第2話 揺さぶり
『となると先輩。先ずは証拠集めだと思います』
そんな事を冴島に言われた。
俺はその事を思いながら通信を取る。
その相手は当然だが雪だ。
雪に接触して取り敢えず素人だが探偵じみた事をしてみようと思う。
(雪)
(はい〜。どうしたの?)
(いや。学校の用事が進んでいるかなって。お前さっき学校があるって言ってたじゃないか)
(学校の用事。あ。そうだね。結構進んでるよ。鍋ちゃん)
鍋ちゃんとは俺の愛称である。
鍋島だから、鍋ちゃん、なのだが。
俺はその事を考えるのも嫌気が差しながら雪に聞いてみる。
具体的に何処が進んでいるのかを。
(具体的に何をやっていたんだ?)
(私、図書委員だから片付けとかしていたよ。貸し出しカードのチェックとか)
(そうなんだな)
先程からお気付きかもしれないが。
嘘を完全に吐いている。
コイツはやはり浮気確定だな。
思いながら白か黒の状態なら黒の雪にあれこれ聞いてみる。
貸し出しカードってそんな事しないといけないんだな、とか。
本の整理も大変だな、とか。
チェックもしないといけないだろ?、とか。
すると、うんうん。そうだよ。鍋ちゃん、と一個一個に返事をくれる。
まあそれは優しい部分かもしれないが。
俺にとっては今はもう何とも思わないし逆に言えば最悪の気分である。
まさか嘘まで吐くとは。
(今日の鍋ちゃんなんだかお喋りねぇ)
(まあちょっと色々あってな。それで)
(まるで探りでも入れられているみたいだよ〜)
(いや。それは.....)
その言葉を送ると、って鍋ちゃんに限ってそれはないか、と笑顔の様なキャラもののスタンプを送ってくる雪.....。
最悪だな。
まさかこんなに優しい感じの女の子が浮気とは。
思いながら眉を顰めつつスマホと睨めっこしていると。
冴島からメッセージが来た。
(どうですかね?何か掴めました?)
(何か.....な。何も掴めないな。嘘は吐かれた)
(そうですか。なら黒ですね。.....潔白は証明出来なくなりましたね)
(なあ。具体的に復讐ってどうするんだ?)
その言葉に悩んでいるのか数秒沈黙した。
それからまた文章が送られてくる。
スタンプも添えて。
と同時に、まあそうですね。
こうしましょうか、と連続でメッセージが来た。
(社会的信頼性を無くしましょうか。それが一番ですね)
(そんなメチャクチャな。マジかお前)
(マジですね。.....それを考えるとこの県から追い出す形が良いでしょうね)
(具体的には)
(新聞社に投稿しても良いですね。お金出して。でもまあお金使うのが勿体無いですね。それにお金出す程の事じゃ無いでしょう。なので考えます)
本当に楽しみです、と地獄の様な笑顔を浮かべていそうな文章を送ってくる冴島。
すると、ああそうだ。先輩。今メッセージをやり取りしていますよね?、と文章が送信されてくる。
と同時に写真が。
俺は添付されて来た写真を見る。
ショッピングモール。
そして恋人の手繋の写真だ。
どうやら煽る作戦の様であるが。
(取り敢えずその2枚を送ってみては?先輩自身、写真撮るの好きですからね)
(回りくどく攻めるって事か)
(そうですね。まあ別名は揺さぶりです)
(まあお前が言うならやるよ)
それから俺は雪のメッセージアカウントを開く。
すまん。トイレに行っていた、と嘘を吐き。
そして、実は趣味でまた風景の写真を撮ったんだが。採点してくれないか、と送信をしてみる。
そうしてから反応を待つ。
(.....これがどうしたの?)
何と1分も経った。
何か動揺した様な感じでメッセージが来る。
俺はその言葉にかなりショックを受ける。
まあ信じていたのだが。
先程の件は間違いじゃ無いかって思ったのだが。
(いや。風景の写真だよ。採点してくれるか)
(まあ採点するなら50点ぐらい?かな)
(それはどうして?)
(まあ考えての結論だよ)
送信が途絶え途絶えだ。
俺はその事に頭を抱えながらも。
揺さぶりをかけ続ける。
すると、ま、まあこの話は置いておこうよ、と同時に雪は、写真を撮ったんだよね?何か別の写真ある?採点してあげるよ、と言葉を送ってくる。
(すまない。用事が出来た)
(あ!そうなんだ。ごめんなさい。じゃあまた明日ね)
(ああ.....)
そう送ってから閉じてからスマホを投げ捨てる。
気が付くと学習机に涙が無数に落ちていた。
悲しかったし悔しかったのだろう。
思いながら目を細める。
これは.....復讐に値するかもしれない、と。
『先輩。復讐しましょう』
その言葉を脳内再生しながら。
反復脳内再生させながら.....。
俺は縋る様にスマホを開く。
それから件名で冴島の連絡先を開いた。
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