第237話 ドロップ品の仕分けが意外と大変

 とりあえず、甲虫甲冑セットをまず出した。


「ギラファ装備とヘラクレス装備はどっちがいい?」


 マリちゃんとゲドラさんが、オーウと言いながら甲冑セットを確かめた。


「ギラファが黒、ヘラクレスが茶色ですね、うーんどっちも格好いいなあ」

「あと、ギラファメイスとヘラクレスソードも出たよ」

「良い出来だなあ、畜生」


 ゲドラさんが悪態を吐いた。


「メイスが有るならギラファで揃えようかな」

「ギラファ盾は鍬形男ワーギラファから出るぜ」


 盾は別のモンスから出るのか。

 セットで揃えたい物だな。


「せっかくだから付けてみようぜ」

「ゲドラ師匠手伝ってくれますか」

「いいぜえ、愛弟子の装備だ、まかせとけっ」


 おお、専門家に手伝って貰えたらありがたい。


「鎧下はどうするの? 制服じゃまずいよ」


 俺は黙って芋虫柄ジャージをマリちゃんに渡した。


「ま、まあ、後でちゃんとした鎖帷子を買えばいいやな、いまは芋虫ジャージで」

『芋ジャージマリちゃん!』

「わかりました」


 マリちゃんは有料更衣室に行った。

 冒険前に着替える勢もいるので、一回三百円で更衣室を貸しているんだ。

 魔王大迷宮はサービスが良いね。


 その間に仕分けをしておこう。


「ぬいぐるみ類は」

「はいはいっ」

「はいはいっ、ムカデの奴以外、あと芋虫もいや」


 チアキとみのりで分け合ってくれ。

 俺は二人の間にぬいぐるみを積み上げた。


「私はボディスーツの替えと猫耳カチューシャがあればいいや」

「俺は甲虫胸宛てとグリーブを貰った。あとトカゲ外套を貰うよ」

「オッケー」


 泥舟がメモしてくれる。


「あと、蟻スコップは何かに使えるかもだから残しておこう」

「そうだね」


 穴を掘るのに良いかもしれない。


 マリちゃんが芋虫ジャージを着て戻って来た。


「よし、ギラファ装備を付けていこう」

「ありがとうございます」


 セットのフルプレートアーマーだから着る順番とかあるんだろう。

 プロのゲドラ師匠が教えてくれて助かる。


「なにしろ、初の鍛冶講習の弟子だからな、しかも才能がスゲえ、きっと良い物作れるぞ」

「ありがとうございます、頑張ります」


「みのりは蝶のブローチは付けないか? 『吟遊詩人バード』が幻覚に囚われると困る」

「わかったよ~~」

「あと呪文スペル加速ヘイスト】はどうする?」

「うーんどうしよう~」

「鏡子に【加速ヘイスト】掛けて、その後に【スロウバラード】だと、きっと凄いよ」


 【加速ヘイスト】重ね掛けかあ、良いかもしれないな。


「わかった~、覚える~~」

「カシミアの襟巻きはチアキが持ってくか?」

「冬に備えるのかあ、まだ早いけど、箪笥に入れておこうかな」

「冬まで収納袋に入れて置いてやるよ」

「そうしようっ」

「了解」


 泥舟がメモに書き加えた。


「あとは聖典の【復活リライブ】と【解呪ディスペル】、は残しておくか」

「そうだな、『僧侶プリースト』を探さなきゃ」


 パーティ内で復活できるようになればかなり気持ちが楽だからな。


 トーロンポーとか、マグロのカブト焼きとかは、今日の焼肉の時に出そう。

 ミノタウロスの出す牛肉は美味しいからな。

 みんなにも食べさせたい。


「ギラファ装備完成でーす」

「「「「「おお~~」」」」」

『『『『『おお~~』』』』』


 なんだか、色々と尖っていて格好いいな。

 メイスも良い感じにマッチしている。

 くつしたが尻尾を振ってマリちゃんにすり寄っていた。


『甲虫装甲女子! 格好いい!』

『竹宮先生がヘラクレスか、良いねえ!』

『だが、先生はソード使えねえ』

『ああ、『僧侶プリースト』は重装甲できるけど、武器は鈍器か』

『装甲値がかなり上がるので、マリちゃんも竹宮先生も死ににくくなったな』

『五階まではなんでもないというか、四十階ぐらいまで使える装備セットだ。セットボーナスの装甲+も大きいぞ』


 いいね。


「牛戦斧は高田くんにあげようか」

「高田くん喜びそうだ」

『甲虫甲冑をやる手もあるが、まあ、虹超で出せだよな』

『二十階台まで来ると色々と装備が美味しいな』

『三十階越えるとプロだからな、そりゃあ』


 マリちゃんはスマホで自撮りをして、デモッターにアップしてるようだ。


「泥舟、魔石弾用に甲虫の魔石は残しておくか?」

「そうだね、威力が高い感じだから五個ぐらい残して置いて」

「解った」


 それ以外の雑多なドロップや、半グレたちの銃などは売ってしまおう。


 換金カウンターに並んで受付を待つ。

 くつしたに乗ったチアキが付いて来てくれた。


「あ、タカシさん、今日も大量でしたね。C級昇格おめでとうございます」

「ありがとうございます」


 今日の担当女悪魔さんは羊角のモコモコさんだった。

 カウンターにどさっと、魔石や半グレの銃、装備などを並べた。

 お姉さんは手早くチェックをしてくれた。


「二百四十七万六千五百二十円になります」

「おおっ」

「銃器が高いんですよ」


 なるほど。


 これを六分けして、それぞれの口座に振り込んでもらった。

 ああ、稼ぐって良いなあ。

 チアキもムカデぬいぐるみを首に巻いてニコニコしていた。





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