第33話 最強の殺し屋クロは、正体を明かす
「昨日理事長から渡された地図はこのあたりだと思うけど……」
「ここだよね?」
「そうなのだ!」
「外では私の権限使えないので気を付けてくださいよ?」
「確かにここであっていると?」
「おそらく……」
六人はそれぞれ確認し合い。もう一度ここであっているという確証が取れた次の瞬間、黒い霧があたりを舞う。
「何が起きているの?」
エリスのその一声でその黒い霧が晴れた。霧の中から出てきたのは金髪で両耳にピアスを付けている明らかにチャラそうな人物だった。六人は自身の身を守るためにチャラ男に襲いかかった。
「まぁ、あわてるな」
『っう……』
その一声でその場にいた者全員の動きが止まる。男は手を前に開いているだけで何もしていないのだが私たちは体の指一つでさえ動けなくなった。
「エ、エリスさん。この人明らかにただ者では無いですよ……。私が先制攻撃とってきますね……」
スミは皆を守るべく、自分からそのチャラ男に襲い掛かった。
「チャラ男さんは成仏です! 《連撃つるまい》」
無数の目に見えない斬撃がチャラ男に襲い掛かる。スミの腕前はみんなからお墨付きでかなりの強者だ、そんな斬撃をさすがのあいつでも受け流すことはできない。そう思ったのだが……。
「僕は君たちに話をしに来ただけだけどな……。でも攻撃されたなら防ぐのが常識か……。 《アンチウィンドウ》」
チャラ男の手のひらから出てきた黒い霧にその斬撃は吸い込まれていった。そして無に戻る。
「スミさんのあの斬撃をたった掌で受け流した……」
「ま、まぁみなさん話だけでも聞きませんか?」
「お、ありがとうスミちゃん」
「い、いえこのぐらい」
さっきまで刃を向けていたスミはあっという間に向こう側についてしまった。でも少女六人はチャラ男の話を聞くだけ聞いてみることにした。
「分かった聞いてくれるんだね。じゃあそこの倒木に腰掛けて話そうか」
『わかりました』
「では自己紹介からね。僕は
「漆黒の光……」
「どこかで……?」
「私もどこかで聞いたことが……」
六人の少女は頭をひねった。そうだこの漆黒の光は特殊傘下という形の為外部に早々漏れることはないと思うのだが。シシルの事は外にばれている。
「僕はシシルと言ったが皆の耳には【
シシルはそう言うとエリスは何かを思い出したような反応を見せた。死鳥は学園では六色光の次に有名な人物だ。それもそうで死鳥はクロの相方をすることが多くて実力も六色光並みに強い。そんな奴が学園で有名にならないはずがない。
そしてそのままシシルは本題に入る。
「君たちはここから大本部に僕と向かってもらう」
「大本部?」
「大本部とは?」
「といいますと?」
「そう、六色光のだ」
はいここで少女六人は気絶もんだな。シシルの今回の目的は少女六人を六色光の大本部に安全に連れてくることだ。そりゃあもう道は安全だ。途中盗賊が来たがシシルの黒い霧で全部殺してくれた。
「でここが大本部だよ。君たちの友達であるレイ様が小さいころ育った場所」
「ここがレイが過ごしていたばしょ?」
「と、とても大きいです……」
「すごいのだ! お姉ちゃんもここにいるのかな?」
「すごい……」
「生きている間に拝めるなんて……」
「これが伝説の六色光か……」
六人の少女が呆然としている中、一人シシルは門番に1番と2番と3番の鉄門を開けるように指示をした。そして大きな鉄門が1番から順にゆっくりと開いていく。ここでシシルが少女たちの方に顔を向ける。
「そして君たちにここでの常識を教えるね。もちろんこの中にいるのは六色光だけではない。ほかの殺し屋組織もいる。だがこの中を使ってよいと言われている組織は全部人間離れをしている強さを持っている。言いたいことは分かるね?」
「は、はい。むやみに戦わないこと」
「正解だ。そしてもう一つ絶対に敬語を使え。これは命令だ。この大本部は実際に六色光が使っている場所ではない。ここはあくまでもレイ様が特訓の為に使っていた施設でほかに六色光しか立ち入れないもう一つの隠れ家があるが僕もしらない」
『私たちはこの場のルールに従います!』
シシルはある程度の常識を叩き込むと門を1から順にくぐって行った。そして大本部の門が開く。ドアが開かれたらそこは異次元の場所だった。学園では経験しないような凄い圧力に少女達は足がすくんだ。シシルはおかまえなしに中に入っていく。
この場にはシシルよりか位が高い者は存在しないからだろうか。シシルが前を通ると全員頭をさげていった。シシルの後に続くエリス達も同様だ。螺旋階段も上り一つの扉に到着する。
「なんかこのドアだけおかしいよね」
「分かります。何か嫌な感じがする」
その少女達の声にこたえるようにシシルは口を開く。
「足がすくむのも体がこわばるのも分かる。そう君たちが今から会うレイ様は組織では最高ランクの殺し屋で六色光で最強の男だ。その者が放つ雰囲気は最初はかなり堪えるぞ」
少女達は黙りこみ。それをみてシシルはドアを開いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます