第2話:キャッチコピーの色と白のボーダーでした。

 ごめん、約束してたカラオケにはいけません。今僕は、ナマモノに捕食されています。


 

 いやどういうことやねん。おい。いきなりナマモノがタップストレイフ(某FPSゲーのマウスカーソルブン回して方向転換するやつ)してきたかと思えば捕食て。理不尽の極みやろ。

 

 ナマモノの口内(?)に全身を呑みこまれた俺は、なんともいえない生ぬるさとペ〇ロー〇ョンを塗りたくった肉に包まれているかのような、地味に気持ち悪い感覚を味わっていた。

 臭かったり身体が溶かされたりって言うのは無いので、不幸中の幸いではあるが…それはそれとして気持ち悪い。


「出してくれ―!めっちゃぬるぬるしててキモいんだよチクショー!」


 そう叫んでみるも、変化はない。そりゃそうだよね。


「おい口開けろやナマモノォ!てめぇの口ン中ペ〇ロー〇ョンみてぇで気色悪いんだよクソが!」


 せめてもの抵抗として腕をブン回して内側から叩くが、それも変化なし。うーん、これはダメかもわからんね。


「はぁ…俺はこのまま一生ぬるぬる感に包まれて生きていくのか…?」


 彼女もできないままぬるぬる感に包まれながら死ぬなんて嫌だ…と呟けば、彼女持ちの友人が惚気話ばかりを聞かせてきたのを思い出す。あいつ、めっちゃニヤニヤしてたなぁ…。ちなみにだが、あいつの彼女はサッカー部の先輩に寝取られていた。そんな身近でNTRがあるとか思わなんだ。

 現実逃避にも限界が来たあたりで、俺は異変に気付いた。


 激しくシェイクされているのだ。ナマモノが。


 集中していて気付けなかったが、これはかなりのシェイク。シャカシャカポテトをシャカシャカするとき並みに投げしいシェイクである。

 上下左右、四方八方、一攫千金。内側ですらこれだけ揺れるとかどんな動きしてんだ…?なんて考えつつ、ぬるぬるに身を任せる。



 5分ほど経った頃だろうか。シェイクが止まり、一度だけ脈動するかのようにブルンと震えた。

 

「んぉ…なんだ…?」


 そう呟いた瞬間、目の前が光で埋まった。


「ンギャァァァァッァァ!?!?」


光度で言ったらそこまでではないのだろう。だがしかし、駄菓子菓子ッ!これまで真っ暗闇の中に居た俺の瞳孔はガン開きであるッ!!!それ故一般的な外界の光であってもそれは致命傷となりうるッ!!!


「ァァァァァ、ア、ァ、ァ…およ?」


「えっと、その、大丈夫…ですか?」


目が慣れて景色が見えるようになった時、目の前には黒髪の少女がいた


あ、パンツ見えてる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る