第10話:異形を喰らう
━バイナリアーク領:夜━
酒場や宿屋に併設してる酒場が賑わう時間帯に入ってから少し経った頃…
~異形奴隷専門店~
キィ…カチャン
「あ、すまねぇお客さん今日はもうs……い、い、異g…あがっ…!」
店主が時間外に入店してきた相手が客ではなく異形だった事に面食らった隙に鉄の触手により全て拘束する。
「…奴隷の所に案内しろ、逆らったり怪しい動きをしたら生命は無いと思え」
剣となった腕で店主の腕に軽く傷を付ける。
「っ…は、はい!」
店主を脅して案内させると地下に向かっていくようだ。
「………」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
「…早くしろ」
剣を店主の背中に押し付ける。
「す、すみません!」
地下に案内されてたどり着いた場所は見るからに分かる牢屋が向かい合わせに2つある小部屋だった。
「部屋の真ん中で腹ばいになって顔を上げるな」
「は、はい!」
「どんな動きをしてようがこっちには全て聞こえてるからな」
「………」
店主の無力化が完了したので…
「解体するか」
向かい合わせの鉄製の檻の扉を剣から口に変えた両腕で食べて解体していく。
「これくらいで十分か」
扉が無くなった檻に入る。
(……人数は…反対側と合わせて3人か……)
異形は元々の数が少ないからそれを専門にするなど物好きか馬鹿のどちらかだ。1人を抱き抱えて同じように2人が居る反対側の牢屋に入る。
「……………」「…………」「…………」
3人とも僕の姿に怖がる様子は無さそう…いや、感情の発露や言葉すらも無さそうな雰囲気だ。
「…僕の言葉は分かる?」
「「「……………」」」((('-')(._.)('-'))コクコク
3人の異形は尽きているが全員火の異形だった、遠い親戚なのかもしれない。
(一方的なら会話可能…)「………3人は"今"の状態は続いて欲しくはない?」
「「「………」」」((('-')(._.)('-'))コクコク
「……僕には君たちが続いていた"今"を終わらせる事は出来るけど、明日や未来は無くなる…3人はこんな事しか出来ない僕でもいいかい?」
「「「…………」」」
3人は頷かずお互いの顔を見る。また離れ離れになるかもしれない…今よりも酷くなるかもしれないという不安を感じあってるのかもしれない。
「…僕はただ運が良かっただけの異形だ。手を差し伸べてくれた人がいたけど…その人のように手を差し伸べる事は僕に出来ない…僕には終わらせることしか出来ない、長く苦しむならいっその事終わらせてしまう方がいい時もある……強制はしないよ」
「「「……………」」」
3人の意志が決まったのか、こちらを見る。
「…終わらせたい?」
「「「………」」」((('-')(._.)('-'))コクコク
「……分かった。眼を閉じて力を抜いててね、一瞬で終わるから」
3人は言うことをきちんと聞いてくれたようで目を閉じた。その間に細い鉄の触手を20本腰の辺りから生やす。
「………ありがとう、僕を信じてくれて。それじゃあ、行くよ」
20本の内の3本で3人の首を痛みの無いように瞬時に切り落とし別の6本で間髪入れずに切り口を鉄で覆い止血し、残る11本で落ちる前の頭をキャッチした後に……
━━3人の遺体を余さず喰らった━━
骨も肉も血の1滴に至るまでそこに居たという痕跡を消すように……
そして、数分後……
「………」(…ごめんね、こんな助け方しか出来なくて…)
僕は夜の街の屋根の上に居た。
本当なら太陽の輝く元で元気に生きて欲しかった……けど、3人を連れて領地の境い目にある結界を超える事は出来ない…関門を突破することはフィアンマブル領に迷惑をかけてしまう。故にこの方法しかなかった。
「……この領でのもう1つの目的を果たしに行こう」
家の屋根を飛び石にして向かっていく…
バイナリアーク家の屋敷へと…
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