第3話:アリ〇クはいいぞ
ナマモノから解放されたと思ったら目の前に黒髪美少女がいました。ぱんつも見えたので役得です。
んで、何なんですかねこの美少女は。さっきから手を差し伸べようとしてやめたりもう一回手を差し伸べようとしたりを繰り返しているわけですが。…あ、俺が今ぬるぬるだからちょっと忌避感があるのか(自己解決)
んー、どうしようかな。このぬるぬるをどうにかする方法が思いつかん。洗濯機にダイブして塩水でもみくちゃにされればワンチャンこれ取れるか…?でも今は塩水も無ければ洗濯機も無いし、そもそも170cmちょっとある人間が洗濯機に入ったところでタコみたくもみくちゃにされることが出来るのかが問題だな…
「―あの…聞いてますか…?」
「いやまったく」
「えぇ、ちょっ―」
声をかけてきた少女は置いといて、このぬるぬるを取り除く方法を考える。うーん、やっぱりクソデカ洗濯機を用意するしかないのか?…クソデカ洗濯機ってア〇ゾンに売ってるかな?あ、Al○Ex○lesなら売ってそうだな。いやあそこなら売ってるだろう。だってアリ〇クだもの。
善は急げと早速スマホを取り出し、洗濯機 巨大 100kgと検索をかける。うわ、スマホもぬるぬるしてやがる…防水でよかったわ。おっ、あったあった。100kg洗濯機…これいいな、値段は…ふぁっ!?
「500万!?!?!?」
「ひぇっ!?」
「あ、ごめん。…どうしたの君、ずっとこっち見てるけど。」
ナマモノから解放されたあと、地面に横たわったままの俺の横でしゃがみこんでいた少女が驚いていた。声大きかったよね、ごめんね。
「えっ…その、やっぱ何も聞いてなかったんですね…」
「うん」
多分俺が考え事をしている間にいろいろ話してたんだろう。でも俺は考え事をしていたので聞いていない。そもそも考え事をしている相手が話を聞いているわけないじゃないか。…いや、さすがにそれは言い過ぎだな。普通に俺が悪い。8:2くらいで俺が悪い。あ、もちろん8が俺な?
「はぁ…まぁ全部説明するほどの時間はなさそうなので簡単にまとめますね…」
「おう頼む」
「態度でけぇー…」
態度でかいのはデフォなんや。仕様なんや。許してクレメンス。
「えーと、まずは現状の説明ですが…あのナマモノはダヴォラってゆーバケモノです。人類に敵対的な生物的何かで、存在が秘匿されてます」
はえー、ダヴォラ…ダヴォラ…はえー…(なんも分かってない)
「ダヴォラは人間を捕食する習性があって、よさそうな獲物を見つけたらパクっといっちゃうんですよ。で、貴方はそのダヴォラに捕食されかけてました。普通なら”内側”でぐっちゃぐちゃのぐっじゅぐじゅにされてるんですけど、なんか助かってたみたいです。何者なんですか???」
一般人やが?少し変人ではあるが一般人やが?
「その一般人代表ですみたいな顔やめて下さい、めっちゃイラつくんで」
「あっはい」
こやつ強いぞ(確信)
「んで、”上”に『なんか死んでねぇヤベェやつがいるんだけどどうしたらいい?』的な事聞いたら『護送車送るから連れてこい。なるはやで』と言われまして…なのでちょっと連行しますね」
「え」
「はーい黒服さんカモーン!」
彼女がそう放ったとたん、両足首をつかまれ持ちあげられる。足首のほうを見れば真っ黒なギリースーツを身にまとい、顔にはドクロの面を付けた人間が2人。どちらも大柄で190cmぐらいはあるだろう。
そのままズルズルと引き摺られていく。アスファルトいてぇ!!おい離せよ!オイ!…畜生こいつら力強ぇぞ!?俺の「ウルトラ最強ハイパースーパー普通のパンチ」による抵抗が1ミリも効いてない!!!
「ねぇ!?待って俺このあと友達とカラオケ行く約束があるんだけど!?ねぇ!?ちょっとぉ!?聞いてる!?!?!?」
「聞いてません、考え事してるので」
チクショウ何も言い返せねぇぞ!!!先手打ったのは俺だからなぁ!!!
しょうがないからおとなしく引きずられてやるか…とおろし金と化したアスファルトに身をこすりつけながら十五秒ほど運ばれると、足首から手が放された。おっ、開放か?と思って身体を起こすと、こちらを見下ろした黒服が一言。
「立て」
有無を言わせぬ強さのある一言に、返事すらせずジャンプするかのように起立して、両手を上げる。こいつ怖ぇ。
「…両手を上げろとまでは言っていないのだが、まぁいい。早く乗れ」
目の前に駐車してあったバンを指し、促される。これ抵抗したらまずいよな…とか考えて、バンに乗り込む。
あっ、黒髪少女も乗ってきた…うわ席となりじゃん、いい匂いする。
「キモいです」
ごめんて。
「はぁ…これから"本部"のほうに連行させてもらいます。本部に着いたら多分、なんかしらの検査を受けるでしょうが…死ぬことは無いはずなのでご安心を」
怪しさMAXで草も生えない…
「…それさ、死ぬことはないってだけで死にかけることはあるとかそういう類のアレだったりしない?」
「さぁ?私は研究関係には詳しくないので、なんとも」
「えぇ…」
さらっと研究とか言ってる時点でなんかしらの実験的なアレはされるんだろうなぁ…やだなぁ…クリーチャーに改造されたりしないよな…?というか改造手術受けてなんか仮面のライダーになったりしないよな?
「…そういえば、自己紹介がまだでしたね。私は
一般的な女の子は物騒なお仕事しないしそんなフリッフリのフリルついた魔法少女みたいな服装しないと思う。
「あっ、今魔法少女みたいな衣装だとか何とか思いましたね?」
「うん、てかめっちゃナチュラルに心読むよね君」
「まぁそれもそのはず、物騒なお仕事って言うのは『魔法少女』の事ですから」
え?マジで魔法少女なの?
「その辺も貴方が考え事してる間に伝えたんですけどねー…」
「それに関してはすまんかった」
気が動転してたんや、多分。
「まぁいいですよ。で、貴方は?」
「…あー、俺は川崎 辰也、一般的な変人だよ。ちな17歳。よろしくね」
そう返し、手を差し出す。しかし彼女は手を握ってこない。…どうしたんだ?
「その…手ぇ今もぬるぬるなので握手はやめときます…」
「あっ」
スマホを取り出した俺は、もう一度洗濯機 巨大 100kgと検索した。
やっぱ500万円は高ぇよ
魔法少女モノの中に放り込まれたネタ的存在 黒はんぺん(バカ) @Black_HangPeng
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