第四話 それぞれの
いわゆる通勤ラッシュが終わり世の中が少し落ち着いて来た頃、ハネルとノマは悩んでいた。
ハネルはこの世に降り立った時、一時期困惑していた。
だがノマはああそういう事ね、と落ち着いて行動していた。
まるで真反対なこの2人がしかも親子のふりをして暮らすとなると非常に困難だからだ。
だがこちら側の事情も知らない一般人との交際や交流となるとやはり難しい
はずだ。
さっきまでは晴れつつあった日差しは徐々に雲に遮られ、電気の付いていないリビングは薄暗くなってきていた。
「先輩」
「何だどうした」
「先輩は5歳児として生きれると思います?」
「それはどう言う事だ」
「この先、90年くらい先輩は普通の人間っぽく生きるってわけです」
「はぁ。」
しばらく考え込むと
「無理だな」
「やっぱりですよね…」
「でも」
「?」
「必ず何処かに居るはずだぞ、あの世界から来た奴はな」
「どうしてそう思うんですか?」
「お前、お前の代わりはいくらでも居る。お前は数え切れないほどの死神の1人だったんだぞ。」
「はあ。」
「お前だけピンポイントで降ろされるのは何かがおかしいはずだ。」
「はぁ。」
「しかもな妾だってそこそこ地位は高いけどここへ来たんだぞ。しかも小さくなって。」
ハネルは自分の腕を広げバタバタしてみる。
やはり小さい。
「だから他にもいるってわけだ。」
「はえ〜。」
「お前、話聞いてたか?」
「あはい。」
「まあ良い、とにかくまずはこの社会に溶け込む事が大事だな。」
「じゃあ幼稚園に行きましょうね」
「え、え?!聞いてないってっ聞いてな…」
(ハネルを持ち上げる)
「げぇぇ…」
うなだれたまま、幼稚園へ向かったのであった―
つ
づ
く
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