第七章 京都陰陽大戦

第101話 そうだ京都に行こう

「うっひひひ、京都だ京都だ新幹線だ」


 二人掛けの座席を回して四人でボックスのようにして乗っている。

 今は木曜の四時、京都駅には六時に着くな。

 

「ああん、京都なんて中学の修学旅行以来よ、楽しみだね、タカシくん」

「あ、ああ」


 中学の修学旅行は金が無かったので行って無いので、俺的には初京都だが、まあそんな事を言うとまた同情されるの言うのはやめておこう。


「今日は京都駅近くのホテルで泊まって、明日の朝、乃木家の人が迎えに来てくれるんだったよね」

「そういう事になってるな」

「乃木家ってどこにあるの、どこにあるの?」

「嵐山の山の中らしいよ」


 退魔武器引き換え券に付いて来た連絡先に電話して、乃木大作先生とはご挨拶済である。

 護拳を作りたいと伝えた所、作ったことが無いので一度来て打ち合わせをして欲しいと言われたので、こうしてみんなで京都に向かっている。


「連休は三日あるから、一日は難波地獄門へ行って潜ってみようぜ」

「どこの迷宮も一緒だと思うんだけどな」

「やっぱり、潜っている奴がちがうと、雰囲気が違うかもしれないだろ」

「売店の女悪魔さんとか、一緒なのかなあ」


 売店のおねえさんは専門なのか、いつも同じ悪魔さんだが、難波でも同じ悪魔さんかな、それはちょっと気になる。


 レア装備交換券だが、みのりだけが『『吟遊詩人』バードの羽帽子』に交換した、今かぶっているが、なんだか雰囲気があって格好いい帽子だ。

 俺のチケットで鏡子ねえさんの防具を取ろうとしたら、彼女は嫌がっているのでまだ宙に浮いている。

 泥舟のレア装備も、まだ決まっていない。

 まあ、まだ焦る階数でも無いしな。


 フロアボスを倒してから、二回十一階以下に潜った。

 いつものオークや、ゴブリンに加えて、ハイオークやオーガーも出て来て、なかなか強くなっている。

 相変わらずドロップがどさどさ出るのは変わりが無い。

 収納袋(小)があってとても助かっている。

 食料品も売るほど出るのである。


『本日は東海道新幹線をご利用いただきありがとうございます。お客様におしらせします、ただいま進行方向右手の窓から富士山が見えて参りました、本日は快晴のため全景がごらんになれます、短い時間ではございますが、どうぞごらんください』

「「「「おお~~っ」」」」


 富士山がくっきりと見えた。


「綺麗ね~~」

「富士山すげえなあ」

「大きいなあ」


 いやあ、良いなあ。

 良い景色が見れた。


「みんなで旅行って楽しいね」

「お、車内販売来た、アイスください」


 鏡子ねえさんが新幹線スゴクカタイアイスを買っていた。

 俺も買うかな。

 というか、みんな買っていた。


「堅い~~」

「カチカチだね」

「あ、ねえさん歯で囓りなさんな」

「我慢できないんだ」


 子供じゃないんだからのんびり食べなさいよ。


「タカシ、楽しそうだね」

「ああ、うん、楽しい」

「それは良かった」


 みんなニコニコしていた。


「んで、『オーバーザレインボー』はレア券、何に交換したって?」

「藍田さんのホーリーシンボルだって」

「東海林の杖じゃないのか」

「あいつも自分の事は後回しにするからなあ」

「でも凄いのよ、奇跡の成功率と威力があがるし、一日三回【ハイヒール】が使えるって」

「ハイヒールが三回使えるのは良いなあ」

「さすがレア装備って感じだね」


 僧侶が上がると生存率上がりそうだしね。

 ハイヒールも聖典で出るんだけど、確率が低いので大変らしい。

 エクスヒールとなるとレア宝箱からしか出ない。

 ちなみに『ホワイトファング』の僧侶さんは、エクスヒール持ちらしい。


「うちも僧侶か魔術師か、欲しいなあ」

「あと、枠は二人だね、盗賊も欲しいな」

『吟遊詩人』バードは代用だからね、僧侶かあ。そういえばあんまり僧侶やる人いないのね」

「信仰心って、現代人はあんまり高く無いらしくて、やれる人が少ないって」


 後醍醐先輩のような人の方が少ないんだよな。

 異世界と違ってこっちの世界は神様が直接なんかしてくれる事は無いからね。

 信仰心も薄くなろうという物だよ。


 ちなみに藍田さんのお家はキリスト教の教会なので信仰心が高かったようだ。

 樹里さんは、ルパンとか怪盗に憧れての盗賊だったらしい。

 思ってたんとちがうっす、とこの前ぼやいていた。


「京都で何を食おう、京都ラーメンか」

「いや、京都行ってまでラーメン食べなくても」


 みのりが鞄からるるぶを取り出した。


「湯葉のお店に行こうよ湯葉」

「そんな、じじむさいのはやだー」

「湯豆腐が食べたい」

「泥舟が輪を掛けてじじむさいリクエストをしたー」

「まあ、京都駅周辺で何か食べよう」

「京都は肉とかどーんというのはないのかっ」

「京都だからねえ」


 アイスが溶けてきたので木べらですくって口に入れる。

 うん、美味しい。

 ねえさん、アイスを直接歯でがりがり削るのはやめて。


 ああ、京都旅行楽しみだなあ。


「ああ、ここらへんで降りてさわやかのハンバーグが食べたい」


 ねえさんは食うことばっかだな。


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