第270話 トレイン★トレイン
Dスマホで『メロウリンク』が脇道に突っ込んだ瞬間に、俺達は大噴水広場に突入した。
「わあ、綺麗~~」
「のんびりしてんな、走るぞっ」
「はいっ、『きょうはいいてんき~~♪ おひさまわらってぴっかりこ~~♪ さあげんきをだしておかのむこうまであるこうよ~~♪』」
よし、みのりの【元気の歌】で気合いがブーストされた。
俺達は大噴水の周りを駆けて行く。
トレインに吸収されたのか、あたりに魔物の姿は無い。
「これは快適だっ」
「『メロウリンク』が騙されたって気が付いたよっ」
「マップは……、よし、かなり迂回路を行かないと大噴水広場には戻ってこれない、その間に突っ切ろう」
『ぶぶぶ、怒ってる怒ってる』
『ウソを書き込んだのは誰だあ、だって、俺だよ』
『計算だと、階段に近い通路に入るのと、トレインが再び大噴水広場に入るのが一緒だな』
『通路上でなすりつけって出来るのか、ターゲットとトレインに挟まれねえか?』
『カエル玉でロビーまで飛ぶつもりだろう、目障りな『Dリンクス』を潰せれば良いんであって、スゲえ装備の回収は二の次だろう』
『ゲスイ、徹底的にゲスイな『メロウリンク』』
みのりが遅れたので、鏡子ねえさんが小脇に抱えた。
チアキはくつしたの上で快適そうだ。
俺達もレベルが上がってるので息は切れない。
朱雀さんが不安だが、遅れてきたら俺が抱えて走ろう。
「まちやがれっ、『Dリンクス』!!」
「またん」
迂回路からの通路から『メロウリンク』が現れた。
かなりへばっている感じだな。
俺達は通路に飛びこんだ。
げ、前方にハイアントマンが三体。
バキューン!!
ダキュンダキュンダキュン!
銃撃でハイアントマンが一匹倒れる。
鏡子ねえさんがみのりを抱えたまま[縮地]で跳び後ろからネリチャギでぶっとばした。
ぶっ飛ばされたハイアントマンをくつしたが三つの頭を生やして噛みつき、かみ砕いた。
朱雀さんの氷結符が最後のハイアントマンを襲い、びびった所を俺が懐に踏み込み、『暁』で心臓を一撃。
ハイアントマンは全滅した。
が、速度が落ちて『メロウリンク』に追いつかれた。
「ぎゃははは、終わり、終わりだっ、『Dリンクス』、あばよっ……」
『メロウリンク』のリーダーはカエル玉を床に向けて投げつけた。
「もーらいっ」
くつしたの上で地に落ちるぐらい斜めになったチアキがムカデ鞭でカエル玉を空中で奪い取った。
「え、そ、そんなずる……」
「ぎゃあああっ!! リーダー、リーダー!!」
呆然とする『メロウリンク』の後ろからモンスターの群れが雪崩のように襲いかかった。
「ナイスチアキ、行くぞ」
「おっけーっ」
俺達はそのまま駆けて行く。
後ろでは汚い絶叫が鳴り響いていたが、しらん、自己責任だ。
どどどと走って、階段前の安全地帯で俺達は停止した。
「やったなあ」
「やったね」
鏡子ねえさんと俺はハイタッチした。
「チアキも良くやった」
「『
チアキともハイタッチ。
「静かになったね」
泥舟が長銃を持ってそう言った。
『メロウリンク』は食い殺されたかな。
『『メロウリンク』は全滅! みんな喰われた』
『装備とか漁るとなかなか良い物持ってそうだけど、魔物の群れを倒さないとなあ』
『おや、鏡子さんの様子が……』
鏡子ねえさんがむっふっふと笑いながら『金時の籠手』を打ち鳴らした。
「もったい無いから狩ろう」
「おーう、姉さんはどうしてそう意地汚いんだ」
「B級といえば、レアも持ってるぜ、へっへっへ」
「死骸を収納袋に入れて悪魔神殿に持って行けば感謝されるよ。装備とか持ってるお金とか全部くれるよ」
おーう、チアキまで蛮族な事を言うなあ。
だが、まあ、経験値がもったい無いのはそうだな。
「俺とねえさんで行ってくるよ、ちあきとみのりはここで休んでな」
「あら、私は?」
「朱雀さんは経験値稼ぎのチャンスだから後ろに着いてて」
「それもそうですね」
「よし、行こうか」
「駄目だよ、みのり姉ちゃんが居ないとドロップの出が悪いよ」
「ばおんばおん」
くつしたも同意見のようだ。
前の方からぞろぞろと血まみれの魔物達がやってきた。
トレインの半分ぐらいだな。
ハイアントマン、ヘビージャッカル、シルバーバット、アシッドバイパー、ケイズハウンド、などなどが一杯だ。
さすがに安全地帯には踏み込めないのか、境界のあたりをうろうろしている。
「きゃりありありあぁぁっ」
鏡子ねえさんがひしり上げ
もう、いきなり始めるんだから。
「『ぐるぐるぐるぐる♪ おまわりおまわりなさい~~♪ 空も地面もぐーるぐる♪ 足下ぐらぐら気を付けて~~♪』」
みのりの【ぐるぐるの歌】が入り、シルバーバットが笑いながら落下する。
足が多い、ハイアントマンや、ヘビージャッカル、ケイズハウンドなども少しぐらぐらしているな。
そこを縦横無尽にねえさんが暴れ回る。
小型の暴風雨のようだ。
泥舟が長銃を発射して、アシッドバイパーの頭を吹っ飛ばす。
俺もすり足で近づいて、シルバーバットの息の根を止める。
朱雀さんが沢山の氷結符を投げて攻撃する。
なんとかなりそうかな。
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