第2話:姉弟の邂逅

ガチャリ…

いつも虐めるひとが帰った音がして部屋はまた静かになった。虐めてくるけど、何でなのかは分からない…痛くもない……ずっと暗い部屋の中…ずっと一人ぼっちかな……


…カチャリ

いつもの人がまた僕を殴ったり叩いたりしに戻ってきたのかな?

けど、足音が変だ……


「きゃっ!」ビターン…

最後の一段であしだったけ?を踏み外したような声が聴こえた。

「イタタ…静かにしないといけなかったのに……やっちゃた」

…いつもの人より…音が違うような気がする。確かめたいけど鎖に繋がれて僕は動けない。

灯りをもって初めてここに来た人が近づいてきた。

「…えっとぉ、君は私の弟だよね?」

…おとうと?

僕は初めて聞いた言葉に首を傾げた。

「もしかして、喋れないの?」

灯りを地面に置いて僕に顔を近づけて聞いてきた。何故か分からないけど僕はこくりと頷いた。

「…そっか……せっかく弟のガオウ見つけたから会おう!って思ったんだけどなぁ……」

こういう時何て言うんだっけ……ひんぼりじゃなくて…しょんぼり?してる僕を弟のガオウと思って話してくれた……誰なんだろ…

「んー……そうだ!お姉ちゃんが君に喋れたり色々なこと教えてあげる!」

僕、喋れるの?……なんだろうこのポカポカする気持ち…

「嬉しそうってことは…やってみたいんだね!」

さっきと同じように僕はこくりと頷いた。

「それじゃあ、さっそく喋る練習しよっか。先ずは、口を開けて…」

お姉ちゃんの言われた通りに口を開ける。ちょっと顔が青くなったのは口の中見えたからかな?

「……あー、って言ってみて」

「……………ぁー」

「……最初だからかな、すっごくか細いね…けど、出たならどうにか出来るよ」

「……ソウ?…ケホッケホッ」

「無理にしなくて良いからね。明日、色々持ってくるからそれまで無理して喋らないでねお姉ちゃんとの約束だよ」

やくそく?また僕は首を傾げる

「それもまた後で教えてあげるから待っててね。また明日、来るからね」

僕はこくりと頷く、殴りに来るあの人とは違ってお姉ちゃんは温かい気がする。

「それじゃあね、ガオウ」

階段を上がって扉を開けてから閉めるまで少し長かったけど、どうしたんだろ…喋れるようになったら聞いてみようかな。

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