夏が終われば文化祭ですっ!
夏休みも終わり、二学期が始まる。すると学校は一気に文化祭ムードだ。俺のクラスは隣のクラスと合同でお化け屋敷をすることに決まった。
ホームルームが終わり部室に入るといつも通り凜城先輩が本を読んでいた。
「こんにちわ」
「コンドー◯」
「コンしか合ってねぇーよ」
もうちょい似せれただろ。と思いつつ隣に座る。
「もうそろそろ文化祭ねー、貴方のクラスは何するの?」
「うちのクラスは沢良木さんのクラスと合同でお化け屋敷ですね」
「お化け屋敷ね……もう準備は進んでるの?」
「もう、こき使われてますよ」
男手だからって八千さんに荷物持ちだの買い出しだのに行かされている。
「手コキ足コキ使われているのね!」
「あんま、その表現しないですよ」
「アンマ?」
「言ってねぇーよ」
久しぶりに凜城先輩との会話が噛み合わない。いや、いつも噛み合ってないか。
「みんな頑張ってるんでサボれないんですよねー」
「みんなエッチだ、ウンチだ、頑張っているのね」
「エッチラ、オッチラな。その表現もあんまり使わないけど」
と、そんな会話をしていると沢良木さんが部室に入ってくる。
「こんにちわ」
「お疲れ様です、文化祭の用意ですか?」
「はい、お化け役が決まらなくて」
俺は裏方をすることになったはずだ。
「沢良木さんは何の役を?」
「私は衣装作りを」
「じゃあ、ゾンビ役の服のアソコとアソコを良い感じに破りなさい!」
ある意味、キャァァァだわ。
「絶叫の意味が変わってくるでしょ」
「絶頂の意味?気持ちよくなる以外にあるの?」
この人の三代欲求全部性欲だろ。
「凜城さんは何するんですか?」
「うちのクラスは祭りの屋台見たいにミニゲームをやるわ。私はどの班にも入れてくれなかった……」
すっごい可哀想なんだけど。多分邪魔だと思われたんだろうな。
「ガードが固いお姫様的な立ち位置だからしょうがないわよね。下のガードも固いし」
「そう言う所ですよ」
「ぐすん……」
この性格は治りそうもないので諦めるのが吉だろう。まぁ、助言ぐらいはしてやるか。
「そんな性格だったらいつになっても受け入れてくれませんよ」
「そっ、そんなこと無いわよ!私の描いた絵を美術の先生褒めてくれたもの!」
「絵を見てないので一概には言えないですけど……」
うちの美術の先生は何と言うかクセが強い。芸術と向き合うために生まれてきたような先生だ。恐らく1人の画家で三時間は語れる。まぁ、奇抜な先生だ。
「その絵、見せてくれませんか?」
「痴漢ちゃん、私の絵見たいの?」
「はい、私は音楽選択なので、どんな感じの絵を描いているのか見てみたくて」
沢良木さんが凜城先輩にお願いしている。俺も見させて貰おう。因みにうちの学校は2年まで美術か音楽で選択がある。
沢良木さんはピアノをしていると言っていたし音楽を選択したんだろう。俺はびっくりするほど不器用なので美術選択だ。
「これよ」
「色使い綺麗ですね!グラデーション?が上手です!」
「俺も見て良いですか?」
「モロチン!」
俺は見た瞬間絶句した。七言絶句ならぬ無言絶句だ。その絵は卑猥と表現するのに他ならなかった。
「何ですか、これ」
「作品名は
名付けるなら性行為だい!だろ、これ。しかも、細部まで描かれた男性器は金◯までついている。沢良木さんの言うとおり肌色のグラデーションも変に気持ち悪さを醸し出している。
「なんて褒められたんですかこれ」
「凜城さんは自分の欲望を絵に
いよいよ、先生か怪しくなってきたな。
「コンクールに出したら即却下されたわ」
「当たり前だろ」
よく先生もコンクールに出そうと思ったな。
「理想を描くのが芸術じゃ無いのかしら?腑に落ちんちんだわ」
「頼むから落ちてくれ」
「快楽落ち?」
「そう言う意味じゃないよ」
絵自体は俺より上手い。ラップといい、今回といい凜城先輩って意外とハイスペックなのだろうか?
「あっ!良いこと思いついたわ」
「なんですか?」
俺は聞かない方が良いと思うが……沢良木さんの好きにさせてあげよう。
「ひっみっつっ、2学期の中間が終わったらみんなで取り組みましょう!」
「めっちゃ嫌な予感がするんだが……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます