第72話 中華料理屋さんで感想戦
「あの戦技スキルは凶悪だな、あれは同時に八つの斬撃がでるから、かいくぐるのがたいへんそうだ」
鏡子ねえさんは大盛りチャーシュー麺をかきこみながら興奮気味に言う。
「あー、サッチャンさま、サッチャンさま~~」
峰屋みのりはあんかけ焼きそばを食べつつも帰ってこない。
「戦技スキルは生えないよね、金箱で取るしか無いの?」
泥舟は日替わり定食の青椒肉絲定食を食べながら言う。
「そうだろうな、レア戦技スキルとか、レア魔法は戦局の盤面をひっくり返すほどの効果があるから」
俺はパイコーチャーハンを食べながら答えた。
「レア
「峰屋さんの【スロウバラード】は戦局をひっくり返すよ。コモンの【ゆっくりの歌】は敵味方を巻き込むから、ターゲット選択制の呪歌ってだけで、凄いよ」
「コモン
「効果範囲とかあるから、上手く使えば良いんだけどねえ、範囲が広い分立ち回りがむずかしいよ」
「そうなのよ~」
峰屋みのりはこちらの世界に帰ってきたようだ。
街中華の『成都』は八分ぐらいの客の入りだった。
成都という名前だが、四川料理ではなくて、普通の街中華だ。
味はまあまあ。
「将来、サッチャンと戦う事を考えると、レア戦技が欲しいな」
「レア装備も、一人一個ぐらいは欲しいよね」
「ふふふ、私はレア
「本当に、峰屋さんは運が良かったね。レアがお金で買えたから」
「他の職業のレア装備とかレアスキルとかは市場に出ないの?」
「出るけど、最前線にいるSランク配信冒険者パーティが買っちゃうからね。深い所で戦うと億とかすぐ稼げるし、配信料も凄いから」
「そうなのかあ、駆け出しFランク配信冒険者パーティは辛いねえ」
配信者のランクは十階のフロアボスを超えるまでは一律にFランクだ。
パーティになった場合は全体の平均ランクがそのパーティのランクとなる。
十階突破でEランク、二十階突破でDランク、三十階のミノタウロスを越えるとCランクだ。四十階のマンティコア師匠を突破するとBランク、五十階を越えるとAランク、六十階を越えるとSランクとなる。
現在の人類の最高到達深度は72階、八十階突破パーティが出ると等級も振り直されると予想されている。
この配信冒険者ランクは迷宮側が用意したものではなくて、国際配信冒険者協会が勝手に付けているものなのだが、解りやすいので定着した。
「【
「ブラジルの阿呆が全部金で買った。いまは、魔法護拳でレア戦技スキル四個持ちだとよ」
それはまた豪華な【
【
「しかし、退魔刀『暁』は良いな、『宵闇』より格上で、サッチャンを痛がらせる事が出来る」
「痛がっていただけだったね」
「ああ、サッチャンさま~~」
「みのり、帰ってこいっ」
「ぎゃあ、鏡子おねえちゃんが私のうずら卵とった~~!」
やれやれ賑やかな事だよな。
「だけど、退魔刀って日本の武道なのに、盾前提なんだね、珍しい」
「日本人、手持ちの盾使わないからなあ、沖縄の武道が入ってきたかな?」
「沖縄だと盾使うんだ」
「亀の甲羅を使った盾があるらしいよ、漫画で見た」
「とりあえず、陰陽鍛冶の人の話を聞きたいね」
「ホームページとか無いのか?」
「無いでしょ」
泥舟がDスマホをいじった。
「無いみたい」
「陰陽師だもんねえ、ドーマンセーマン♪」
陰陽師も謎の職業だよな。
日本の昔の呪術をつかさどる職業。
実在するとは、退魔刀を見るまでは知らなかった。
この『暁』と越谷さんが持ってる『宵闇』は陰陽対になる剣のような気がする。
相当凄い物っぽいが、チンピラが盗んで来たって言ってたな。
返せって言われたら困るなあ。
「おばちゃん、餃子とパイコー麺追加で」
「まあ、あんたよく食べるねえ、まいどあり」
「育ち盛りなんだっ」
これ以上育っても、鏡子ねえさん困ると思うのだが。
今はすらりとしてるけど、そのうちムキムキになるのかも。
「僕はどうしようかなあ」
「今は中衛だけど、後衛に入って欲しいな」
「そうだよねえ、【魔術師】をやるか、【戦士】をやるか、迷うね」
「【魔術師】で槍を使ってはいけないの?」
「装備制限で、軽い防具しか着けられないし、槍を使っても槍関係のコモンスキルが生えなくなるんだ」
「ああ、職業制限があるのね」
「やっぱり、駆け出しのうちはコモンスキルを沢山取るのが強くなるコツだからね」
そうなんだよな、泥舟の槍はもったい無いけど、遠距離系の後衛も欲しい。
後衛の仕事を峰屋みのりが出来るからといって、頼りすぎるとパンクする。
呪歌だってマジックポイントを消費するのだし。
泥舟もそうだが、俺も
戦士系に進むのは決定しているが、斥候の能力も伸ばしたい。
一時的に装備が共通している【
パーティの設計は難しいね。
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