第8話:終わりと始まり
~フィアンマブル家・地下~
「………姉さんが結婚してからもう2年か…」
家の中で起きる音は僕が成長するにつれ、意識すればフィアンマブル家の屋敷だけではなく領地内にあるフィアンマブル家の屋敷付近の街中に居る人々の話し声から足音とその種類まで識別出来るようになった。
その為、人間の性行為の音と声も聞こえてしまった。ちょっとキツかったよ。
それは兎も角として姉さんは屋敷の様子からしておめでたの様だね。
…………でも、姉さんの居ない所で浮気してるし僕を使って姉さんを亡きものにして家を乗っ取ろうとしてるのは丸聞こえだよ…
ちゃんと選んであれだと、双方のご先祖さまが浮かばれない気がする……
「……さすがに姉さんが身ごもってる時にしてくることは無いとは思うけど…」
億が一の可能性はある。じいじやメイド長は気づいてて嵌めようとしてるし…姉さんも気づいてるみたいだし……
「……あの人がバカなだけかな…」
それはそれで貴族としてあるまじき醜態な気もするが…
「…向こうの行動次第か……」
家を出るための準備を整えつつその時をひたすらに待つことにした…
◆
そして、その時は以外にも2週間と早かった……抵抗してるがこの部屋への扉に連れてこられてる姉さんの声と夫の押し問答が聞こえる。
姉さんが演技派なのには少し驚いた。外で貴族としての顔は裏表があるようだ
「…大分、近くなってきたかな」
バン!と勢いよく扉を開ける音がした。
「ちょっと、引っ張るの止めなさいよ!」
「さっさと入れ!」
「えっ……」
「!!」(姉さんの足音が無い!)
今の姉さんは身重だ、大きな衝撃はお腹に悪影響しかないダッシュで姉さんが落ちてくる所に待ち構える。
「じゃあな、異形に喰われてろ」
バタン!と扉を閉じられる。
「……姉さん、大丈夫?」
「ありがとう、ガオウ…お腹の子共々大丈夫よ」
「それなら良かったよ。それにしても、姉さん演技得意だね…」
「当主になってからそれなりにもみくちゃにされたからかしらね…」
「そうなんだ…」(お腹の子から僕と同じ感じはしない、けど……危険性は秘めてる…)
━━喰らう時だ━━
「姉さん、少しいいかな?」
「?ええ、良いわよ」
「僕はこの家の為に出来ることをずっと探してた。何か出来ないのかって…」
「…そうなのね」
「そしたら見つけたよ。姉さんの子供や孫から異形を産まれさせない方法が…」
「…そんな方法本当にあったの?」
「うん、あったよ。この方法は異形がやるしかないし初めて試すけど…」
「…ガオウがその方法を見つけて今日までするかどうか悩んでくれていたんだよね?」
その話し方は対外的な話し方ではなく身内の僕にのみ向ける話し方だった。
「うん…そうだよ」
「なら、お姉ちゃんとして弟の言葉は信じないわけにはいかないね」
「……本当に良いんだね?」
「もちろんよ」
「…それじゃあ、始めるね」
自分の腰辺りから鉄の紐のような触手を出しながら姉さんの首筋に噛み付く。
「っ……」
痛いのか少し姉さんの身体が僕の腕の中で跳ねた。
(………大丈夫だよ)
鉄の触手で姉さんをなだめる。
「……」
(大丈夫そうかな…)
なだめた後触手を1本噛みつき跡に付け僕は姉さんの血液の中に███を流し込んでいく、███はその名の通り異形が持つ因子であり女性の血液には初代又は直系を除けば███が薄く更に貴族社会故に他家の███が混じり他家の異形が産まれてくる可能性が出てきて結果的に
今、流し込んでいるのは『鉄の███』であり濃くする事で他家の███が入ってきても鉄の███が他家の███を喰らって鉄の███諸共無力化してくれるので姉さんや子孫の女性が死ぬことは無くなるし鉄の異形が産まれてくることも無くなる。
だが、これは5世紀先などの将来には効果が無くなる…
「終わったよ…姉さん?」
「すぅ…すぅ…」
「寝ちゃったのかぁ…」(けど、ちょうどいいか…)
姉さんの身体をお姫様抱っこで抱えて階段の上にある扉を異形の力をもって開け放つ。
━鉄の異形の力:鉄操作━
鉄等の金属でできた物を無条件で操作する事が出来る力。圧縮、延性、断裂、穴抜き等、汎用性も高く鍵開けも出来る。
(…姉さんの部屋は……)
姉さんの部屋の場所も姉さんに危害を加えた奴の場所も全て分かる。
~レビティアの部屋~
「すぅ……すぅ……」
「よっこいしょっと…」(姉さん2人分くらいあって結構重たかった…)
姉さんに布団を掛けてお腹を冷やさないようにして……
「……子供たちと幸せにね…お姉ちゃん」
そして、僕は部屋を後にした。
~部屋前の廊下~
「レーベ」
「はっ、ここに」
「じいやとメイド長に姉さんの無事と『姉さんと家を頼んだよ』って事を伝えておいて」
「弟様はこれから…行かれるのですか……」
「うん、もう戻ってくる事はないよ」
「そうですか……こちら世界地図でございます」
手渡された地図を受け取り畳んでしまう。
「それじゃあ、出る前の異形としてのひと仕事をしようかな」
「では、私はこれにて失礼します」
レーベの神出鬼没さは短いながらもすごいと思う時が多く助かった。
~部屋前の廊下~
「……ここか」(ぶち壊したら迷惑かけるから…コーティングして開けよう)
鉄操作の応用で木の扉を鉄でコーティングして姉さんが起きない程度の勢いで開け放つ。
「な、なんだ!?」
殺意を込めた目で姉さんに危害を加えた奴を睨みながら部屋に入る。
「い、異形だと!?なんでここに来たんだ!?だ、誰か来てくれ!」
助けを求めても誰も来ない今の姉さんの地位とメイド達の信頼は姉さんが幼い頃から積み上げてきた努力の証だ。
お前には何がある?と言わんばかりに一歩づつ奴との距離を詰める。
「ひっ、ひいっ!あの女だけで満足しなかったのかよ!」
逆だ、逆鱗に触れたのだ。それを知ることもなく死ぬのだが…
「た、助けt…」
その声は自分の手刀と鉄の触手により首と胴体と口の筋肉を断たれ生命ごと途切れた。
「血が流れないようにして…」
鉄で止血して流血を止める。
「それじゃあ、全てをひっくり返しに行こうか……」
ベランダへの扉を開け、屋敷の敷地外へ跳躍し闇夜に紛れる。あの部屋で見つけた初代様の妻が使っていたマスクのような鉄仮面を着け、剣を携えて……
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