第12話:バイナリアーク領の闘技場にて

~バイナリアーク領:闘技場~

シュタッ…

「……」(当主自らが出てくるか…どうかかな……)

まだ完璧に獣の異形の力が馴染んで無いので力としては中途半端だが、こんな機会は今後無くなってしまう可能性を考慮すると来ざるを得ない。


ボッボッボッボッボッボッボッボッボッ…!

「会場にお越しの皆様、大変お待たせしました!たった今、闘技場の中央に現れた者がバイナリアーク家の屋敷を襲撃した異形でございます!」

暗くて分からないが、観客席に視線を移すと歓声や「さっさと始めろ!」と言った罵声やヤジが耳に飛んでくる。

「では、これから異形には当主様への挑戦権獲得として3連勝を目指していただきます!よろしければ、腕を上げてください!」

(……基本不殺で行こうか…)

言われた通りに片腕(剣)を上げる。

「確認が取れました。では、最初の剣闘士の登場でございます!」

カツカツカツ…ザッザッザッ

出てきたのは両手剣を背負った男の剣闘士だった。顔は兜と周りがあまり明るくないので分からない。

「最初の剣闘士の名前はワトリア!この闘技場にて優勝経験有りの剣闘士でございます!では、両者位置に着いてください!」

「「…………」」

お互いに一定の距離を離れ構える。

「では……試合開始!」

「………」

相手の動きを見つつ鉄機変換で両腕を鋏の形状にする。

【まるで某特撮の〇〇〇〇星人みたいだね】


「…ふん!」

向こうが一息に距離を詰めて両手剣を煌めかせながら上段から振り下ろしてきた。

ガギィン!ギギッ…ガキッ…

「おぉっとー!異形がワトリアの一撃を受け止めたー!」

「なっ…」(魔力を使ってブーストした振りを受け止めただと!?)

「………」(少し地面に埋まったけど問題無さそうかな…)


「くっ……」(け、剣が動かせない…!?)

「………」

鋏の刃部分を火の異形の力と受け止めた際に発生した摩擦で赤熱化させ…閉じた。

バツン!

「な、な、何とぉー!ワトリアの両手剣を異形が3等分に切り落としたー!武器破壊は予想外だー!」

「次は武器だけじゃ済まなくなるよ」

「っ……まだだ、まだ終わってない!」

「ワトリアは、剣が折られても尚まだ立ち向かっていくー!」

「………諦めが悪いね…」

折れた剣が横からさっきと同じように魔力のブーストを乗せてスイングされるが…

「重さと、距離が無くなると両手剣は弱いね」

身をかがめて攻撃を容易く避け先端を丸くした槍(脚)で腹部を火の力のブースト込みで蹴り上げからジャンプで距離を詰めて……

「これでトドメ!」

ズドーン!

地面に撃ち落とした。

「蹴り上げてからの撃ち落としのコンボが決まったー!結果は土煙が晴れるまでお待ちください!」

土煙が晴れていく立っていたのは…

「…勝者、異形ー!」

(……手加減したけど人間って脆いな…)

さっさと2回戦目をして欲しいと思った。

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