第13話:バイナリアーク領の闘技場にて②

「に、2連勝達成ー!」

続く2回戦目も特に観客からしても面白みもなく終わってしまった。

(………見世物じゃないんだよ…)

「さぁ、三連勝まで後一勝です!3人目は……な、何と!?…み、皆様少々お待ちを……」

何かハプニングが起きたようだ。

「お待たせしましたー。気を取り直して異形が戦う3人目はー…この方です!」

通路を歩いて現れたのはさっきまでの2戦とは違って女性だった。

「彼女は今日たまたまこの領地に守備隊の視察兼強化訓練にこられた王国騎士、別名『聖烈刄』レドガー様……の付き添い兼見習いであるアリステラさんでーす!」

付き添い兼見習いの時に観客席の観客がずっこけたような気がしたけど、こっちとしては別名からしてヤバすぎる相手で無かったのが幸いだった。

「…対戦の程よろしくお願いします!」

「……よろしく」

(しゃ、喋った!?)

(…話さない方が良かったかな)

「では、両者共に準備は良いですかー?」

「大丈夫でーす!」

「…………」

同じように手を挙げる。

「……では、3戦目スタートです!」


(相手は異形とはいえ気を抜けば殺られる…)【スキル:詠唱短縮B】『三門解放!』

少女の背後に色が違う3つの魔法陣が現れる。


(あれは…魔法陣か!)

向こうは手加減をしてこない目をしていた。それに押されていてはこの先、生きる事など出来はしない。


「……」ダンッ!

魔法陣を3つ展開したまま少女は細剣を構え今までの2人よりも早いスピードで距離を詰める。


ギィン!キンッ!キンッ!カキンッ!

「!!」(本当に見習いの付き添いの腕なのかな…!この角度は……射線上!)

ゴウォォォ!ビュオッ!

魔法陣から炎や風が僕を狙うように放ってくる。さっきまでの2戦とは違って実況を聞く余裕も無さそうだ。

「……君、本当に見習いなの?」

キンッ!キンッ!キンッ!ギギッ…

「そうよ。名も知らない異形くん」(喋ってたのは聞き間違いじゃなかった…!)

ゴォッ!ガキガキガキ…!ビュオッ!

「強くなったら本当に王国騎士のてっぺん取れそうだね…!」

ザザッ…

「それだけなら良かったけどね…!」


(剣先がブレたかな…!)

カキュィン!


「えっ…」(つ、突き主体の細剣を弾いた!?けど、剣も蹴りもここには届かない…体勢を整えて……)

ガオウの剣も槍の蹴りも身体に合一がっちゃんこしている為本来の武器より射程が足りないのだが…

「見せてなかった手、いくぞ」

彼女の耳にそれが聞こえたと同時に…

ドゴッ!

「かはっ…」

彼女の胴体全体を強烈な衝撃【大体ショルダータックルくらい】が襲い肺から空気を捻り出され吹っ飛ばされる。

(な、何が起きたの…?)

パキャンパキャンパキャン

(た、立たなきゃ…)

「チェックメイトだな」

「っ……」

少女の目の前には自身の細剣を拾い剣を向けてる異形の姿があった。

「参りました…」


「勝者、異形ー!」

「…いい勝負だったよ」(…僕が生身の人間と同じなら、だけどね……)

細剣の持ち手部分を少女に向けて手渡す。

「……対戦ありがとうございました…」(傷すら付けれてない…まだ頑張らないと……)

少女が細剣を手に取ったのを見て手を離す。


「三連勝したので当主様への挑戦権が与えられました!やりますか?」

もちろんやると言うように右腕を上げサムズアップする。

「わかりました!では、当主様のご入場です!」


━本来の目的である███の根絶を果たせるのか…そう思うガオウだった━

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