文化祭ですっ!
「誉くん。次、あれ行こ!」
「はい、いいですよ」
今日は待ちに待った文化祭。そして俺は今!沢良木さんと文化祭デートしているのである!まさに青春!アオハル!ブルースプリング!
「寄ってらっしゃーい!射的はいかがですかー?一回百円!景品も豪華ですよー!」
「誉君!私、あのクマのぬいぐるみが欲しいです!」
「任せてください、ネットで弾の無駄撃ちスナイパーと呼ばれた俺に死角はありません」
決め台詞の後、5発連続で的に当たることなく床に落ちる。ないのは死角ではなく資格と視覚でした。
「沢良木さんやります?」
「ふふっ、掠りすらしなかったのはノータッチですか?」
「掘り返さないでください」
笑う沢良木さんに俺も笑い返す。こんな日々がずっと続けば良いのに……
「勝負しましょうか、私が勝てば何か奢って下さい」
「俺、すごく不利じゃないですか」
「ビビってるんですか?」
ビビってるも何も俺のターン無いんですが。結局勝負ではなく、沢良木さんが一つでも落とせば勝ちの賭けとなった。
選手交代、次は沢良木さんが輪ゴム銃を持つ。紙コップを落とせば景品ゲットだ。そうなれば俺は何かを奢らなければならない。
パンっ−
1発目。あたりはしたが動く気配はなかった。2発目は虚空にそれる。
「あと3発ですよ。当たるだけじゃノーカンですからね」
「ふふっ、3発?残り1発ですよ」
沢良木さんはニヤリと笑い、一気に三つの輪ゴムを銃にリロードする。そう言うことか。
パンっ−
撃たれた輪ゴムは銃を離れてすぐ二つに分裂した。一つの方は勢いが衰え下に落ちるが二つにまとまった方はドンピシャで的を射抜く。
カランカラン−
「お見事〜景品おめでとうございます!この中からご自由にお一つお選び下さい!」
「じゃあこのクマのぬいぐるみが欲しいです!」
ニコニコしながらクマを抱く沢良木さん、これはもう可愛いとか言う次元を超えている。
「賭けは私が勝ったので、チュロス一本奢りですね!」
「まぁ、いいですよ。じゃあチュロス買いに行きますか」
……あれ?気のせいだろうか?まぁいい。今は沢良木さんとのデートを楽しもう。
「はい、これ。いちご味で良かったんですよね?」
俺は片方のチュロスを沢良木さんに手渡す。
「大丈夫です、一口入ります?」
「ではお言葉に甘えて」
カラーチョコがまぶしてある先っちょを一口貰う。欲を言えば食べかけが欲しかったが、しょうがない。
俺も残ったチョコ味のチュロスを一口食べる。食べ比べってやつだ。沢良木さんから貰ったからか、いちご味の方が美味しい。まぁ、払ったのは俺なんだが。
「誉くん、私は一口上げましたけど?」
「沢良木さんって結構策士ですね」
そう言ってチュロスを差し出す。沢良木さんは髪の毛を耳にかけ、ハムっと言う効果音がつきそうな食べ方をする。かわよ。
「おいしい!」
「良かったです」
この人なら何しても許されてしまいそうだ。多分最高裁判所もそう判決する。
「次はどこ行きます?劇見るのもいいですし、凛城先輩のとこでも行きます?」
「そうですね……占いなんてどうでしょう?」
「そうしましょうか」
2年生のやっている占いは結構本格的なやつらしく、心理学に基づいている部分もあると聞いたことがある。
「次の方〜どうぞ〜」
中に入ると怪しげなお店のようによく分からない花瓶が並べられており、一気に世界観に引き込まれる。
暗い空気中、一本の蝋燭が辺りを照らす。俺と沢良木さんは怯えながらも席に着いた。
「何を占いましょうか?相性占いが1番人気ですが、他にも恋愛占いができますよ?」
どっちにしろ相性占いじゃねぇか。と心の中でツッコむ。にしてもこの高い声はなんだろうか?雰囲気がぶち壊れている。裏声で喋っているみたいだ。
俺は沢良木さんの方を見るが沢良木さんはすでに決まっているようだ。
「では相性占いで」
「かしこまりました。では、お誕生日の方を教えて下さい」
「俺は12月12です」
「私は2月2日です」
それに合わせて占い師がノートをペラペラとめくる。カードを3枚机に並べ順に表にしていく。深くフードを被り顔が見えていないこともあり、不吉でなかなかの完成度だ。
「空川くん、でしたよね?貴方はアナとボケがあればツッコまずにはいられないタイプです、そして痴漢……千佳さんはボケないタイプなので相性はあまり良くありせん。しかし、アナはあるので教調次第かと」
「……あんた、凛城先輩だろ」
「2人のナカが崩れないようにするには、2人が入れ……支えあって、アヘック…ゴッホゴッホ、アベックとなり、コンドー……じゃない、コンビとなるのがいいでしょう」
「なんなんですか、邪魔しないで下さいよ!」
「何よ!いいじゃない!貴方たちは2人でパンパンしたあと、かけ合って、細い棒を舐め合いっこしてたんでしょ?!」
言い方、言い方、射的をパンパンって言うなかけ合いじゃなくて賭けだから。んでもって舐め合いをした覚えはねぇ。
「ふふっ、やっぱり三人が1番ですね」
そうして俺たちの文化祭は終わった。
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