アルファベットは愛の道!

「入部ってことでいいわよね。お願い。今までずっと1人で本を読んでただけなのっ!挿入部員がずっと欲しかったの!」


「あぁ、もう酷い酷い。挿入部員ってなに?!」


 7割の気持ち悪さと3割の気持ち悪さが共存している。


「あのね、下ネタは悪いことじゃないのよ?」


「下ネタって言っちゃったよ。」


 悪いことだろ。と心の中で呟く。少なくとも凛城さんのような美しい人はあんまり嬉々として言うべきではない。 


「アルファベットってわかる?」


「舐めてます?」


「舐めるのは栗とリスだけにしときなさい」


 話が一向に進まねぇじゃねぇか。本当にもう……。


「アルファベットがどうしたんですか?」


「アルファベットはHの次にIがあるじゃない?」


「まあそうですね。」


「つまり、性行為の後に愛が生まれるのよ。ついでに新しい命も生まれるわ」


 ついでがついでじゃなさすぎる。俺はこの小悪魔というか下ネタモンスターにやり返しをすべく質問をした。


「じゃあその次のJは何ですか?」


「順調のJよ。」


「Kは?」 「結婚。」


「Lは?」 「LOVE」


 結婚してからラブって順番どうなっちゃんてんの。てかLOVEって愛だよね。Hの後にあるんじゃないの?


「Mは?」


「もう、ラめぇ〜」


 なんだそれ。あぁ、ネタ切れだこれ。一思いにやってあげよう。


「N、O、P、Q、R、一気にどうぞ」


「寝取られ、おっπ、ぺ◯ス、キュート、離婚よ」


「離婚してんじゃねぇーか」


 俺は耐えきれずに苦笑する。おい、てかNって寝取られかよ。もうそこでアウトだろ。そこからのOとPの無理矢理感何とかしろ。


「ちなみに次のSは再婚よ」


「無茶苦茶だな。てかそもそもアルファベットなんてただの並び順でしょ」


「その考えは甘いわね。納豆にトマトとラズベリージャムをかけたぐらい甘いわ」


「知らんけどそれ甘くないだろ」


 想像しただけで吐き気が催す。納豆とトマトとラズベリーって……NTRねとられじゃねぇか。何だこの伏線回収。下手すぎ。


「アルファベットの名前の由来はαアルファβベータがくっついてアルファベットよ。名前の由来からして前後のつながりには意味があるのよ」


「反論しずらいな。確かに一理ある」


 俺は反論の余地を探す。筋も通っていない理論だが、筋を持たずに否定するのは水掛け論だ。


「つまり私は下ネタを無闇矢鱈むやみやたらに否定するのは良くないと思うの」


「いや、それでも女性が口から汚い言葉を吐くって言うのはやめた方がいいと思いますよ」


 よく言った。空川 誉。ナイス正論だ。


「何言ってるのよ。女の子は上の口から下ネタを出して、下の口から下ネタを入れるのよ。エコだと思わない?」


 エロだと思います。はい。


「全世界の女性に謝って下さい」


「何でよ!確かに下の口からウンピッピをさよならππぱいぱいするかもしれないけど、その時は上からフェラーリをパックンチョすれば良いじゃない!」


「ちょっと待って下さい。クックックッ……フェラーリをパックンチョ……ふふっ、ハハハハハハハっ」


 半分ぐらい日本語じゃないせいで意味がわからない。ツボってしまった。何がフェラーリをパックンチョだ。何語だそれ。そんなこと聞いたらナニ語とか答えてくるんだろう。なんとなくわかってきたよ。


「何笑ってるの?私は至って真面目よ」


「真面目な方がやばいですよ」


「こんなにちこう包茎な女の子なかなかいないわよ?」


「品行方正な!ただの皮被ったち◯こじゃねぇか!」


 微妙に語呂がいいの、すっごい腹立つ。


「貴方ね、童貞でしょ」


「急になんですか?!そっ、そんなわけないでしょ」


 急な質問に反射的に答えるが嘘である。堂々とした童貞略して堂童偵、である。ごめん面白くなかった。


「女の子に反対ばかりしてたらモテないわよ?」


「ゔっ……」


「そんなんだから彼女できたこともないでしょ」


「グハッ……」


「全身チン◯野郎が」


「言い過ぎでしょ」


 どんな人だよ。全身チン◯人間。見てみたいわ。ごめん嘘見たくない。なんかもう想像しただけで鳥肌が立つ。◯ンコは立たない。


「ごめんごめん、ちょっと言い過ぎちゃったわね。お詫びにいい話をしてあげるわ」


「大丈夫です」


「ねぇ、貴方私が口を開けばチ◯コ、チ◯コイッてる変態だと思ってない?」


「大正解じゃないですか」


 当たりも当たり、大当たりでしょ。と付け加える。何と当の本人はそれを認めてしまった。


「そうね。言う通りだわ。私もしかしたらやばい?」


「だいぶ重症です」


「どれぐらい?」


「制止出来ないぐらい」


「精子出来ないのは大問題ね。病院に行かなくちゃ」


「病院紹介しますよ」


 涙目になる凛城さんを見ていても全く心が揺さぶられ無かった。なんか、ごめん、申し訳ない。



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