第235話 気になる金箱の中身は
『フロアボスは状態異常耐性もってんじゃねえの?』
『みのりんの成長の成果じゃな、【歌唱】スキルが上がったのであろう、良い声である』
『みのりんスゲえっ、【スロウバラード】無双だな』
『き、気になる金箱の中身は、チアキはようっ』
チアキが盗賊七つ道具を使って金箱を調べている。
「酸の罠だねえ、なので中身は
「なんで解るんだ?」
「この罠は紙とか酸に弱い宝物を台無しにする奴だから、金属製の装備、宝玉のオーブ系には使われないんだよ、鏡子」
「そうなのか、チアキはよく知っているな」
「罠解除できるか?」
「確実じゃ無いよ」
俺は収納袋に手を入れて鍵を取りだした。
追加で買った鍵なんだが、これが最後だ。
チアキが鍵を取って、宝箱を開けた。
『
「「「「「聖典かあ」」」」」
『『『『聖典かあ』』』』
聖典と知って、全員の熱量が下がった。
僧侶居ないからなあ。
竹宮先生にあげるか。
チアキのカメラピクシーの幼女ちゃんが聖典の表紙をアップにする。
『『『『『『『『『『『【
「「「「「うおっ!!」」」」」
「わんわんっ!!」
【
『おお、引きおったな、【
『サッチャンが使ってたやつか、蘇生系の奇跡は初じゃね?』
『いや、サッチャンのは【
『『ホワッツマイケル』のアルマさんが持ってたと思う。世界初じゃない』
『しかし、この奇跡一本で誰か『
『フルバードのみのりんはもったい無い、僧侶を『Dリンクス』に入れるしかねえなっ』
「すげえのが出たなあ」
「竹宮先生にあげるのは駄目か」
『もったいねえっ!!』
『S級狙える僧侶の奇跡だぞ』
『誰か良さげな『
藍田さんに渡したら『オーバーザレインボー』の死亡率が下がりそうだが、うーん、自パーティに【
「『Dリンクス』最後の一人は『
「いっそ、マリちゃんを
「えー、楽しそうに『
良い物が出て、嬉しいのだけれども、悩ましくもあるなあ。
「後で考えよう」
「そうしよう」
俺は聖典を収納袋に入れた。
ドロップ品は、Aクラス牛肉包み、それとオックスアックスであった。
でかい斧だな。
『斧といえば高田、高田と言えば斧、高田高田、高田をよろしくおねがいします』
『中距離はトマホブーメラン、近接戦はオックスアックスか、なかなかいいんじゃないか? 重戦士コースかな』
『重戦高田』
高田くんのファン、結構多いな。
人気者なんだな。
Dスマホを出してステータスチェックアプリを見てみた。
おお、やっぱり新しいコモンスキルが出ているな。
【弱点看破】だ。
相手の弱点が光って見える感じか。
軽戦士の取りやすいスキルだな。
「よしっ、念願の【射撃】が生えたよ」
「チアキやったなあ」
他のメンバーもスマホを出してステータスをチェックしているようだ。
あまりおおっぴらに言わないが、良いスキルが取れているといいね。
【元気の歌】のメロディが鳴りはじめた。
「タカシの着信、元気の歌かよ」
よく聞くからさ、好きな曲なんだ。
「『きょうはいいてんき~~♪ おひさまわらってぴっかりこ~~♪』」
みのりが着信メロディに合わせて歌い始めた。
これで元気が出るから『
知らない番号からの通話だった。
「はい、もしもし」
『見てたわ、タカシくん』
げえっ、りっちょんだ!
「なんの用だ」
『あなたが私になすりつけたミノタウロスを新しい仲間と倒して鼻高々ね』
こいつの頭の中ではあの事件はそういう事として確定してるんだろうな。
やっかいだな。
「言いたいのはそれだけか?」
「タカシ、誰からだ?」
「りっちょん」
「「「「げーっ!!」」」」
「くお~~ん」
くつしたはりっちょんの事知らないだろう。
雰囲気で悲しい声を出したな、今。
『げえっ、りっちょん!』
『まだ日本に居るのか? ロシアに渡航すりゃいいのに』
『ウラジたちは何を狙っているんだ』
手首の上のスクリーンにコメントが流れて行く。
『あなたたち『Dリンクス』を私は許さないわ、私の得るべき利益を横取りした貴方たちを滅ぼして、絶対に『ざまぁ』してやりますからね、覚えてらっしゃい。世界の歌姫とのライブとか、絶対に絶対に許せないっ、滅茶苦茶に……』
ツーツー。
通話が唐突に切れた。
ロシア人に電話している所が見つかったかな。
「切れた?」
「切れた、ライブを滅茶苦茶にするようだよ」
「えー、やだなあ」
「大事なライブだ、俺達が守るよ、みのり」
「は、はひ、ありがとうタカシくん」
みのりは赤面して答えた。
「時々タラシだよなあ、タカシ兄ちゃん」
「そして時々朴念仁だ」
「難しいお年頃なんだよ」
うるさいよ。
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