ホワイトデーです!

 今日はホワイトデー。もう本格的に今年度が終わろうとしてるな……と言うかどうやってお菓子渡そう……なんて考えながらドアを開ける。


「こんにちくび」


「挨拶ネタ久しぶりですね」


 真顔で本を読みながら乳首なんて言うんだから軽くホラーである。


「そうね、ずっとネタ切れって言ってるけどもうそろそろ新年度だからね。ネタが湧いてくるのよ」


 なんだよその理論……。凛城先輩は俺なら見てもいつもよりいっそうソワソワしている。その理由はなんとなく察しがつく。


「バレンタインデーのクッキーありがとうございました。美味しかったです。これ、お返しのチョコです。勝ってきたやつですが」


「これ高いやつじゃない!ピエールマコリーニだったかしら?」


「ピエールマルコリーニですから。あと普通にGODIVAです」


 俺的には反発した。もちろん千佳さんにも買ってある。ちょっとだけ凛城先輩より安いのは内緒ね。


「こんにちは」


「お疲れ様です。千佳さんもどうぞ」


「ありがとうございます!大切に飾らせていただきますね」


「食べてくださいね?!」


 千佳さんの普通のボケがシュールすぎて度肝を抜かれた。笑顔で言うもんだからコロッといっちゃうんだよな……。


「いやよ。貴方から貰ったチ◯コなんだから」


「そのネタもう使い果たしましたって」


「1日に何発も出すものじゃないわね。清楚キャラが穢れるわ」


 あんたは清楚キャラじゃなくて精巣キャラだ。んでもってもちろん穢れてる。


「そう言えばもうそろそろ新学期ですね。文理選択もあるので今年こそは誉くんと同じクラスになれるかもですね」


「ですね」


「私……留年しようかしら?」


 いろんなもん失いすぎでしょそれ。


「そんなことしなくても1人じゃないでしょ」


「私だけ入れてくれないんだ〜、痴漢ちゃんには入れるのに、私の輪に入れてくれないんだ〜」


 これが下ネタに聞こえるのは俺が悪いのか?俺が悪いのか……。なんでそんな言い回しなんだよ。


「学年違うんだからしょうがないでしょ」


「そうよね、新しい学年の子も来るものね」


 そうか、一年生も来るのか。とうとう俺も2年生……この一年いろいろあった。下ネタで始まり、下ネタで繋ぎ、下ネタで終わる……下ネタばっかじゃねぇーか。


「新しい新入部員!もといフレッシュマンを母乳しましょう!」


「フレッシュマンな!新入生って意味の!んで募集しろ!」


 凛城先輩の下ネタで3人とも笑顔になる。でも来年に凛城先輩は……卒業。その前に俺もいろいろ卒業しなきゃ。


「実際チョベリ部って部活じゃないですからね」


 さらっと初耳の情報を千佳さんが放つ。


「えっ?!チョベリ部って?!じられない……」


「ねぇ、流石に非行妊娠は問題発言よ」


 あー、そこ繋げちゃうか。てかそんなのに構ってる暇は無いんだよ。


「でも顧問いますよね。何もしてないですけど」


「女だからね」


「ナニの話じゃなくてですね」


 いつも通り、一進一退の会話を続ける。違うんだ……唯一、チョベリ部で許せる語呂の良さが無くなってしまったら一体何が残ると言うんだ。


「部になるには部員が4人必要なんですよ。ですから形式的にはチョベリ愛好会になりますね」


「もう意味わかんないじゃないですか……いやチョベリ部もわかんないですけど」


「私がノリで付けたもの。当たり前じゃない」


 ノリで部活名決めたんだ……と言うかよくチョベリ愛好会で通ったな。


「生徒会はよくOKしましたね」


「妥協案よ。最初はコンドー部だったんだから」


「よくやった生徒会!!」


 『生徒会にも穴はある』ってことか。えっ?ネタが適当すぎるって?じゃあ『生徒会役員共』で。


「でもこんな部に入ってくれる物好きいるんですかね?」


「物好き一号が何言ってるのよ」


 そう言えばそうだ。ぐうの音も出ない。


「ポスター的なの作ってみては?」


 物好き二号の千佳さんがアイデアを出す。良い案だと思う。てかそれしか方法が思いつかない。


「名アンッ//ね。こんなのはどうかしら?求人!高収入!アルバイト!」


 バニラじゃねぇーか。


「求人以外かすってすらないんですが」


「そう?じゃあ『アナ◯と車、どんな物語がありますか?』とかどう?」


「もう下ネタ入れたいだけじゃないですか」


「どちらもバックで入れるでしょう」


 急な謎掛けやめろ。そんでちょっと上手いの腹立つ。


 ではここでオチとして俺も謎掛けを二つ。


 少し成長したと掛けまして、息子の成長と説きます。その心は、どちらも一皮剥けるでしょう。


 少し成長したと掛けまして、女性の成長と説きます。その心は、どちらも毛が生えるでしょう。

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