
(……いまは、気にせずに逃げないと…!)
そして、僕は観客席などを使って闘技場の外から更に街の外へ姿を消した……
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