第3話:次の日

…僕は███というものが分からない……けど、足音の数が少なくなる█と多くなる█はいつもと一緒、足音の特徴が少し違ってたりするけど僕はそれを███。

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あの人が来ない…僕に力を振るってくる人が…あの人が来ないとお姉ちゃんが来たって分からない……


カチャリ…


虚無の██が来た…と、思ってたんだけど来たのは………


「お待たせー、お姉ちゃんが来たよー♪」


足音と声からしてお姉ちゃんだった。何で?という疑問が僕の頭に浮かぶ。あの人が後から来るの?


「じいじに手伝ってもらって『これからは私がやる』って頑張って説得したんだよ。あっ、じいじはこの家で私のおばあちゃんの時から居る執事さんだよ」


執事さん?ってのはよく分からないけど、お姉ちゃんを助けてくれたってことはいい人かな?

そんなことを考えてる僕を無視してお姉ちゃんは話す。

「それじゃあ、約束通り。ガオウが喋れるようにする為の物持ってきたから試そっか」

そう言って持ってた袋から何かが入った入れ物を出してきた。

「右から順番に…蜂蜜、気付け薬、黄の雫、調声草っていう植物を粉にした物、この中のどれかが効くと思うよ!」

……どれもこれも初めて見て聞いた物だ。外にはこんな物があるんだ…僕は、お姉ちゃんが最後に指差したちょうせいそう?を粉にした物が入った入れ物を手に取った。

「それにするの?」

僕はこくりと頷いた。

「分かったよ。はい、水と一緒に飲んでね。」

袋からまた袋みたいな物を出して何かしてから手渡してきた。

「……あ、ごめん!飲み方言ってなかったね…今さっきお姉ちゃんがこの皮袋の開けたここに口をつけて…下の部分を持ち上げたら水が口の中に入ってくるから…」

説明しながら入れ物を開けて続けて話してくる。

「この中に入ってる粉を口の中に入れてからさっきお姉ちゃんが言ったことをしてほしいな、出来るかな?」

僕はこくりと頷き、入れ物に入ってる粉を口の中に入れる。……すごく変な感じがする、粉ってこんな感じなのかな?

「暗くて表情が分からないけど…嫌そうな顔をするのはお姉ちゃんと一緒みたいだね……」

お姉ちゃんも飲んだことがあるんだと思いながら、言われたように動作をすると…冷たい…水ってこんなに冷たい物なんだ…

「……大丈夫?息苦しくない?飲んだら下げて良いからね…?」

僕はそう言われて皮袋を下げた。口の中に変な感じは無くなった。

「……どうかな?喋れる?昨日みたいに、あーって言ってみて」

「…ぁ、あー…」

「……まだ足りなさそうだね」

「……………」

「蜂蜜試してみる?」

こくりと頷く。

「それじゃあ…口、開けてね」

お姉ちゃんの言われた通りに口を開ける。

「……はい、あーん」

お姉ちゃんが蜂蜜を口の中に恐る恐る入れる。…怖いんだね……噛んだりしないのに…と思っていると、口の中にトロっとした物が入ってきたのを感じる。さっきの粉とは違って甘くて美味しい…

「美味しい?」

その言葉に僕はこくりと頷く。

「そっか…♪そう思ってくれて良かった」(口開けるところが怖いけど…もう少し小さく開けてほしいかな…)

そのまま僕は蜂蜜を███ながら飲み込んだ。

「…あー……」

「!!喋れてる?!」

「ぼく……喋れてるの?」

「喋れてるよ!お・ね・え・ちゃんって喋ってみて」

「おねえ…ちゃん…」

「……………」(お姉ちゃんって言われたー!)

お姉ちゃんが手で顔を覆ってゴロゴロしてる……変なの…

少ししたら元に戻った。

「これから色々なことを教えてあげるからね、一緒に学んでいこっか」

「うん…!」

「また明日、来るからね。」

「あした?」

「もしかして…ずっと起きてるの?」

「うん」

「眠たくないの?」

「うん」

「時間も分からないの?」

「うん。足音の数を覚えてるから…それでじかん?がわかる」

「………そうなんだ。寂しくなかった?」

「うんん」

「そうなんだ…ガオウは強いね……」

「つよい?」

「うん、お姉ちゃんがこんな所で一人で居たら寂しくて死んじゃいそうだよ…」

「…そう…なんだ……」

つよいってことは良く分からないけど…お姉ちゃんに褒められたような気がした。

「それじゃあ、ガオウまた明日だね」

「うん、お姉ちゃん…また明日……」

入れ物や皮袋を袋に入れ扉に向かう階段へ歩いていくお姉ちゃんの背中を僕は████。

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