ほんとにらめぇぇぇえ!

「私、どうしてもみんなに言いたいことがあるのっ!」


「どうしたんですか?」


 当たり前のように凛城先輩のつかみから始まるな。でも今回は相当に切迫詰まっているのか、余裕が無さそうだ。


「もう、ネタが無いのっ……」


「素晴らしいじゃないですか」


「何がよ!このままだとこの作品の残りはちん毛な物語になるわよ!」


「チンケな。なんだよちん毛な物語って……」


 もうなってるだろ。


「もう!いんもう!」


「全然ネタ切れてなさそうですけど」


 まぁ、四六時中下ネタを言い続けているとネタ切れにもなるのか。でも早くも二学期も終わる。高校生活には慣れたし余裕も出来た。


「もうすぐ冬休みですし、その間に策を打ってみてはいかがでしょう?」


 沢良木さんが真面目に提案する。大丈夫ですから。いい方向に向かってるんですよ、これは。


「そうよね、アンッとイク間に一年ね。気づけば卒業か……」


「高校より先に下ネタを卒業してください」


「何よ?貴方もさっさと童貞卒業しなさいよ」


「うぐっ……」


 カウンター痛すぎだろ。流石に今の一言はやり過ぎ。そしてヤらなすぎ。高校生活も終わる……いやまだ一年だし大丈夫大丈夫。


「えっ?誉くんって……」


「そんな目で見ないでください……」


 哀れすぎる。でも沢良木さんってまだアレだよね?えっ?もしかしてジョジョになった?嘘だろ、俺の沢良木さん※俺のではありません


「確かにもうそろそろ冬休み!冬休みといえば?はい、貴方?」


 どうせこの人は聖の一日?性の一日の間違いじゃないかしら?とか言うんだろうな……。


「クリスマス、ですかね?」


「そう、クリ◯◯スよね。カップルがイチャコラ、イチャコラ、パンパン、パンパン……パパンね」


「何ほざいてんだ」


 パンパンっていつ使う擬音語だよ。


「そうね!どうせならクリ◯◯スは3人でクリ◯◯スパーティをしましょうか!」


 ただの3Pじゃねぇか。


「すみません、24日はピアノの稽古が…」


「そうなのね。流石に私1人だと貴方が暴走した時に止められないから辞めておくわ」


「こっちから願い下げですよ」


 暴走なんてするわけないだろ。うん、するはずがない。


「そう言えば、今日誉くんの誕生日でしたよね?おめでとうございます」


「なんで知って……あぁ、文化祭の時か。ありがとうございます。今年で16ですね」


 今日は12月12日。俺の誕生日である。だからなんだと言われたら特に何もないが。


「それなら今日誕生日会を何処かでしてみてはいかがでしょう?」


「良いですね。最近は誕生日を家族で祝うことなんてしてないんで俺は大丈夫ですよ」


 何より家族より沢良木さんに祝われたいです。


「ごめんね貴方。今日は貴方の日かも知れないけど私は女の子の日なの。貴方には想いのある日かも知れないけど私は重い日なの……ごめんね」


「もうちょいマシな言い訳ないのかよ」


「マジな言い訳よ」


 だろうな。この人夏休み前に13日がどうとか言ってたしな。これが伏線回収になるの終わってるだろ。


「貴方は16歳になったのね、なら私と同い年じゃない。先輩とオッぱいの関係じゃなくなったわね」


「なんだよその関係!」


「そう言えば貴方と痴漢ちゃんの関係はどうなの?」


 俺と沢良木さんは目を合わせる。部活仲間というのは味気ないし、友達と言うのは違う気がする。ここまでいけば恋人みたいな?ないね。


「そうですね、同い年ってだけですかね?」


 沢良木さんっ?!えっ、ただの同い年……クラスメイトよりも格下。モブCに負けてるのかっ!


「同じ中学だったかしら?」


「そうですね」


 瀕死状態で凛城先輩に相槌を打つ。ダメだ。過去最悪の誕生日になりそう。


「オナ中ね」


 ごめんなさい、いまツッコめるメンタルじゃないです。すいません。


「ちょっと貴方!何しょげてんのよ!もうそろそろ二学期も終わるのよ?ここで落ちてどうするの!しょうがないわね」


 凛城先輩が何か言ってるがちょっとマジではぁ…ただの同い年…。


「そうね、初詣はつもうでとか隠毛出いんもうでとかみんなで行きましょうか!」


「そうですね……」


「1月1日にしましょう!」


「分かりました!空けときますね」


 大丈夫、落ち着け、今こそ凛城先輩に教えてもらったチン呼吸だ。ふぅー。友達になったら終わりと考えるとまだ挑戦権は残っているということ。あながち悪いことだけじゃない。


 結局その日は特に何もなく、初詣の約束だけして解散となった。!!!まだ終わらない!


「誉くん、今から2人でご飯なんて行きません?誕生日ですし」


 !!


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