第38話 最強の殺し屋クロは、地下訓練場で見る
一通りの施設を見てもう一度地上に集まったレイ、エリス、ミシェラ、ルイス、フィスラント、フェリン、スミ、カロリーヌは全員中央ロビーに行き、レイからの指示を待っていた。
「よし、みんな集合したか……今からは、六色光地下特殊訓練場に行き、無色のみんなには訓練兵と模擬戦をしてもらう。これは本番だと思って取り組むように」
レイがそんなことを言うとみんなは元気よく大きな返事をした。返事は『ハイ!』だ。
「レイさん、その~訓練兵ってどれぐらい強いのですか?」
「そうだな……。学園島のトップぐらいには強いと思うよ」
それを聞いて皆は口を開ききってしまった。そうだ俺が言った通り訓練兵でも学園島のトップになれる実力をみんな持っている。その中でトップを張れるものはシシルが入っている組織である
そんなことを話していると、もう時間がきた。みんなは戦闘服をそれぞれ着て特殊闘技場にやってきた。相手は訓練兵で、無色の存在も教えている。向こうには圧倒的な差で力を示すように言っている。
そして始まる……。一回戦目はミシェラと訓練兵A。
「よろしくお願いします! では《ウィンドウブレス》」
「ふむ……。《ウィンドウカッター》」
勝敗は今ので決まった。まだ負けてはいないがもう勝ちが見えている。ウィンドウブレスは風魔術の中でも中の上の攻撃で、それに対して訓練兵Aは風魔術の基礎の攻撃魔術である。《ウィンドウカッター》でミシェラの攻撃を相殺した。俺はこの続きを見た。
「ううわ!!」
「対ありでした」
結局ミシェラは場外まで吹き飛ばされて負けが決まった。その後もフィスラントも負け、フェリンも負け、カロリーヌも負け、エリスも負け、そして最後は学園トップだったスミの出番だ。これには少々期待している。
「ふぅ~~。今だ!!!《つるまい連撃》」
目に見えることができない斬撃が訓練兵を襲う。今までは攻めばっかりの訓練兵だったが今は防戦一方となっている。これには後ろで観戦しているほかの訓練兵も驚いた。
訓練兵の中では「あの子強いよね」と言った声も上がっている。
「防戦一方じゃ不釣り合いだぜ、スミさん行くぞ!《チェーンハンティング》」
チャリンガシャチャリン。
不気味な音が鳴る、その正体はすぐにわかり鎖だって事が分かった。チェーンハンティングは昔生きていたある男性が開発した魔術で制限時間ありでかなりの遅延や拘束、移動制限などを設けられる。いわばめんどくさい魔術だ。
「スミ!! 考えろ!!」
「レイさん……」
俺はその場で応援した。大本部にいる人なら分かるが、俺は基本感情を表に出さない。これだからみんなは俺の方を向き以外だな~という顔を向ける。
「これはどうでしょう!!《みかづきのいぶき》」
次はスミによる高速で行われる突きの連撃だ。普通刀と言うのは縦からの攻撃や横からの耐久性などを問題視されてきた。それから刀で行われる強い技の中には【突き】がある。
これは訓練兵では止められないと思ったのか。最後の力を振り絞ってスミは攻撃を行った。
「――チェーンハンティング」
「うそですよね?」
その突きは訓練兵に当たることは決してなかった。スミが放った突きの連撃は全て発動中のチェーンハンティングに全て止められていた。
勝負決まり……。
「みんな良く頑張った。相手は六色光の傘下に入る者だから、今負けても問題ないよ」
「でも悔しいです私」
「しょうがないよスミ。チェーンハンティングは発動されたらかなりめんどくさい。あの状態の勝ち方は速やかにターゲットを排除するしかない」
励みの言葉を俺がみんなに言っているとカロリーヌの発言でなぜか俺がみんなと戦うことになった。
「いや、なんでだよ」
「いいじゃない。レイ。私はちゃんとしたレイと戦いたかったの」
「わ、私もです」
「元会長としても気になっておりました」
「レイっちを皆で倒すぞ!!」
「あわわ、みんな行きますよ!!」
「レイ君に教えてもらったこれで行くよ!」
なんでこうなった。俺は一応六色光の色つきなんだけど……。別に戦ってもいいけど面白くないよ俺は……。
って今思い出したんだけど……。
「よぉー! レイ」
「ルイスか……。どうした」
「今から施設を案内するんだろ?」
「そうだけど……」
「それがね~。俺もあまり乗り気ではないけど是非受けてほしい依頼があるんだ」
「依頼とは?」
「そうだね。依頼内容は【全ての案内が終わったとき、最後六色光地下闘技場で模擬戦を開催する。そして最後クロは全員を相手に圧倒してほしい】といった内容だ」
「まぁ、依頼なら受けるさ」
「ありがとう」
「またね」
って感じなのがあった。でもさぁ~俺は別に乗り気ではないんだよな……。だけど依頼は依頼さ。仕事ならちゃんと最後までこなすことにしてるんだよ。
俺はここで雰囲気がガラッと変わった。
「みんなお待たせ……」
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