「しもねた」になる物語

赤目

女子に入れられましたっ!

 ここは『善立専前立腺門高等学校』、偏差値平均70越えの進学校だ。子供の頃に鍛えられた地頭の良さと中学3年間をドブに捨て俺はこの高校に入った。


 そんな俺の目標は『青春をやりまくること!』である。俺は心の底から青春がしたい。そんな俺は今、部活選びと言う最大の壁にぶつかっていた。


沢良木さわらぎさん、どの部活選ぶんだろ……」


 沢良木さんはフルネームで沢良木さわらぎ 千佳ちか。入試順位は2位、容姿端麗、才色兼備の鎧を纏う完璧超人だ。


 と、愛好会、部活紹介パンフレットの中に明らか異質な説明が混じっていた。


『チョベリ部!どんな子も大歓迎!青春したい人!勉強したい人!ともにチョベリ部を盛り上げましょう!ヨロシコ!』


 チョベリ部って……。最後の誤字が気になるが青春したい人とはまさに俺のことだ。とりあえず見学に行ってみるか……。


 入学して数日。まだ高校の説明などで授業は右から左、あっと言うまに放課後だ。早速チョベリ部の調査に向かった。


 部室棟の端っこも端っこ、ドアの小窓にチョベリ部と書かれた紙が貼られてあるだけの質素な教室だ。


 立て付けの悪いドアを開けると会議用の長めの机と、椅子に座っている1人の女性がいた。


「あの、空川そらかわ ほまれです。部活見学に来ました……」


 至って普通の自己紹介のはずだった。ただ、その女性の発言は想像を絶するものだった––。


「私を視姦しかんしに来たの?辞めてちょうだい。それとも痴漢?それなら良いわよ」


「は……?」


 開口一番に意味不明なことを口走る。その人は赤いネクタイ。つまり一つ上の2年を表している。そんなこと考えてる場合じゃないのだが脳が現実逃避中だ。


「あの俺、見学に来ただけなんですが……」


「だから視姦でしょ?まぁ良いわ。ようこそチョベリ部へ!」


 いや、こっちが良くないんですが……


「私は凛城りんじょう 梨々香りりかよ。以外お見尻にぶっ込んでちょうだい」


 ぶっ込んだ。じゃない、ぶっ飛んだ自己紹介は事故紹介と表現するに相応しく、やはり脳も理解を拒む。


「はぁ……」


 さっきからまともな応答が出来ている気はしないが、そもそも相手がまともじゃないので仕方ない。


「なによ、口からため息なんて出して、そう言うのはこう、バァッっとケツから出すのよ」


「それおならですよ」


 やっと言えたのがこれだ。おそらく大抵の人はこう返すはず。てか来る部活間違えたな。


貴方あなた、おならとか下品だと思わないのかしら?」


「あんたが先に尻とかケツとかぶっ込んだんだろ!!」


「ケツにぶっ込むなんて……貴方、大丈夫?」


「言ってねーよ!」


 先輩にも関わらずタメ口でツッコんでしまう。ギャグの話ね。ケツにじゃないよ。


「当たり前でしょ?今イッたら新入部員と言うか挿入部員……むしろ双乳部員ね」


 ダメだ、全くなに言ってるか分からない。分かるのはこの人はやばいと言うことだけだ。うん。なにもわかってないね。


「なんですか挿入部員って、聞いたことないんですけど……」


「良かったじゃない。フレッシュマンよ」


「フレッシュマンな!新入生って意味の!そんな処みたいなのじゃないですから。あまくない無いで下さい。女だけに」


 九割ほど悪ノリでツッコミつつボケる。この人もだけど俺もだいぶ頭がおかしいな。


「あら、韻踏むの上手いわね。第一関門、じゃない、第一肛門クリアよ」


 なんか変なの始まってた。本当になんなんだこの部活は……帰りたくなってきた。


「肛門って……言い直せてないですよ。って言うか至急帰っていいですか?」


「子宮に帰るの?流石に無理じゃない?」


「違ぇよ!家に帰るんだよ!」


 それなりの声を放つ。そんな声にも凛城先輩は怯える様子はない。長い黒髪をなびかせながら名の通り凛としている。


「ダメよ。今日は帰らせないわよ」


 おっと、男子高校生が女性に言われたい言葉3位の『今日は帰らせないわよ』だ。因みに1位は『もう1回シよ?』である。違うね。


「せめてもう少し居てちょうだい。と言うことで第二肛門よ。好きな言葉はある?」


 俺を帰すつもりはないらしい。まじ子宮でもなんでもいいから帰らせてくれないかな。


「好きな言葉ですか……『なるようになる』とかですかね?」


「『ア◯ルようになる』ね」


「何言ってんだ!」


「ナニって言ってるのよ」


「カタカナにすんじゃねぇ!!」


 もうツッコむところにはツッコもう。ア◯ルの話じゃないよ。


「他にも『やらない後悔よりやる後悔』とかですね」


「でもヤって性病になるよりヤらずに後悔する方が良くないかしら?」


『ヤらない後悔よりヤる後悔』じゃないんだよ。これ以上先人の言葉を愚弄しないでくれ……。


「酷い返しですね。そう言う凛城先輩はどうなんですか?」


「私の好きな言葉は『ずんぐりむっくり、◯んこ◯んこのチンチロピー』よ」


「情報量の割に中身薄すぎでしょ」


「知らない?コ◯ドームもナ◯キンも薄い方がいいのよ」


「知りたくなかったです」


 本当に知りたくなかった。一見清楚で美しいこの人がこんな爆弾を抱えていたなんて。


「そんなことより第二肛門も突破よ。もうそろそろ大腸についてるころかしら?」


「何の話だよ」


「分かってると思うけど大腸まで突っ込んじゃダメよ?」


「もういいですから」


 俺は帰ろうとドアに手をかける。


「入部、ゴホンゴホン……挿入でいいのよね?」


「最初ので合ってるから!言い直さなくていいよ!」


 何なら言い直せてもない。


「因みに……他の部員は?」


「私一人よ」


「マジンコ?」


「真チンコ」


 俺の悪魔の高校生活が今!膜を破る!じゃない幕を開ける!締まらないなぁ……締まらないってそう言う意味じゃないよ?!

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