第4話 大人なんて所詮は権力に屈しますから

「私としては結論を先に告げますが田中さんには絶望を感じさせたいです。.....その為に抉ろうと思います。取り敢えずその為に先ず先生達を何らかで侵食していこうと思っています」

「先生達を.....?」

「先ず先生達を侵食してから田中さんの信頼度を失くそうと思います。大体子供っていうのは大人から信頼度を得ますから。それすら絶てれば。.....でもまあそれじゃ分かりにくいか。つまり端的に言うと周りを崩していこうと思っています。コツコツと、です」


この世界の大人なんて所詮は金の為に動いていますからね。

権力が怖ければどうとでもなります。

言いながら俺に笑顔をそのまま浮かべる冴島。

恐ろしい事を思いつくし表現が過激だなコイツ。


そんな事をふと思いながら俺は冴島を見る。

冴島はニコニコして俺を見てくる。

その姿を見つつ俺は、そうか、と答える。


「まあ例えばですがいつか証拠が揃ったらSNSで投稿してみようかなって思います。最終的には校長先生でも揺るがせれば良いと思いますね。誰か、とは言いません。あくまで、浮気、しているという情報を、です。裏垢でも良いのですがとにかく焦ったくしようと思います」

「SNSか。それは確かに良いかもしれないな」

「浸透ですね。先ずは小手調べ。うちの学校は連絡用の学校のSNSがありますよね。匿名性の掲示板みたいなの。.....そこが良いですね」

「.....それも良いかもな」


そんな感じで会話をしながらニコッとする冴島。

その冴島に、じゃあ今から俺が投稿してみるか.....、と言ったのだが。

冴島は、いえ。私がやります、と話した。

それから俺を見てくる。


「私はあくまで先輩の手を煩わせる事なく解決に、と思います。先輩は十分苦しんでいますしね」

「いやちょっと待て。お前の手を黒く染める事になる.....」

「先輩。私は元から黒いんで大丈夫です。まあこういう事をしている時点で先輩もですけど。でも私は私でやりたいんです」

「いやそうだとしても」


大丈夫ですよ。先輩。何はともあれ今から浮気の情報を投稿しましょ、と言いながら文章を打ってから学生用のSNSに匿名で投稿する冴島。

止める間も無くやってしまった。

俺は自らのスマホを観てみる。

すると、誰か知らんがそれは最低だな、とか声があった。


「まあSNSの時代こういう感じなので」

「そ、そうだな.....案外直ぐに炎上したな」

「取り敢えず大地を崩していこうと思います。まあ結論から言ってこれって全校生徒に広めるのと同じかもしれませんが。侵食しましょう」


焦らしプレイです、と満面の笑顔で反応する冴島。

俺はその姿を見ながら恐怖を感じるが。

でもまあやってみないと分からないしな。

失敗は成功のもと、もあるかもしれないし。


「私は味方を失くす方針です」

「社会的孤立を導くって事か.....」

「そういう事ですね。弱者は救われますが強者は落ちます」

「.....」


俺はその姿を見ながら汗をかく。

それから見ていると冴島は、紅茶のおかわりは要らないですか?、と聞いてくる。

そんな言葉に俺は、じゃあもらおうかな、と言ってみる。

そして紅茶をもらってから、あ、と声を発する。

俺は?を浮かべてから冴島を見る。


「早速投稿がありましたね。色々集まって来ています」

「ああ。意見とか?」

「批判とか意見とかそんなのですね。.....人間の心理なんてかなりチャラいので」

「.....お前.....」

「大体人間ってのは醜い。そんなもんですよ。先輩」


言いながら俺にスマホを見せる冴島。

そこには色々な奴から、そうだな。最低だ、とか。

有り得ないな。誰だ?、とか。

そんな意見が書かれたり批判があったりした。


よく見ると冴島は、この前ショッピングモールでその浮気を見ました。でもそれを詳しくここで書くと個人情報になるので、と焦らしをしている。

信じるか信じないかも貴方次第です、とも。


「これが分かった際の衝撃を.....その。焦らしをしています」

「お前ってSなの?」

「そうですね。何方かといえばそうなのかもしれませんね。どっちも持っていると思いますよ。SMどっちも」

「そうなんだな.....まあ確かに成程な」


俺は苦笑いで言いながら冴島を見る。

でもまあ冗談は置いておいて。

私がこうするのには理由があります、と話してくる冴島。

俺は?を浮かべながらその顔を見る。


「私は焦らしているというよりかは.....そうですね。私は.....」


そう言いながら眉を顰める冴島。

それからそのまま俯いたが直ぐに顔を上げて笑顔になった。

すいません。絶望とか個人的なものは無いって言いましたけど.....多少は個人的な感情もあるかもです、と苦笑する。

俺はその姿に!と浮かべる。


「乱れてしまってあれですが。若干の悲しみも怒りもあると思いますね.....本当に。一応.....田中さんは親父と違うと思いましたから」

「それでお前はこんなに強い感じで接しているんだな」

「半分はそうだと思います。無いとか言いながらも結局はあるんですね。.....怒りも悲しみも全てが」

「.....そうなんだな」


俺はその姿を見ながら冴島を見る。

すると冴島は、まあでもそれは今はどっちでも良いですね。これ、と話した。

それから俺に向いてくる。

その顔は少しだけ悲しげな顔をしていた。


「まあ本心は裏切られたのが少しだけでもパンチが効いてますよ」


そんな感じで言葉を発しながら前を見据える。

それから眉を顰めた。

俺はその姿を見ながら、ふむ、と思う。

そして同じ様に前を見据えた。


「でも私は絶対に浮気したのが許せないので復讐するだけです」

「.....そうか」


それから俺を見てから真剣な顔をする。

俺はそんな姿を見てから紅茶を飲む。

そうしてから俺はお菓子を食べた。

そして考える。

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