入れ替わってるっ?!

「今日はみんなのことをもっと知ろうの会です!ハッテン会です!」


 いつも通り理解のできない文を凛城先輩が放つ。ハッテンはゲイが集まる会ってこの前言ってたでしょ。絶対違うじゃないですか。


「なんすか?それ」


「私たちそれぞれが違う人になりきって過ごすのよ。例えば私が痴漢ちゃんの真似をして、卵子ちゃんが私の真似をするみたいな感じね」


「面白そうじゃないですか!やりましょ!」


 千佳さんはノリ気だが、正直俺はやりたくない。おそらく阿鼻叫喚だ。


「拒否権は元々ないから否認も避妊も受け付けないわ。私が貴方、貴方は私。痴漢ちゃんは卵子ちゃん、卵子ちゃんはスカトロちゃん、スカトロちゃんは痴漢ちゃんね」


「俺、凛城先輩なんですか?!嫌なんですけど!」


 一番のハズレカードを引いてしまった。


「避妊は否認って言ったでしょ。じゃあスタート!」


「空が美しいですわね。空気が美味しいですわ」


 早速千佳さんを真似する菅島さんが口を開ける。千佳さんってそんなイメージなの?だいぶ誇張してますけど。


 言い終わると4人の視線が俺に向く。確かに誰か喋ればとりあえず凛城先輩が下ネタ言いますもんね。分かりましたよ。


「空と言えば夕立ね!朝だけじゃなく夕方も立つなんて!男の子って大変!」


「それはもう大変じゃなく変態だ!」


 凛城先輩、俺のツッコミ上手くない?


「確かに先輩は変態っす」


 あっ、これクオリティ高いやつだ。流石千佳さん。蘭堂くんの真似が上手い。


「変態とうんこのハイブリッドね!」


「もうそれははい、ぶりっとハイブリッド!でしょ!」


 いい感じにパスが繋がっていく。俺も案外下ネタ強いかもしれない。


「空が綺麗ですわね。小鳥も喜んでいますわ」


 いつまでそれやってんだ。


「鳥といえば、栗で作った鳥の巣は栗鳥巣クリトリスになるのかしら?」


はどこに消えたんだよ!ってか栗で作った巣って何よ?!」


 俺だって日々下ネタしか言わない凛城先輩の隣にいて、はたまた凛城先輩は俺のツッコミをいつも受けてるのだ。無敵みたいなとこある。


「鳥と言えば……ほらっ、フクノー服NOとかでしょ?」


 フクロウって事か。蘭堂くんも菅島さん役を頑張っているようだ。


「小鳥のパイズリが聴こえるわ」


さえずりな!何だよ小鳥のパイズリなんてないわよ!」


 やばい……ゾーン入ったかも知れん。


「囀りって言うけれど鳥は人より体温が高いのだからあえずりと言ったほうが正しいと思うのよ」


「喘ずりって何ですか……」


「そう言えばもうそろそろ乳の日よね!」


「それ絶対漢字違うでしょ。あとそれ実際母の日ですって」


 これは前々から凛城先輩が言うんじゃないかと危惧していたネタだ。俺っていつも何考えてんだ。


「でも季節って案外エロいのよ?節分なんてアウトじゃない。男が金棒ぶら下げて女の子の豆に当てに行くんでしょ?」


「ブッ、ククッ……貴方最高じゃない……」


 笑いを堪えきれずに凛城先輩は素が出てしまってる。


「種はうちってことですよね」


 蘭堂くんもそれなりに菅島さんの真似が上手い気がする。いや、下ネタ言ってたらいいだけなんだけど。


「鬼関連なら秋田県にナマダシなんてのいたかしら?」


「ナマハゲですかそれ?ナマしか合ってないですけど」


「もう終わらないっすか?先輩達のレベル高すぎてついていけないんすけど」


 千佳さんがしっかりと蘭堂くん口調で終了を提案する。おそらくこれを受け取るのは俺だろう。


「そうね、もう終わりでいいかしら?」


「わたくし、もう一つネタがありますわ」


 みんなの視線が菅島さんに向かう。


「空が綺麗ですわね」


「もういいよ!」


 俺のツッコミでこのよくわからないゲームはお開きとなった。


「案外面白かったわね!でも貴方、私はあそこまで下品じゃないわよ?」


「いやいや。どこがですか」


「今日の感想でも書こうかしら?」


「では私が」


 千佳さんから解放された菅島さんが口を開ける。


「空綺麗ー、鳥のパイズリ 天響くー」


「下ネタばかり しもの日和やー」


 終わるとすぐに凛城先輩が下の句を付け足す。いや、ある意味どっちも下の句だけど。因みに凛城先輩の付句によって、季語が追加されただけでなく、空綺麗と霜の日和もかかっている。


 おそらく下ネタのも掛かっている。その才能他に活かせよ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る