第39話 最強の殺し屋クロは、模擬戦をする
黒いローブを着ていて黒い手袋を纏った男が奥から歩いてきた。その者は片手には短刀ともう一方には9mm拳銃を持っていた。明らかに周りの殺し屋、訓練兵より本当に戦ったらいけないオーラが出ていた。
「あれ本当にレイさんなの?」
闘技場に集まっていた六人の中の一人ミシェラが答える。それに続けて隣の人の顔をうかがうものも出ていた。
「レイさん……ぐ、ぐぉ……」
「どうしたの? フィスちゃん!?」
俺を前に突如倒れこみ吐き出した……。俺はなんでフィスラントがその場で吐いたのかすぐに理解した。
「フィスラントお前……。魔眼をもっているだろ?」
「ううぅぅ、そうです……。 レイさんの魔力ともに戦闘数値を見たら……。うぅぅ」
「クロさま。もう初めても?」
「いいよ」
そして1vs6の模擬戦闘が始まった。最初に仕掛けたのはやはりエリスだった。
「光の刃よ……的を射ぬけ《ホーリーランス》
光が通る音と言った方が良いか?。まぁそのような素早い槍が次々と俺の方に向かってくるがここはひとまず避ける。エリスの攻撃は非常に命中精度が高いが俺には当たらない。
そうしていると後ろから急に斬撃が飛んでくる。
「くらえ!!!」
「おっと危ないね」
レイは後方から急に斬撃を繰り出したカロリーヌの剣を受け止めそのまま壁に吹き飛ばした。
「レイさん……。あなたはなぜ私の攻撃を見切れたのですか?」
「あぁ、それか……。まぁ~そうだな、慣れだ」
「うぁわ!!」
そう回答した俺は隣に居たエリスの体を軽く発勁で吹き飛ばした。大丈夫だ、さっきの発勁は人を殺すほどの威力を入れていない。
「うぅ、あのレイの発勁を食らって私立っているとは思えないね……。レイ手加減しているよね?」
「ご明察」
また後方から斬撃が飛んできた、これは決してカロリーヌではなくつるまいを使うスミだった。先ほどと同じように攻撃をいなして吹き飛ばそうとしたけど隣から突きが飛んでくる。カロリーヌだ……。
「めんどくさいな……」
「なに!?!?」
カロリーヌの攻撃をまたいなした。どうやら俺の立てていた予想はその通りであいつが使っているのは普通の剣ではない。時空を操る剣だ。
時空を操る剣とは、その名も通りに自分を中心としたサークルの中でなら時間を加速または減速させることができて、それは傷口にもおんなじだった。一回でも斬られればかなり戦うのがしんどくなる。気を付けないと……。
「会長の能力は数秒前の世界が見れる力ですよね?」
「なんでそれを……」
「その剣は、使い手が時空を操る力を持っていないと使えない代物なんですよ」
「え? この剣は非常に使うのが難しいかと……私は教えられました……」
「違う、単なる使い手が時空操る力が無いと無理なだけだ……」
銃声がバンっと地下訓練場に響きわたった。レイが持っている銃は9mm口径だが中身は今回だけ模擬弾だ。当たっても死ぬことはない……。
そしてカロリーヌは頭に銃弾をあてられ気絶した。それを傍で見ていたフェリンがレイに突進をしてきた。
レイには通常の突進などは効かないが、フェリンは通常の突進ではなくレイの体の前ぎりぎりに床に体をよせレイの足首をとらえた。レイは一時動けなかった。フェリンのこの拘束術はおそらく姉であるリリーの影響だろう。
俺が足を取られ動けないとき俺の背後からもう三人の気配がした。スミ、エリス、フィスラントの三人だ。
エリスとフィスラントは遠距離からの光と風魔術そしてスミは自身の持つ身体能力でレイをとらえる。レイは両手でその攻撃をいなしたがもう一人がそのレイの真横にいた。
ミシェラだ。
あいつは運動神経が良いので自身のそれを使ってレイの胴体にしがみつく。レイは少しの間動けない。だがその動けないのが命取りだ。
残った五人の力を合わせてレイに襲い掛かる。これは流石のクロであるレイも避けられない。そう観戦している訓練兵もそう思っていたもちろん五人も思っていた。
だが……
「これで俺を倒せると思うとは愚かだよ……」
「え?」
「なに?」
「極限化……」
周りに闘気と言う名のオーラがあたり一面を巻き込んだ。観戦している訓練兵は自分が吹き飛ばされないようにするのに手がいっぱいだ。
ゴォゴォ~と言う音が正しいのかそんな音が響く。そしてレイを攻撃していた魔術は空中で相殺され、スミは吹き飛んだ。
「学園生活ではまず見れなかっただろう。これが本当の極限化だよ」
「これが……クロ……」
「みんなまだ立てる?」
『全然いける!!』
「みんなあの最強の男であるクロを倒すぞ!!」
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