体イク大会です!
「ふぅ〜」
真夏の炎天下、俺はこの二日間の労働っぷりを思い出してため息をついた。テントの設営、国旗の飾り付け、放送機器のチェックなどそれはもう社畜レベルでこき使われた。
「ありがとうね、手伝ってもらっちゃって」
中居先生はそう言ってポカリを手渡してくれた。
「ありがとうございます。あと今日1日ですね」
「なに言ってるの?明日もテント畳んだりしないといけないわよ」
「えっ?」
「ふふっ、冗談よ」
色が白く、細くて綺麗な手で口を覆いながら小さく声に出して笑う。うん。可愛いね。
「でも当日が一番大変なんだから頑張ってちょうだいね。あっ、でも空川くんたちはクーラーの効いた部屋で待つことが出来るわよ」
なにそれ、ちょー嬉しい。ふと中居先生が首にカメラを掛けていることに気づく。
「そうなんですね。そのカメラはいつ使うんですか?」
「これで撮った写真を来年の体育大会のしおりの見出しにするのよ、だからこれは画材の一つと言っても差し支えないわ!カメラさえも!美術の前では筆と同じ役割を果たすの!この写真の一枚一枚に細かいストーリーがあって、それを筆や色の一色、一本が再現するの!そして……」
これが中居先生のヤバい一面である。美術のことになるとスイッチが入り、その全てが正しいと思い込んでしまうのだ。頼むから真面目な先生であってくれ。
「貴方、もう始まるわよ。こっち来て」
凛城先輩に呼び出され、俺は係員テントの下に行く。係員テントと言っても小さな部屋になっており、クーラーも効いている。最高だ。
そこから全校生徒が集まり国歌や校歌を歌う。校長先生の無駄話が終わるとラジオ体操。最後に選手宣誓だ。
「せんせーい!僕たち!私たちは!スポーツマンシップにのっとりー!正々堂々戦うことを誓います!10月23日!天野 八千!モブA!」
へー、選手宣誓って八千さんとモブAがやるんだ。
「ねぇ、貴方、宣誓ってちょっと堅苦しいすぎるわよね」
「まぁそうですね」
「せんせーい!僕たち!私たちは!スポーツマン
「大問題だよ」
宣誓ってなにを誓ってんだよ。変態宣言じゃねぇか。俺と同じ赤色の鉢巻を巻いた凛城先輩はどこかいつもより明度が高い。
「そんなことよりよ!タマ転がし、タマ入れ、棒倒し……大波乱の幕開けよ!」
大波乱なのはあんたの頭だよ。乱れすぎだろ。いや、
「やっぱりタマ入れが一番よね」
「はいはい」
「あと、かけっこね。」
「ブブッッッ、ゴホッゴホッ……」
俺は予想外の言葉に飲んでいたポカリを吐き出す。
「どうしたの?ポロリでむせた?」
「ポカリな」
かけっこ……ちょっとおもろいな。意味がわかるとジワる。
「あとは、クリ体操ね」
「どこの体操してんだ!組め!」
「アクメ?」
「一回黙ろうか」
なんでそんなポンスカ、ポンスカ、ドピュッドピュッって下ネタが出てくんだよ。
そのあとは入れ替わり立ち替わりで仕事をしていった。お昼すぎには終わるのだが途中で20分ほどの休憩が入った。
「赤組負けてるじゃない……」
うちの学校は赤、白、青の3組が競い合うこととなっている。今はトップは沢良木さんがいる白組、次点に赤組と青組がほぼ同点だ。
「これじゃあ同じアナルのムジナじゃない」
「同じ穴のムジナな。どこにいるんだよ」
ちなみに俺は少し前までムジナは虫のことだと思っていました。あんなに可愛い動物だっただなんて。
「勝つには甘いクリを吸わなきゃ……」
「汁を吸え、汁を」
甘い汁を吸う。一攫千金と同じ意味の慣用句だ。もう、わざとだね。
「ピル?ピルは状況によるでしょ」
もう良いから下ネタ。ついていけないよ。
「体力温存しとかなきゃいけないんですよ。つっこませないで下さい」
「ゴールテープに突っ込むか私にツッコむか、痴漢ちゃんに突っ込むかね」
その選択肢なら沢良木さんに突っ込みます。もちろん。いや、もろちん。
「凛城先輩はなんの競技を?」
「なんだったかしら……腰引き?オナ引きだったかしら?」
「綱引きですね。次じゃないですか、早く行ってください」
「早くイケだなんて……なんて酷いのっ」
酷いのはこの人の耳と頭と性格だけどな。
そんなこんなで無事、体育祭には負けました!次回!期末テスト勉強会!やっとネタが貯まったぜ!
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